【現代思想とジャーナリスト精神】

価値判断の基軸は自らが判断し思考し実践することの主体であるか否かであると考えております。

【色平哲郎氏のご紹介】デルタ株との総力戦:「コロナ戦記」第13回・山岡淳一郎

2021-09-06 23:40:26 | 転載

【色平哲郎氏のご紹介】デルタ株との総力戦:「コロナ戦記」第13回・山岡淳一郎

「医師は天の与えたもうた貧者の弁護士であり、社会問題の大部分は医師が解決すべきである」

「医学は社会科学である.そして政治とは医学の規模を大きくしたものにすぎない」

"Medicine is a social science,
and politics is nothing else but medicine on a large scale." 

"Die Medizin ist eine soziale Wissenschaft,
und die Politik ist nichts weiter als Medizin im Grossen“.

R. Virchow

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「医療、介護、福祉、教育など従来主として公的ないしは非営利の主体によって供給されてきた分野に競争原理を導入する」 2001年6月 「骨太の方針」

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世界ジョーシキ 「いつでも、どこでも、何度でも、PCR無料」

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デルタ株との総力戦:「コロナ戦記」第13回・山岡淳一郎

・自宅で人が亡くなっていく、、、

若い世代はコロナにかかっても重症化しにくいと言う常識は崩れた。
感染爆発で病床が不足し、患者が自宅に放置されれば、たとえ若くても軽症から中等症、
重症と急速に悪化して命を落とす。

ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥は、デルタ株について自身のサイトに
「私が知る限り、人類が経験した呼吸器疾患のウイルスで、最大の感染力です」と記す、、、

これまで100人以上の重症者を受け入れた名大病院の山本(尚範)はこう指摘する。

「中等症の治療法は、酸素療法と薬剤投与で、やり方はほぼ決まっています。
中等症I(息切れ・肺炎所見・酸素飽和度94から95%)にはレムデシビルと抗体カクテル療法のロナプリーブ、中等症II(呼吸不全・酸素投与必要・酸素飽和度93%以下)には酸素療法とレムデシビル、ステロイド剤のデキサメタゾンの処方を徹底すれば、重症化はかなり防げる。
ただしロナプリーブはいい薬だけど、添付文書にあるように500人に一人はインフュージョン・リアクション(急性輸液反応)というアナフィラキシー・ショックに似た過敏反応が起きる。
場合によっては、躊躇せず、アドレナリンの筋肉注射をしなくてはならない。
判断が重要です。
そうしたバックアップ体制の面からも入院での注射か救急搬送がすぐにできる事が条件です。
一刻も早く中等症を診る臨時コロナ病院や、宿泊療養の拡充が望まれる。
既存の病院に新たな患者さんを入れるより、臨時施設に大勢の患者さんを集めて、医療者を送り込んだほうが効率的な治療ができるのです」

・臨時コロナ病院ーー海外の事例、、、

・楽観論強いる政府、支援打ち切る都、、、

・独自に挑む墨田区ーー備え連携する、、、

・状況ごとの地域療養モデル、、、

現場は懸命にデルタ株と格闘している。その切迫感が為政者には伝わらないのだろうか。
コロナ患者を診つづけてきた医療者の胸には、もどかしさと悔しさ、怒りにも似た感情が澱のようにたまっていた。

8月23日、厚生労働省が、ようやく重い腰を上げた。

改正感染症法に基づき、都内約650の病院、約1万3000の診療所、医師や看護師の養成機関に対し、病床確保や人材派遣の要請をしたのだ。
国は、初めて同法による要請に踏み切った。
大病院には病床の上積み、コロナ患者を診られない中小病院、診療所には医師や看護師の派遣も求める。
都が開設した酸素ステーションなどの臨時施設では人手を求めている。
国と都は、医療機関が正当な理由がないにもかかわらず要請に応じなければ勧告し、さらに従わなければその名前を公表できる。
都内のコロナ感染者の入院率が10%を切り、国も危急存亡の秋と腹をすえたようだ。
病床確保への強い姿勢が示された。

はたして、この要請で病床はどれだけ増えるのだろうか。
他の一般診療が大幅に制限されたら逆効果だ。
首都圏から地方へと医療崩壊の危機は拡がっている。

デルタ株との総力戦はまだ先が見通せない。

(本文敬称略・つづく) 岩波書店「世界」2021年10月号より


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・日本はどう関わるべきでしょうか。

富坂聰 香港問題もウイグル族問題も南シナ海問題も、
戦いだからお互いに手を尽くして戦っているのだという認識が多くの日本人にはなくて、どっちが正しいのかなと見ています。
これは完全に2つの勢力の戦いですから、その中で自分が怪我をせずに、一番優位に立つ方法は何かと考えなければならないはずです。
菅政権が困っていたのはウイグル族問題です。
人権に対して懸念するという話はしましたが、制裁とか国会決議はしていません。
現実的な対応をしていると思います。

・宇宙開発等科学技術力をどう見ていますか。

富坂聰 アメリカと比べた場合、面としての強さはまだまだかないませんが、特殊な分野での点での強さが際立っていて、それがアメリカを怯えさせているとは思います。
特に宇宙技術に関しては、火星着陸を一発で成功させましたし、月の裏側に着陸して探査したり、宇宙ステーションを作ったりしていて、アメリカを凌駕しつつあります。
それから一部の軍事技術と量子通信については、アメリカに先行していると思います。

・デジタル人民元の影響は?

富坂聰 デジタル人民元は、偽札に悩んでいる国にはとても魅力的です。
これを決済に入れていくことで、通貨制度が遅れている国は、自国通貨の制度を同時に作っていく事が出来ます。
これまでも中国にはアリペイやウィチャットペイ等の電子決済がありましたが、オフラインで使えないという弱点がありました。
その点、デジタル人民元は繋がなくても決済出来ます。
また、その通貨を自国に持ってくれば、紙幣を印刷する技術も不要で、一気に偽札問題を解決することが出来ます。
そういう点でも、中国は発展途上国に対してアピールする事が出来るのです。

・サイバー攻撃に力を入れているようですね。

富坂聰 いろいろな話が出てきますが、サイバー攻撃が一方的に行われることは絶対にありません。
他国を攻撃していない国はあり得なくて、中国とロシアだけがやっているわけではありません。
中国は、サイバー攻撃のチャンピオンはアメリカだと言っていますね。

【「集中」9月号から抜粋 2大勢力の争いを背景とした「米中新冷戦時代」の世界の見方】


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転向研究は、私個人にとっては、戦争中に自分が内面からくずれるように感じた体験に根ざしている。

その時手に入った評論家協会の手帳の人名録を見ていて戦前に平和主義者、民主主義者、自由主義者として自他ともに許している人びとが今や自由主義撲滅のために活動しているのを、自分の眼でもう一度見なおし、この集団転向の現象を、生きのこったならすくなくとも記述してみたいと考えた。

筑摩叢書版「転向研究」1976年9月刊「あとがき」より 鶴見俊輔


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敗戦直後の時代にアメリカ軍の政策が軍人だけを孤立化して戦争責任を負わせた時、日本の権力者層はこれをさいわいにして、自分は軍人じゃないと言いたてて逃げてしまい、
軍人の罪を自分のものとしてとらえようとしなかった。
軍人だけは、まごうことなきカーキ色(あるいは紺)の制服を着ているので、のがれようもなかったが、他のグループの人びとの戦争責任は、すべて制服につつまれない精神に関することであり、それはどうとでも理屈がつけられた。
つまり、日本流の目に見えること本位の実証主義から言えば、軍人だけに戦争責任があるようにも見えたのである。

こうした仕方で、戦争の責任のがれをしたことが、戦後十五年を経て現在も日本の政治・経済・文化を戦争中のひずみから回復させない。
軍人だけにおしつけるという方法は、能率的にみえて能率的ではなかった。
日本を無謀な戦争にみちびいた経済的・政治的・思想的要因はかなりつよく現在もはたらきつづけている。
このような現状から根本的にたちなおるために助けになるのは、敗戦後に処刑された軍人の遺書である。
ここには、占領軍の強制力の下に国家的規模で、日本国民のおこなった集団転向からとりのこされた一群の人びとの悩みが記録されている。

これは、戦争下の国家的規模における軍国主義への転向からとりのこされたひとにぎりの獄内の共産主義者・大本教徒・天理本道信徒の悩みと見合うような、昭和時代の日本思想全体の重みを背負うた場所である。
この人びとに感じられた重荷を理解することが、戦後日本思想史への一つの確実な理解の鍵となる。

刑死した人は千六十八名、そのうち文官および民間人が百九十六人、軍人が八百七十二人。
処刑された全体の八二%が軍人である。
処刑された人の平均年齢は三八・七四歳。
処刑された場所は、十五年戦争の舞台となったアジア全地域にわたっている。
裁判の方法は、東京でおこなわれたA級戦犯の裁判をのぞいては、あらっぽいやりかたで戦争終結後のどさくさまぎれにおこなわれ、約五千人が有罪を宣告され、千六十八人が死刑に処せられた。
裁判の記録は戦勝国にすぐにもちさられてしまったが、法務省矯正局で復元することのできた裁判の例が全体の三割くらいあり、それによって判断しても、無理な裁判の例が多いと言われる。

これまでにあつめられた遺書の数は七百一通。
それらをとおして、敗戦の圧力と勝利者の軍事裁判の圧力とが、軍人の思想をどのように転向させたかを見ることができる。
十五年戦争の下におけるとおなじように日本の戦争目的を信じているものは、八十六通で、全体の一二・三%、その他は、敗戦によって生じた日本国家の理由なき平和への屈服をそのままうけいれている。

【筑摩書房 鶴見俊輔集 4 「転向研究」 331p 「軍人の転向と戦後日本の思想」より】


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「運たよ。慰安婦なるのも運た。兵隊さん、弾に当たるのも運た。みんな運た」


春江は体が大きいだけでなく、心も大らかな女だった。
「徴用たと言うんたよ。
うち慶尚南道で田圃にいたんたよ。
そしたら徴用たと言て、連れて行くんたよ。
汽車に乗て、船に乗たよ。
うち、慰安婦になること知らなかたよ」
悠揚迫らぬ、とはあのことだな。
春江には、暗い影がなかった。
愉快そうに笑いながら彼女は続けた。
「運たよ。慰安婦なるのも運た。兵隊さん、弾に当たるのも運た。みんな運た」

古山高麗雄 「プレオー8(ユイット)の夜明け」


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「生活保護の申請は国民の権利です」

作ったチラシ等を、周知しなければ意味がないので、今週、野洲市内の世帯に全戸回覧すると共に、社会福祉課が、社会福祉協議会、民生委員に配布させて頂きました。
市役所本庁舎でも、相談窓口のカウンターや、生活保申請する窓口真前の通路掲示板等に貼っています。
市役所は、ここだと思うところに配布したり、ポスター掲示できるので、公務員冥利に尽きます(^o^)

https://bit.ly/2WX0bU5
滋賀県野洲市役所の生水(しょうず)裕美さんから


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>  若い人の感染経路はどんなものが多いのか。岐阜県では、ツイッターや会見
> などで実際に起きた感染例の一部を紹介していて、8月に発表されたケースを
> 調べました。 <事例1> 10代から20代の男女4人が、飲食を共にして全員が陽
> 性となり、その後それぞれ同居者3人にも感染し、合計7人に広がった。 <事
> 例2> 20代男性は岐阜県内の実家へ「帰省」した際、友人5人と居酒屋をハシ
> ゴして感染。 <事例3> 20代女性は、SNSで知り合った6,7人と河川敷でBBQを
> 行い、感染。 <事例4> 職場の同僚5人とお昼に外食し、感染。
>
> <事例5> 岐阜県内の大学の部活動で、県外で練習試合をするためバスで移動
> していて、車内で会話をしながら昼食をとり、感染が拡大して6人が感染した。
> この部活は2回クラスターが発生していて、今回で3回目だった。 <事例6>
> 岐阜県立高校の文化系の部活動で、同じ部屋に部員60人以上が集まって1時間
> ほど活動し、部員5人と指導者1人の計6人が感染した。 <事例7> 職場の寮で
> 共同生活をしていた技能実習生7人が感染。ほとんどが若い人だとみられる。
>
> <事例8> 接待を伴う飲食店で、客4人、従業員8人をはじめ、合わせて16人が
> 感染するクラスターに。店にはカラオケがあり、大声でしゃべっていたとみら
> れる。パーテーションはなく、客や従業員の中にはマスクを着けていない人も
> いた。 <事例9> 会社員の男性10人が8月7日に深夜まで飲み会をし、20代4人、
> 30代1人、その親族の女性1人の計6人のクラスターになった。
>
> <事例10> 陽性者との接触の可能性を知らせるアプリ「COCOA」から複数回通
> 知が来たものの、放置していたら数日後に発熱し、感染が判明した。
>
>  岐阜県の例のように、人が集まることで感染が拡大するケースが後を絶ちま
> せん。これ以上広がらないよう、3密対策はもちろん、「うつらない・うつさ
> ない」に注意した生活を心掛けましょう。
>
> ◆ 乳幼児は家族にコロナを感染させやすい


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「ホワイトスノー作戦」

長野五輪で使用される施設は少なからずの不法滞在を含む外国人が入り、施設や道路造りに加わったとされる。しかしその外国人らの多くが入管法違反(不法残留・入国など)の摘発されていると地元紙の信濃毎日新聞は報じている。信濃毎日新聞の記事によると、長野県警は多数の摘発について「ホワイト・スノー作戦」という名称を付けていると言う。これについて佐久地域国際連帯市民の会の横田隆志代表は「不法滞在の外国人労働者が日本社会を支えているという暗黙の現実がありながら、五輪が来る場にはいられない。日本の現実の姿だと思いますね」と述べている。また、長野市内でスナックを経営するフィリピン人の女性が日本人客から「五輪までに街をきれいにしなきゃいかん。そのうちあんたらも居られなくなるかもな」と言葉を投げつけられたとも同記事は伝えており、信濃毎日新聞はオリンピックの祝福ムードの陰にある外国人への「排除の論理」についても報じている。


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「コロナリテラシー」(末尾)に対し、コメント拝受

> 確かに、行政を動かす能力・経験の不足が、野党(除く維新)の弱さの一つであり、世田谷区長のような事例は意義があると思います。
> ただ、もう一つ、克服すべき弱々しさがあると感じています。行政経験の不足と関係しますが、市場万能主義・自助・小さな政府に対抗する政策原理の明確化とこれに基づく具体的・実践的な政策の体系化ができていないことです。生産と分配のいずれに重点を置くかという二元論では、批判はできても、オルタナティブの提案は難しいと感じます。
> 宇沢弘文教授の「社会的共通資本」の考え方を基礎に据え、「社会的共通資本」の形成こそが主役であり、市場メカニズム、より正確には「経済」活動は、主役たり得ず、その役割は従たるもの。すなわち市場メカニズムの役割は「社会」の活動に必要なモノ・サービスの生産・配分を行うことに限定されることを柱とした体系化が一つの方向性だと考えていますが、それ以外にもいくらもあり得ることでしょう。
> そうした体系的な代替案を提示できなければ選択肢になりにくいままなのではないか、と思っています。同時に、「社会的共通資本」の考え方は、「持続可能な発展」が国際公益と認識され始めた現代においてこそ再評価されるべきだと思っています。


183 コロナリテラシーと「もう一隻の船」

日経メディカル 2021年8月31日 色平哲郎

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、各国にコロナリテラシー(コロナ禍を読み解く技)ともいうべき共通課題を突きつけた。
コロナリテラシーは、政治のリテラシーの試金石であって、パンデミックは、各国の政治の力を試しているのだ。
人流を抑えるための措置や、検査・隔離から医療提供体制の整備、ワクチンの調達と自治体への配分、リスクコミュニケーション等々、コロナリテラシーは政治に直結している。
しかし、昨年来、日本の現政権が行ってきたコロナ対策は、とても「明かりははっきりと見え始めている」
(2021年8月25日・菅義偉首相会見)状況を作り出したとは言い難い。
デルタ株の猛威は、首都圏から全国へ拡大しており、私が暮らす長野県でも医療崩壊の危機が高まっている。
政府・与党には「楽観論」がはびこり、東京五輪・パラリンピックの開催を導いてきた。
その元をたどると、スポーツの祭典の熱狂を追い風に政権の支持率を高め、権力を維持しようとする考えがあると報じられている。
そうした思惑に引きずられ、現実のコロナ対策は実効性を失ってきた。
このような場合には、政治における「もう1つの選択肢」が必要だ。
ところが、野党からは、少し先を見据えたオルタナティブは一向に提示されない。
政府のやり方に批判的な英知が結集し、現実的な対処法を掲げる動きが全く出てこないのである。
コロナ対策への国への不満の「受け皿」がない──。
そんな風に鬱屈とした気分でいたとき、中島岳志・保坂展人著『こんな政権なら乗れる』(朝日新聞出版、2021)を手にした。
読み始めると止まらなくなった。
政治学者の中島氏が、対談を通して、元国会議員でコロナ対策でも成果を上げている
東京都の世田谷区長、保坂展人氏の「ビジョン」と「政権担当能力」、そして「人口92万人の大きな自治体の役所を動かすリーダーシップ」などをうまく引き出している。
保坂氏といえば、社会民主党の国会議員として政治の道に踏み込んでおり、革新主義者のイメージがあるかもしれない。
しかし、10年に及ぶ世田谷区長としての歩みは、夢想的な革新主義ではなく、地に足のついた漸進的改革の色彩が濃い。
その象徴が「5%だけ変えます」と宣言して区役所の職員たちの意識を変えたことである。
保坂氏は、同書でこう語っている。
「自治体というのは、法定化された制度内で同じ業務を続けていく部分が相当あります。継続性の中に大切なものがあり、いきなり変えられない部分も多い。しかし変化を拒んで100%変えないのでは水が流れないわけで、5%は変える。池の水も少しずつでも替えていけば清らかさを保てるだろう、と。

だから、ただの思いつきではないんですよ」
そこから保坂区長は、市民が区政に積極的に参加するルートを作り、車座集会を頻繁に開き、下北沢の再開発や、脱原発と自然エネルギーの利用、福祉のワンストップサービス、公設民営のフリースクールなど着実に成果を上げる。
保坂区長の市民を巻き込んだ区政は、保守層からも一定の支持を獲得し、現在に至っている。国政野党とは違う可能性を感じる。
政治のリテラシーの試金石、その先に、国民が乗れる「もう一隻の船」があるような気がしてきた。


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・デジタル政府に必要なたった一つのことは「公共」の精神である。技術の導入だけでなく、立法の力で私たち国民の大切な個人情報を守り、地域住民と共に泣き、笑い、喜び合える公務員がいて、困った時には寄り添い、真摯に耳を傾けてくれる福祉相談員がいて、安心して生きられる社会である。


(書評より)デジタル化の危険性

「民営化で無駄をなくせば、料金は下がり、サービスの質は上がるはずだ」という小泉純一郎首相や竹中平蔵経済財政政策担当大臣(当時)の掲げる改革スローガンを皮切りに、国立大学は独法化、郵便局は民営化、労働者は正規から非正規へ、公共事業はアウトソーシングが増えていった。その結果、国家公務員(一般職)は81万人(2001年)から28万5000人(2017年)と7割減。日本は公務員数が先進国でも飛び抜けて少ない国になった。
だが公共の切り捨てによる弊害は、平時ではなく有事に現れる。公共部門を縮小し過ぎた結果、災害時に復旧作業が担い切れなかったり、地方公務員の非正規化を進め過ぎたことで、児童相談所の対応不足で虐待死を防げなかったりということが起きている。そして今、コロナ禍で私たちが目にしているのは、2007年以降の10年間で半分に減らされた全国の保健所や公立病院の補助金削減のしわ寄せである。
自治体の解体、公共部門を民間企業のビジネスにするアウトソーシング、公務員の削減と非正規化、住民の個人情報保護法の規制緩和。これらの点を結ぶと見えてくるのは、世界一企業がビジネスをしやすい環境を目指す新自由主義政策だ。デジタルという新技術と、その分野に関心の薄い首長の組み合わせによって、今後この政策はかつてないほど急ピッチで進むだろう。
だが、これまで社会が辿った足跡に目を向ければ、デジタル化の大波の中、本当に守るべきものと、そうでないものが見えてくるはずだ。
アメリカでは1970年代、経費削減とサービス向上を旗印に、福祉をデジタル化した結果、生活保護の受給者数が激減した。給付のハードルが上がり、常に監視されているストレスから、申請自体を諦める人が増えた結果、受給数者が激減したのである。「福祉分野へのデジタル技術の導入は、実際に困窮している人々を作り出している原因から目をそらさせ、限られた援助を得るための壁を高くするという逆の結果を生み出している」と女性の貧困問題を研究する準教授は言う。
福祉や教育や医療など、政府による公共サービスには、デジタル技術や民間業者にはカバーしきれない人間の力を必要とする領域が確かに存在する。デジタル化を、福祉切り捨てに利用したり、行政に人間を育てる予算を削らせてはならないのである。
全世界でデジタル化が進む中、どの国でも神経質になっているのはサーバー問題である。サーバーを制するものがデジタルを支配する。だからこれまでの貿易協定や経済連携協定では、外国の企業が電力・通信業界に参入するにしても、サーバーは必ず自国内に設置しなくてはならないという条項が入っていた。
だが地政的にも経済的にも大きな戦略ツールである他国のデジタルデータへの介入を中国は諦めず、RCEP協定(日本と中国・韓国、その他ASEAN諸国12ヵ国との経済連携協定で、いわば「中国版TPP」である)の交渉で、中国はその条項を削除するよう要求し、日本をはじめRCEPの参加国は何とこの要求を呑んでしまった。
中国のファーウェイ、アリババ、テンセント、バイドゥなど、中国系のデジタル企業は、既に様々な形で私たちの日常に入り込んでいる。世界を市場に莫大な利権を握るGAFAに、中国は遠くない将来に追い付き、やがては追い越してその座を奪うことを目指しているのだ。
私たち日本人が今考えなくてはならないのは、アメリカや中国が地政学的戦略として進めるデジタル包囲網である。行政のデジタル化には、安全保障面で高いリスクがつきまとう。ならば国が検討すべきは、規制を外すことよりも、他国の例をしっかり検証したうえで、国益と国民を守るための規制を早急に整備することだと、堤氏は述べている。
デジタル政府に必要なたった一つのことは「公共」の精神である。技術の導入だけでなく、立法の力で私たち国民の大切な個人情報を守り、地域住民と共に泣き、笑い、喜び合える公務員がいて、困った時には寄り添い、真摯に耳を傾けてくれる福祉相談員がいて、安心して生きられる社会である。高速で進化する道具の一つであるデジタルという新技術を政府や一部の技術者や企業、米中の巨大プラットフォーマーたちに囲い込ませていてはダメなのである。

「デジタル・ファシズム」堤未果


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私の友人で医療経済学者の兪炳匡(ゆうへいきょう)先生が神奈川県でのコロナ対策のアドバイザーに起用された。県知事と並んでの記者会見やジャーナリストによるインタビュー映像がSNSで拡散されている。兪先生のような「歯に衣(きぬ)着せぬ」科学者がずばずばと政策提言を行い、メディアを通じて国民に感染症対策についての正確な情報を提供してくれることになったらとても心強い。

https://bit.ly/3n6J8dh
内田樹「官僚の無謬性神話がコロナ禍の医療と教育現場の疲弊を生んだ」〈AERA〉


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農民の性情ーー永年にわたる領主の搾取と自然の暴威の被害者でありつづけるうちに、体質の奥深く沈潜させた残酷さとニヒルな明るさ、支配者へのひめられた加害要求
ーーをえぐりだす作家

深沢七郎を評して  中村智子「『風流夢譚』事件以後ー編集者の自分史」より


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藤村は破戒を書くにあたって何回かこちらに来ていたが、書いてしまったら一ぺんも足を向けたことがない。
調査に来る学生さんみたいなもの。
わしは若いころ破戒を読んで、藤村をかたきのように思った。
われわれを踏み台にして、名をなし、いい生活をして、いやなやつだと思ったね。

柴田道子「被差別の伝承と生活 信州の・古老の聞き書き」


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「新自由主義とは何よりも、強力な私的所有権、自由市場、自由貿易を特徴とする制度的枠組みの範囲内で個々人の企業活動の自由とその能力とが無制約に発揮されることによって人類の富と福利が最も増大する、と主張する政治経済的実戦の理論である」

「新自由主義」の定義 経済地理学者デヴィッド・ハーヴェイ


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「真の変革は、危機状況によってのみ可能となる」

ミルトン・フリードマン


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伊勢崎賢治@isezakikenji 9月5日
カブール空港の民間機の就航が再開しました。日本が”積み残した”アフガン人とその家族を救出する時です
。なにより「命のビザ」の発給を。


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伊勢崎賢治@isezakikenji 9月5日
アフガニスタンの「平和構築」を発言し始めた日本の元外交官・有識者のみなさん。カブール陥落の時に、日
本大使館を敢えて閉鎖しない選択肢がなぜとれなかったのか。まず検証しなさい。


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望月衣塑子さんがリツイート

鮫島浩政治ジャーナリスト SAMEJIMA TIMES @SamejimaH 1時間
菅政権は安倍傀儡だった。次の政権でも安倍支配は続くのか。安倍氏は河野政権を阻止するため、岸田氏を裏で支えつつ高市氏擁立で党員投票を分散させ決選投票で逆転を狙う。これに対抗して石破氏は安倍傀儡政権阻止を優先し河野氏支援に回る検討を始めた。影の主役は安倍氏だ。


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「私たちは各々別の船に乗ってここまで来たかもしれません。でも、今は同じ船に乗っています」

マルティン・ ルーサー・キング


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「きみだれだい?
とてもきれいなふうしてるじゃないか・・・・」と、王子さまが いいました。
「おれ、キツネだよ」と、キツネが言いました。
「ぼくと遊ばないかい?
ぼく、ほんとにかなしいんだから・・・」と、王子さまは キツネにいいました。
「おれ、あんたと遊べないよ。
飼いならされちゃいないんだから」と、キツネがいいました。
「そうか、失敬したな」と、王子さまがいいました。
でも、じっと考えたあとで、王子さまは、いいたしました。
「<飼いならす>って、それ、なんのことだい?」
「あんた、ここの人じゃないな。
いったい、なにさがしてるのかい?」
(中略)
「ちがう、友だちさがしてるんだよ。
<飼いならす>って、それなんのことだい?」
「よく忘れられていることだがね。
<仲よくなる>っていうことさ。」

内藤濯訳