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近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

成瀬巳喜男の『めし』で原節子を観る・・・その6 他人の褌 

2013年09月10日 | 原節子
先週の続きをやっています。

里子に東京へ帰るよう、“追い返す”ように告げ、自分も東京行きの支度をする三千代。


三千代は二階で荷造り、初之輔の帰宅を迎える里子。


「ねぇ、わたし東京へ帰って結婚しちゃうわ」
「それがいいね」
「ホントはね、わたし初之輔さん見たいな人が好きなのよ、だけど、もう、お祖父ちゃんだから嫌だ」
「こいつ~」
「明日の朝、三千代さんと一緒に行くのよ」
「えっ!三千代も」
「えェ」


「君を送って行くのかい」
「そうでしょ」

三千代が東京へ帰ることは誰にもまだ云っていないのに、「三千代さんと一緒に」と初之輔に伝えた里子。無邪気な里子にも叔父夫婦の危機は明らかなのです。男に対して、結婚に対して、とても無邪気な里子。

でも、しかし、なのです。結婚は無邪気でイイのです。そんなに、いろいろと、深く、考えては、結婚などできません、勢いと成り行きです。昔は、それほど考えなかったのです。今は、あまりにも、あまりにも、いろいろ考え過ぎなのです。

それで、二階からトランクを持って里子が降りて来る。

「お帰りなさい」


「里子を送ってくれるんだって」

※こういう表情の原節子イイです。

「えェ」
「お金はどうするの」
「今日、竹中で借りてきましたわ」
「ふ~ん」

※こういう表情の原節子イイです。

「君、話しがあるんだ・・・本当に君、行くのかい」
「えェ」
「何日ぐらい、行ってんだい」
「そうねぇ」
「何か怒ってんのかい」

※こういう表情の原節子イイです。

「怒ってなんかいませんわ」
「何も、こんな大きなトランク持って行くことないだろ」
「だって、小さいのが無いんですもの」
「直ぐ帰って来るんだろ」

※こういう表情の原節子イイです。

「東京へ行って少しね、いろんな事、考えて見たいんですの・・・、私ねぇ、疲れちゃったんですわ」

※笑っている原節子よりも、こういう表情の原節子の方が魅力的です。

いろいろと不満を抱いている事は知っていたが、まさか、ホントに東京の実家に帰るほどだとは、どうして?何で?の初之輔です。でも「何か怒ってんのかい」は、怒りを増幅するだけの質問です。


結婚して5年、大阪に移って3年、周囲の反対を押し切っての大恋愛で結ばれた二人。それが今では、「腹へった、めし!」しか云わない亭主、経済的にも楽ではなく、不満は限界に達していたのです。

それにしても三千代と初之輔はどういう経緯で結ばれたのか、三千代は初之輔の何処に惹かれたのか?初之輔は三千代の何処に惹かれたのか?

当時、美男代表の上原謙と、美女代表の原節子の組み合わせ、役柄としても美男美女の設定、でも、しかし、二人の結婚前の職業とか、知り合ったキッカケとか、まったく描かれていません。

まあ、特に、それほど、ストーリーには影響が無いので、観ている人が勝手に想像して構いません、と云う事なのでしょうか。

結婚とは?夫婦とは?女の幸福とは?そんな、普遍的なテーマに、余計な要素を排除しないと、展開がややこしくなる? 文芸作品であっても、兎に角、多くの大衆を相手にした娯楽作品です。難解ではなく、判り易くです。

でも、しかし、子供と云う要素を省いてしまうと、現実とはかなり、かなり、異なる設定で、異なる答えに?

それにしても、初之輔の職業が、何故に“株屋”なのか? 終戦後まもなくですから、証券会社ではなく、世間的にもあまり評価は高くない商売です。今でも?

まあ、今でも、“他人の褌しで相撲を取る”と云うか、他人の大損で大儲けと云うか、こつこつ地道に、暮らしに役立つモノを製造する業界とは事なり、かなり堅気ではない職業なのです。

“他人の褌しで相撲を取る”で思い出すのは、ある時“他人の相撲で褌を取る”と云った人が居て、分かった様で、有り得ない様で、単なる親爺ギャグな様で、単純な云い間違いの様で、それなり意味が有るようで、とても、笑えたのでした。

それで、美男で、株屋で、堅気のからチョット外れた不良っぽさの初之輔、堅気の娘、三千代との恋、結ばれて2年、大阪に移って3年。

何で、大阪なの? 互いに、東京生まれの、東京育ちで、東京で暮らしていては、物語の展開状不都合? 嫁さんの実家は、遠ければ、遠いほど、実家に帰る行動にインパクトが出る?

引っ越しする必然性は無くても、ストーリー的な必要性からの大阪暮らし、まあ、そういう事なのでしょうか。

何か、ホント、分かったような、分からないような、つまらない事を、ダラダラと書き散らしてしまった。今日は、イマイチ、何とも、テンションが低いのでした。

次回で、“めし”はお終いにします。


それでは、また。


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