’08/09/19の朝刊記事から
大樹に巨大トーチカ
【大樹】十勝管内大樹町旭浜の海岸近くの林の中で、太平洋戦争末期に日本軍が米軍上陸侵攻に備えて構築した巨大なトーチカが見つかった。
半世紀以上も経て存在が確認されるトーチカは珍しい。
風化や破壊を免れ、ほぼ手付かずの状態で、日本建築学会は歴史遺産として極めて貴重と指摘。
町は戦争遺産として保存する考えだ。
トーチカは七角形のコンクリート製で全周は約26メートル。
海岸まで約500メートルある。
現場一帯は町有地で1956年に防霧保安林としてカラマツなどを植林し、樹齢を経たため8月に町有資産として保安林を民間に売却。
伐採に入った業者が8月末に小山状になっていた部分の土砂を取り除いていてトーチカの一部を発見した。
土中から露出した部分は高さ約3メートル。
海岸に向け銃眼2カ所が開く。
18日は、日本建築学会歴史意匠委員会で道内のトーチカを研究している帯広市の建築家小野寺一彦さん(50)が現地調査した。
「コンクリートの厚さは1.8メートルあり、道内で確認したトーチカでは最大級。土をかぶせ偽装したので見つからなかったのだろう。本当に状態が良く、構造の解明など進める貴重な歴史遺産となる」と話す。
伏見悦夫町長は「トーチカは戦争を鮮明に伝える遺産。次の時代に残していきたい」と保存して見学しやすいよう整備する方針だ。