父の法事もいっつかすぎて 辺りは春を通り越して初夏の装い。
父の残した絵を見ながら母とお喋りしていたとき「金華山登ってみたかった。」と母。「おやすいご用だよ。一番楽なコースで登って 帰りはロープウェーで帰ってこよう。」
そんな約束をした。 しかし母は もう80に近い。 毎日歩く生活なので 軟弱車生活の私たちより歩く事への持久力はあるかもしれない。 だけど 山歩けるのか? 加えて 母には病気がある 黄班なんたらと言う眼の病気で 気付いたときには手遅れで 片目ほとんど見えない。それでも普段 もう一つの眼で(0.1しかない)針仕事もやるから 忘れていた。
足下のごろごろの岩は見えるのだろうか?
折角行くなら 金華山も せめて水の手コースで行きたい。 ここなら展望も良いし 退屈しない。それでも 母に行けるのかどうか 心配になってきた。
「山登りした事あるの?」
と聞くとおかしそうに話してくれた事。子どもの頃 乗鞍の麓の山奥に住んでいた母。 ちょうど陸軍の基地を乗鞍に作ろうと道路を作ったときだと思うけれど・・・と話し始める。
「遠足で乗鞍に連れて行ってやると言われてね。 嬉しくて嬉しくて買ってもらったばかりの革靴で行ったの。」 あやや そりゃ大変 どんな事になったか
「おばあちゃん 止めなかったの?」「あの人は 子どもがそうしたいと言ったら 好きにしたら良いよ。」って言う人だったから。」 そう言えば 私は祖母にしろ 祖父にしろ 笑った顔しか見た事がない気がする。
それにしても 乗鞍登山を 高山にでも連れて行ってもらうように勘違いして革靴で参加したとは 恥ずかしそうに笑って話すはずだね。 そんなだから 山育ちでも 山登り経験ないんだぁ。
「手初めに 伊吹山の三合目散策にしよう。」 会社の棚卸し作業に伴って変則で日曜日に休みが移った昨日 決行日。 亭主も誘って(と言うより 手伝ってもらうことにして)母を迎えに行く。
岐阜から 伊吹山三合目まで40分ぐらいだったかな? せまい道をくるくる登っていくのをみて 母は目が点。 やがてゆとりが出てくると 芽吹きの美しい山をため息をついてみている。柔らな緑に 桜のピンク 山吹の黄色 様々な色がパステルカラーに染まっていて美しい。
「私 新緑の頃に 飛騨に里帰りするの好きだった。 山の色がとても綺麗で 家に近づくに連れて どんどん色が変っていくんだよ。嬉しくて 興奮したぁ」
思ったより喜んでいてくれる様子に 一安心。
さぁ 今日はどんな花が見られるかしら?