◆勉強を進めるうえで必要なのは記憶の再生力
一般に「記憶力がいい」とか「覚えるのが苦手」などという場合の「記憶」とは、
知識の入力ではなく、その再生を意味します。
インプットではなくアウトプットを指すのです。
そして、「覚える」ことは簡単にできても、「思い出す」ことが難しいのです。
◆3つのRで表わされる記憶の段階
記憶には、「記銘(Registration)」、「保持(Retention)」と「想起(Recall)」という
3つのRで表わされる段階があります。
記銘はものごとを学習し、覚えること。
保持は覚えたものをある時間維持することで、
想起は覚えたものを必要に応じて取り出すことです。
この3つの段階を、引き出しにしまわれたファイルの中の情報を例に説明すると、
情報をタイプして書類にすることが記銘であり、
その書類をファイリングしてキャビネットに入れることが保持になります。
そして、必要なときにキャビネットの引き出しを開けてファイルから情報を取り出すことが想起にあたるのです。
★記憶の3つの段階★ 「記銘 (Registration) 」 インプットすべき情報をタイプして書類にする。 「保持 (Retention) 」 インプッ記銘した内容を長期記憶に変容し、保存する。 「想起 (Recall) 」 保存されている内容を必要なときに、取り出す。 |
◆記憶のファイルに紛れ込んだ情報
それでは「思い出せない」というのはどういう状態をいうのでしょうか。
それは書類を綴じたファイルにタイトルをつけずに、
同じ種類のファイルの中に紛れ込んでしまった状態に例えることができるでしょう。
このような場合、必要な情報を取り出そうにも、
その情報が書かれていた書類がどのファイルに綴じられたのかがわかりません。
ファイルを順に開いていって、片っ端から調べていかなければしょうがありません。
ファイルの数が少ない場合はそのうちに見つけることもできるでしょうが、
記憶を収納する脳のファイルは無限ですから、
情報を探し出すことはほとんど不可能で、
諦めざるを得ないのです。