【社説】米中間選挙 不毛の対立は避けねば
2014年11月6日
米中間選挙は野党共和党が上下両院で過半数を制し、オバマ政権の運営は厳しさを増す。米国政治は世界に響く。レームダック(死に体)化ではなく、議会とも協調できる賢策を見せてほしい。
「変革」を掲げ登場した六年前の熱気がうそのような、オバマ大統領の不人気ぶりだった。就任直後に68%あった支持率は四割前後にまで落ち込み、与党民主党では大統領との距離を強調する候補者も目立った。
期待感が高かった分だけ、失望も大きかった。
国民皆保険を目指した医療保険改革法(オバマケア)成立、二〇〇八年秋のリーマン・ショックからの景気回復などの成果を挙げたが、一〇年の中間選挙で大敗後、不法移民にも市民権を与える移民制度改革、最低賃金引き上げなど、目玉としていた政策は下院で多数を占める共和党の反対で実現できていない。
外交では、アフガニスタン攻撃やイラク戦争を進めたブッシュ前大統領の政策を転換、イラクからの米軍撤退を実現させた。しかし化学兵器使用の疑いがあった際のシリアに対し、外交の道筋は示せず、イラクやシリアでイスラム教スンニ派過激派組織「イスラム国」に対しても後手に回った。
理想を高く掲げたが、議会との対立を解消できないなど、政治手法は未熟ともいえた。オバマ氏は前回中間選挙での敗北後、銃規制強化をはじめとする大統領令を連発し政策を進めてきた。この傾向に今後、拍車がかかるとみられ、議会との溝はさらに深まる懸念もある。
一方、共和党はオバマケアの白紙撤回を求め、政府機関の一部閉鎖に追い込むなど、大統領の政策を拒否し続けた。米CNNテレビによると、こうした共和党の姿勢にも有権者の約六割が怒りと不満を感じていたという。民主党のヒラリー・クリントン前国務長官はじめ二年後の次期大統領選をうかがう候補者らの動きにも注目が集まったが、次期大統領選を見据え、大統領だけでなく、共和党も柔軟姿勢を見せるべきではないか。米国の政治停滞は世界にも影響する。
上院も共和党が押さえたことで、イスラム国へ地上軍派遣を求める意見が強まる可能性もある。
しかし、イラク戦争でも明らかだったように、戦争の泥沼化は大きな犠牲を伴い、出口も見えない。そんな愚を繰り返していいはずはない。
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私見
もしかしたら、パックス・アメリカーナ(アメリカ帝国の栄華)はそろそろこうやって徐々にだが失墜していくのだろうか。だ゛が、ヨーロッパ各国にもロシア・中国にも世界の政治的リーダー国もないし、リーダー政治家もいない。
アメリカは間違いなく右派軍事色をおびていくことだろう。沖縄県も日本国も、軍事化するアメリカの圧力のもとにさらされる。国会で野党議員の質問に子どもじみた激怒を演出した安倍総理では、アメリカに対峙して日本の独立と平和憲法を堅持することなど夢のまた夢。
そろそろ国民はたちあがらないと、背後に米軍がいる安倍自公政権を打倒するのは、至難の業となろう。
あと二年。オバマが退職するまでに。