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映画「家族はつらいよ」は「東京家族」の姉妹編で!今の「東京物語」でそれにしても夏川結衣はキビシイ!

2016年04月04日 | 映画の話し
「家族はつらいよ」を、先日、ふたりで観てきました。

9時50分からの上映となっていましたが、かなりの時間、しつこく、しつこく、予告編の数々を見せられ、かなり、かなりのうんざりでした。

それは、それとして、「家族はつらいよ」ですが、結論を先に云ってしまえば、それなりに、よくできた喜劇でした。

観客の笑い声が時より聞こえ、隣の席の連れも時々クスクス笑っていました。私も笑いました。

「男はつらいよ」は“在るようで無い”東京下町人情ドラマで、「家族はつらいよ」は“在るようで在る”東京郊外家族ドラマ”でした。

それで、ストーリーの話しです。

妻の誕生日に夫が“プレゼントに何がほしい?”と聞くと、妻はやおら引き出しから離婚届を持ち出して署名と捺印を要求し、そこからドラマは展開するのです。

妻は、靴下も、パンツも、シャツも、裏返しで床に脱ぎっぱなし、平気で目の前でオナラをする、うがいのとき痰を汚らしく吐き出す・・・等々、そんな日常の些細な仕草が耐えられない、と云うのです。

まあ、そう云う話しは、世間ではよくある事とされています。日常の仕草がイヤだから、気になり、気に障り、精神的に耐えられない、一緒に暮らしたくない、そして・・・・・・別れたい、と、なる。

でも、本当は、存在を認めていない、炊事、洗濯、掃除、やって当然、居て当たり前、と、妻に対して感謝がない、と、そんな夫の仕草の一つ一つが耐えられなくなる。

いろいろあって、次男の婚約者(蒼井優)から、“お母さんは、お父さんから感謝の言葉が聞きたいのよ、離婚理由を言葉にしたのだから、お父さんも、それに対して感謝の気持ちを、言葉にして伝えるべき”と云われるのです。

しかし、お父さんとしては、“俺は外で働き家族を支えてきた、今さら、言葉にしなくとも、そんな事は判っている筈”と抵抗するのです。

しかし、妻へ感謝の気持ちは、言葉にしても、態度にしても、伝えた記憶は、もう、遠い、遠い過去となり、いつの頃からか消えていた事に、一抹の不安を感じるのです。

人間、やっぱり、それなりに、言葉として、態度として、はっきりと、想いを伝えないと、互いの気持ちは、少しずつ、少しずつ、離れていく・・・のです。でも、解っていても・・・・・・なかなか、なのです。

ながい年月一緒に暮らしていると、飽きが来るのです、存在が見えなく、感じなく、なるのです。固定的婚姻関係は、生物学的には、かなりの無理があるのです。ですから、世の中、不倫が絶えないのです。不倫は生物学的な問題です。

それは、それとして、いろいろあって、お父さんは、感謝の気持ちとして、妻がいま一番望んでいる離婚届に署名捺印し“プレゼントです”と云って、手渡します。

そして、受け取ったお母さんは、離婚届を即座に破り捨てるのでした。

これで、ドラマは、ハッピーエンド!

兎に角、好きだ嫌いだと云った年月は、遠い過去のお話となってしまった夫婦を、つなぎ止めるものは、互いに、認め合い、感謝し合い、支え合い、付かず離れず、そして、寄り添う・・・と、まあ、そんなメッセージが聞こえてくる作品でした。

ムズカシイのですが、そんな地点に達した時、いろいろと景色は変わって見えてくるのでしょう。そんなところが、正解とかと思います。ホントにムズカシイのです。

それにしても、二人で観る作品としては、かなり微妙でした。

それにしても、長男の嫁“夏川結衣”には驚きました。顔つきと云い、体型と云い、時の流れをしみじみと感じました。

彼女を知ったのは、2010年NHK終戦特集ドラマ「15歳の志願兵」と、同じ年、日テレ山田太一ドラマスペシャル「遠まわりの雨」でした。現在47歳だそうですが、6年の歳月の流を感じました。

それは“中嶋朋子”にも云えます。二人とも40代で、女優としてムズカシイお年頃です。特に“モデル出身”の結衣ちゃんは“キビシイ”お年頃です。

それにしても、正蔵師匠ですが、“お父さんの三平”にそっくりになりました。その辺を意識して、右手を頭にかざして“ドウモスイマセン”と、お父さんのギャグを入れたり、髪型をお父さん風にしたシーンがあったり、笑わせてくれました。

それと、蒼井優ですが、東京家族での役回りと云い、今回と云い、同じように、優しくて、しっかりしていて、きっぱりとした発言で、物語を動かすいい役でした。

女優としては、あまり美人ではありませんが、“清く、貧しく、正しく、美しく”そんな役柄にピッタリで、云い女優です。現在30歳だそうで、まだまだいけそうです。

兎に角、見終わって、「家族はつらいよ」は、失敗作?だった「東京家族」の、汚名挽回!間違いました、汚名返上!の為に作られたと思いました。

「東京家族」は、監督の「東京物語」に対する、小津安二郎に対する、強い、強い、思いから作られた、“趣味”の作品だった、と思います。

兎に角、『“喜劇”家族はつらいよ!』は、面白かったです。


それでは、また。




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3 コメント

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Unknown (さかいのぶよし)
2016-04-04 06:48:59
「家族はつらいよ」夫婦は倦怠期は昔から。脚本を山田監督と平松恵美子さん共作で女性の感覚、感性を感じる。健全な市民家族で暴力、破壊、破滅で問題や課題を解決しない。金持ちケンカせず。そうだ、喜劇!
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Unknown (さかいのぶよし)
2019-11-12 08:35:37
夏川結衣さん、映画「蔵」でバイタ風芸者は妖艶でした。亀田駅が出るし、松方弘樹さんの台詞、新潟弁の「なじら一緒になるか。」で、エンディング。2005年。役者さんは多数ご逝去したし、降旗康男監督もご逝去した。
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Unknown (さかいのぶよし)
2020-12-03 09:44:25
小津安二郎監督、山田洋二監督そして、大島渚監督も出自は松竹。大島渚監督の「青春残酷物語」のちんちくりんのおかちめんこの台詞は肯ける。火野正平さんも監督にさんを付ける。監督の権威、権限を感じます。
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