学問空間

「『増鏡』を読む会」、第9回は2月22日(土)、テーマは「上西門院とその周辺」です。

「そんなものに学者が入ったら…」(その4)

2015-10-23 | 石川健治「7月クーデター説」の論理

投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2015年10月23日(金)09時37分32秒

去年、蓑田胸喜と原理日本社に無闇に深入りして時間を無駄にしてしまったので、日本法理研究会にもあまり関わるつもりはありませんが、ちょこっとだけメモしておきます。
国会図書館の簡易検索でキーワードを「日本法理研究会」として検索してみると64件ヒットして、そのうち52件は昭和15年から19年にかけて「日本法理研究会叢書」として出版された書籍ですね。

https://ndlopac.ndl.go.jp/F/Y2Q74SKLE2XHDJM79X7XE226QQLRTJ3RIY96C2I4UMUM5NENNR-24976?func=short-jump&jump=000001

若干の重複があるので、52種類出した訳ではありません。
個人名のものとしては、例えば、

小野清一郎 『日本法学の樹立:附・東亜の新たなる法律理念』
高柳賢三 『英国法に於けるキングの地位』
牧健二 『日本固有法の体系』
滝川政次郎 『日本法律思想の特質』
同     『日本法理と支那法理』
増田福太郎 『大東亜秩序と民俗』
安平政吉 『道義と刑事法』
里見岸雄 『帝国憲法の団体的法理』
久礼田益喜 『罪刑法定主義の日本法理的展開』
松下正寿 『大東亜国際法の諸問題』

といったものがあります。
「日本法理」「大東亜」「新秩序」みたいな言葉を入れた書名が多いですね。
また、増田福太郎著の書名に「民俗」が入っていますが、民俗学者執筆のものもあります。

柳田国男 『族制語彙』
橋浦泰雄 『日本民俗学上より見たる家族制度の研究』

柳田国男(1875-1962)の登場にはちょっとびっくりしました。
橋浦泰雄(1888-1979)は転向左翼ですね。

64件から戦前の52件を引いた12件のうち、白羽祐三氏が1995年から97年にかけて『法学新報』(中央大学法学会)に載せた論文9件とそれを一冊にまとめて1998年に出した『「日本法理研究会」の分析 : 法と道徳の一体化』の合計10件を除くと、残りは宿谷晃弘という方が2013年と2014年に『東京学芸大学紀要』に載せた僅か2件だけですね。
ということで、「日本法理研究会」は白羽祐三氏以外にはあまり熱心に研究した人がいないようです。
そして、その白羽祐三氏の研究は、「天皇制ファシスト・小野の政治的白痴」(p332)、「この狂気の戦争屋・西田【※西田幾太郎のこと】を確信的な天皇制ファシスト・小野清一郎は戦前・戦後を通じてことのほか崇拝していた」(p332)、「要するに小野清一郎法学は狂気の天皇制ファシズム法学であり、戦争屋(殺戮屋)の法学である。人類の幸福とか福祉などは全く眼中にないのである。あるのは自分自身と天皇制の守護だけなのである」(p333)、「正に正気の沙汰とはいえない。狂気の戦争屋(大量殺戮戦争屋)であり、殺人鬼・小野清一郎としかいいようがないではないか。小野・大東亜法学(『大東亜法秩序の基本構造』論)は、正に大量殺戮法学と位置づけることができるであろう。現代のオウム真理教(殺人集団)以上であり、それをはるかに超えるものである」(p338)といった激烈な表現に満ちた、かなり微妙なものですね。

コメント
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