
’08/06/04の朝刊記事から
PCI事件 内閣府、賠償提訴へ
過大請求詐欺 前社長ら起訴
東京地検特捜部は3日、中国での遺棄化学兵器処理事業をめぐり、大手建設コンサルタント「バシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI)側が発注元の内閣府に人件費などを過大請求し計約1億4千百万円の不正利益を得たとして、詐欺の罪で前社長多賀正義容疑者(62)ら4人を起訴した。

PCIをめぐっては、政府開発援助(ODA)事業で便宜を図ってもらうため、外国政府高官への工作資金を香港の関連会社へ送金した疑惑も浮上。
特捜部は不正に資金を捻出し脱税した疑いがあるとして、法人税法違反容疑で詰めの捜査を進めている。
内閣府は過大請求分について、PCIに対して損害賠償請求訴訟を起こす検討を始めた。

ほかに起訴されたのはPCIの元役員栗原努被告(56)、関連会社「遺棄化学兵器処理機構」元社長遠藤博之被告(68)ら。
一緒に逮捕された同機構の元役員(50)は「従属的だった」として処分保留で釈放した。

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’08/06/04の朝刊記事から
プーチン氏 普通の首相の外遊ではなかった
待遇は大統領級 「越権行為」の声も
【モスクワ3日加藤雅毅】ロシアのプーチン首相が、本来は大統領が指揮する外交分野に意欲を見せ始めた。
フランス訪問ではサルコジ大統領と会談したほか、2日には駐米大使を官房副長官に引き抜き、首相府で初の外交担当幹部とした。
ロシア国内では「大統領権限に踏み込みすぎでは」との指摘も出るほどだ。

「普通の首相の外遊ではなかった」。
コメルサント紙はプーチン首相の5月下旬のフランス訪問をこう総括した。
プーチン氏はパリ滞在中、サルコジ大統領、シラク前大統領、フィヨン首相らと相次ぎ会談。
仏ルモンド紙の長時間のインタビューにも応じ、対米関係やイラン問題など外交分野も詳細に語った。
これに先立つベラルーシ訪問でもルカシェンコ大統領と会談、各国の待遇は今も「大統領級」だ。

また、プーチン首相は、駐米大使を9年務め、外相候補ともいわれる大物外交官のウシャコフ氏を官房副長官に任命。
同氏は対米強硬派で、ラブロフ外相とは折り合いが悪かったとされる。
3日のガゼータ氏は「外務省の立場が弱まり、首相も外交政策に影響力を発揮することになる」と報じた。

憲法では外交は大統領が指揮するとされており、プーチン氏の積極的な動きは「越権行為」との声もある。
ただ、プーチン首相は「最終決断するのはメドベージェフ大統領」と大統領を立てることも忘れていない。

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’08/06/04の朝刊記事から
韓国・牛肉輸入再開撤回 世論に配慮 異例の事態
対米関係は悪化もAC
【ソウル3日井田哲一】韓国政府は3日、生後30カ月以上の牛肉の輸出差し止めを米政府に要請し、米国産牛肉の輸入制限解除を撤回したことは、いったん他国との間で合意した取り決めについて、事実上の再交渉を求める外交上異例の事態といえる。
公約の経済再建で成果がなく、支持率が急落した李明博政権は、外交関係を犠牲にしても、輸入再開に猛反発する世論に配慮せざるを得なかった。

李大統領は3日の閣議で「多数の国民が望まない限り、30カ月以上の牛肉を輸入しないのは当然だ」と述べ、牛海綿状脳症(BSE)の危険性を問題視する国民の意向を、最大限尊重する姿勢を強調した。

発言の背景には、4日に地方選挙を控え、支持率が20%前後に低迷する苦しい事情がある。
さらに、「大統領は米国が韓国の状況を理解してくれると信じている」(大統領府関係者)との楽観的な見通しもあった。

しかし、バシュボウ駐韓米大使は同日、柳明桓外交通商相に失望感を表明、記者団に対し、「(米韓の合意は)科学的根拠に基づいており、再交渉の必要性は感じない」と強調した。

聯合ニュースも「米国側が簡単に韓国の要求に応じる可能性は低い」とし、改善が進んでいた米韓関係に悪影響を与えるとの見方を伝えた。

一方、連日の抗議集会を主催する市民団体は、今回の再交渉要請について「国民の抵抗をかわすための一時的なごまかし」と批判。
ソウル市庁舎前広場では3日夜も、輸入再開に反対する約1万人の集会が開かれ、政府の方針転換にもかかわらず、事態が沈静化する気配はない。

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’08/06/04の朝刊記事から
クリントン氏敗北宣言か
米大統領予備選 AP報道、幹部否定
【ワシントン3日三浦辰治】米CNNテレビは3日、AP通信の情報として、米大統領選の民主党候補指名争いで、ヒラリー・クリントン上院議員(60)が予備選最終日の同日夜(日本時間4日午前)にニューヨークで開く集会で敗北を宣言し、オバマ上院議員(46)を大統領候補として認める方針を固めたと報じた。
クリントン陣営の複数の幹部が明らかにしたという。

歴史的な長期戦となった民主党候補指名争いは、オバマ氏の獲得代議員数が最終日のモンタナ、サウスダコタ両州予備選を残して、総代議員の過半数2,118人まで40人余りに迫り、指名獲得は時間の問題となっていた。
このため、クリントン氏がいつの段階で敗北を認めるかが焦点だった。

ただ、この報道について、クリントン氏の選対最高責任者マコーリフ氏は同日、「不正確だ。情報源とされる陣営幹部がいったい誰なのか、見当もつかない」などと全面否定している。
