'07/06/21の朝刊記事から
改正イラク特措法成立
対米追従 見えぬ「出口」
改正イラク人道復興支援特別措置法が20日成立したことで、今後、自衛隊撤退に向けた「出口戦略」が焦点となる。
航空自衛隊は政府が定義する「非戦闘地域」で活動しながら、常にミサイル攻撃の危険にさらされているためだ。
ただ、国会での議論では、イラクでの空自の輸送実態すら要員の安全を理由に明らかにされずじまい。
米国支援を優先する政府の姿勢は参院選でも論争になりそうだ。
国際社会は撤退加速
【カイロ20日鄭眞】航空自衛隊によるイラク復興支援活動が延長されることになったが、イラクの治安情勢の深刻化と、派兵に反対する世論の盛り上がりを受け、既に15カ国程度が部隊を撤退させた。
今夏以降も、各国部隊の撤退や縮小が予定されており、国際社会の「イラク離れ」は着実に進んでいる。
イラクには約40カ国が戦闘員や後方支援部隊などを派遣していたが、外務省がまとめた資料などによると、今春の時点で、イラクに残っているのは26カ国の約17万7千人。
その9割を米軍が占めている。
米国は5月、交代要員として約3万5千人に派遣命令を出しており、イラクとその周辺に展開する約16万人の駐留米軍の規模を当面維持する構え。
だが派遣数2位の英国は2月、7千人の部隊を5千人規模に削減し、その後も段階的に縮小を続ける方針を表明した。
2300人を派遣していた韓国も現在、1200人への縮小が進行中だ。
派兵に対する韓国議会の承認は年末で期限切れとなり、今後、完全撤退を求める国内世論が高まることは必至だ。
'07/06/21の朝刊記事から
中国のCO2排出量米国抜き世界1位に
【ブリュッセル20日共同】オランダの研究機関「オランダ環境評価機関」(MNP)は20日までに、2006年の中国の二酸化炭素(CO2)排出量が初めて米国を抜き、世界1位になったとの推計を発表した。
MNPの発表によると、06年に中国のCO2排出量は年間8.4%増加して62億トンとなり、同1.4%減少して58億トンにとどまった米国を逆転した。
世界のCO2排出量は2.6%増加した。
中国が世界一になったのは、経済の急成長を背景とした石炭使用量急増やセメント生産拡大が主な原因と分析している。
'07/06/21の朝刊記事から
改正イラク特措法も成立
7月末で期限切れを迎えるイラクでの自衛隊の活動を最大2年間延長する根拠となる改正イラク人道復興支援特別措置法は20日の参院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。
政府は、7月中に自衛隊の派遣期間を1年とする基本計画を閣議決定する方針で、航空自衛隊のイラク派遣を8月以降も継続させる。
民主、共産、社民、国民新の野党各党は「イラクで活動する空自の輸送に関する情報開示が不十分だ」などとして反対した。
同法は2003年7月に、イラクへの自衛隊派遣の根拠法として4年間の時限立法で成立。
昨年7月の陸上自衛隊の撤退以降は、空自がイラク・クウェート間で国連や多国籍軍向けの輸送活動を行っている。
'07/06/21の朝刊記事から
教育関連3法が成立
教員免許更新制導入 国の関与強化
教員免許更新制度などの導入を盛り込み、安倍晋三首相が今国会の最重要課題に位置付けた教育改革関連3法は20日の参院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。
野党は反対した。
相次ぐいじめ自殺や必修科目の未履修問題などを受け、本部科学相に教育委員会への是正指示権を認めるなど教育行政への国の関与の強化を打ち出した同法成立を受け政府は、2007年度内の学習指導要領改正に向けた作業を本格化させる。
昨年60年ぶりに改正された教育基本法に続き教育現場に大きな影響を与えそうだ。
首相は同日夕、官邸で記者団に「この国会の最重要法案で、教育再生は私の内閣の最重要課題だから本当によかった。教育現場を一新し、教育新時代を切り開きたい」と成立の意義を強調した。
3法のうち、教員免許法および教育公務員特例法の改正は2009年度から、有効期限を10年とし、30時間以上の講習を課す教員免許更新制を導入する。
学校教育法の改正では07年度から小中学校などに副校長・主幹職を新設。
改正教育基本法を受け、義務教育の目標として「国と郷土を愛する態度を養う」ことも明記した。
改正地方教育行政法は、いじめ問題などで対応のまずさが指摘された教育委員会制度改革として、文科相に教育委員会への是正指示・要求権を求めた。
'07/06/21の朝刊記事から
教育3法成立 教職離れ進む懸念も
待遇改善が課題
免許更新制の導入、指導力不足の認定制度新設など、成立した教育改革関連3法には、教員に対し厳しい内容が多く含まれている。
医師や看護師、弁護士などの資格には有効期限は設定されていない。
そんな中、教員は10年ごとに講習を受け、免許を更新しなければならない。
安倍晋三首相は国会審議を通じ、「講習により新たに自信を持って教育現場に立つことができる」とメリットを訴えたが、不公平感はぬぐえず、「教職離れ」への懸念も強まる。
指示権発動基準あいまい
【改正地方教育行政法】いじめ問題などで教育委員会に「法令違反や怠り」があり、生徒の生命・身体を保護する必要が生じた場合、文部科学相が是正を指示できる権限が規定された。
知事が必要に応じて教委に対し私立学校に関する助言・援助を求めることも可能にする。
文科相の権限強化は、地方自治体からの反発の声が上がり、3法改正の焦点の一つだった。
国会審議では、指示権の発動が想定されるケースについて質問が集中したが、明確な基準などは示されなかった。
指示権の慎重な運用、私学の自主性の尊重に十分な配慮が求められる。
免許更新条件は今後設定
【改正教育職員免許法】現在は終身有効の教員免許に、10年ごとの更新制を導入する。
同法と併せて改正された教育公務員特例法では「指導が不適切な教員の認定」を都道府県が行う仕組みも導入した。
30時間の講習修了が免許更新の条件となるが、修了認定の基準づくりなどが今後の課題。
更新制が教員の質向上につながるかは、この認定が厳格に行われるか否かに懸かっている。
まずは認定基準をどのように設定するかが焦点。
指導が不適切な教員の認定は、専門家や保護者らの意見を聞いて行われるが、公正、適切な運用が求められる。
国は認定に関するガイドラインを示す方針だ。
教員負担軽減検討が必要
【改正学校教育法】教育基本法改正を受け、義務教育の目標などを見直し、「我が国と郷土を愛する態度」の文言で「愛国心」を盛り込んだ。
学校の組織運営、指導体制強化に向けては、新たに「副校長」「主幹教諭」「指導教諭」を設置することを可能にした。
今後は同法改正の趣旨に沿って、学習指導要領の見直し作業が本格化する。
副校長や主幹に関しては、仮に新設したとしても、全体の人数が増えなければ管理職が増えるだけで、現場の教員の負担軽減にはつながらない。
定数や新たな職種の処遇などの在り方について検討が必要だ。
病院や医師弁護士は選択できたも、通わせる公立学校は選択できないことを知っての記事か。