長い梅雨が終わって、いきなり猛暑が続いた夏でしたね。
ようやくと思ったら大型台風が来ています。
暑い日々を家の用事で忙しくしていたら、疲れたなぁと思う日が増えていました。
何かに夢中になると周りが見えなくなるので、気がついたら部屋が暑すぎたり寒すぎたり・・・
睡眠時間も減って、そういえば食事を忘れることも(汗)
言い訳が多いのですが、たぶん軽い夏バテかと思います。
少し回復したところに、「『弁いち』に食べに行かなければ・・・」という声が響きました。
お店のHPを確認すると食欲をソソる献立が載っています。
食欲の落ちたときこそ、美味しい料理をいただかねばなりません。
ソシャールディスタンスを守り、マスクと手洗いを徹底して移動です。
夕暮れ時の肴町は人も居なくて閑散としていました。
以前にはもっともっと賑わっていたのに、寂しいなぁ。
入り口に水を打って涼を出し、玄関内に入るといつものお香の香り。
久しぶりの弁いちの匂いにほっとして、そのまま二階に上がります。
通されたのは奥の座敷。個室というのもこの時期安全です。
さあ、今宵も弁いちのご主人の技を楽しみましょう。
私には通常のものをアレンジした、アレルゲン抜きの献立ですから、
何が出てくるのか、どういう風に調理されたものなのか、とても楽しみにしているんです。
座ってほっとしたところに、店主がお一升瓶を抱えてやってきました。
それがほんとうに、いそいそと・・・という風情で顔をだしたものだから、
私もつられて笑顔になってしまうほど。
店主の了解を得てお写真を撮らせていただきました。
もちろんブログへ載せるのも了承済みです。
全国の弁いちファンの皆さま、店主さんはお元気にされてましたよ〜。
どんと出したのが、而今(じこん)の純米吟醸です。
これ、ネットでは人気NO1のお酒ですよね。
地元でも簡単には手に入らないんですよ。
まず、おしのぎを摘みながら冷たい而今を飲んでいきます。
淡麗ですが力強い。そんな印象でした。
あまりにも話に盛り上がったものだから、お皿の内容は聞きそびれました。
鱒かな?サーモンかな?を胡瓜と合わせた酢の物、
軽く燻製っぽい魚の小さなお寿司、など、お酒の合う濃いめのお味で
今から食べるぞという気分が上がります。
お造りは、手前がイチミ鯛、右が炙りカマス、左が鮪トロです。
イチミ鯛はメイチ鯛とも言うそうですが、晩夏から初秋が旬で、脂ののりのよい白味魚です。
水揚げ量が少ないのでかなり希少ではないでしょうか。
そしてこのイチミ鯛ですが、熟成魚というのでしょうか、
もっちり具合がよい塩梅でお酒が進みます。
そして、挑戦するような笑いを浮かべて運ばれたのが「19」と番号がついた日本酒です。
「19 桜」、このラベルはは初めて見ました。
フランス語で何か書いてあります。
白濁しているのは、火入れをしていない状態らしく、日本酒の工程をしらない私にはさっぱりわかりませんが、味は・・・
その前に、驚くことにしゅわしゅわと微発砲の濁り酒だったのです。
口に含むと、柔らかな泡が清涼感たっぷりで、味はシャンパンに近く、でもシャンパンよりも優しい泡に嬉しくなりました。
後口はしっかりと残り、辛口で美味しくいただきました。
今日のお酒のセレクションはいつもより気合入ってるっぽいです(笑)
椀物は、冬瓜とトコブシでした。
混じり気のない出汁に舌鼓をうち、過不足ない具の火入れに何の不満もなく
ゆっくりと堪能いたしました。
焼き物は、鮎の塩焼きです。
小ぶりの鮎が多い中、今回の鮎は大きくてよく太っています。
骨を外してもらえるというので、一度厨房に戻って帰って来たら骨抜きになっていました。
これなら食べやすいです。
もちろん自分でもできますが、鮎の骨をはずすのは結構緊張しますからね。
お酒は珍しいのが出て来ました。
って、今回は最初から珍しいものばかりですが。
丹波で作られている数の少ないお酒だそうで、一升瓶の表にはラベルなし、
裏側に色々と情報がありますが、酔っているので詳しくは読みませんでした。
「奥丹波」
非常に印象に残る飲み口で、口に含んだときと喉を通る時、そして飲んだ後、
それぞれに香り強さコクが違ってたいそう面白いお酒です。
独特な香りがあって気になる・・・気になる・・・
樽の匂いではないかと言い出して、そういえばワインにも樽の香りが強いものがあって、それと同じように楽しめる日本酒なのかと納得した次第です。
そしてメインの肉料理は、静岡牛でした。
サシの入ったお肉は柔らかく、胡椒の刺激と香りを楽しみながら、とても満足して完食しました。
最後は、鯛茶漬けです。
鯛と味噌を合わせ、たっぷりの海苔とともに、サラサラといただきました。
デザートは桃のコンポート。
ヨーグルトとマスカルポーネが合わさったようなソースがかかっていていました。
酔っ払ってるから記憶が定かではないですが・・・(笑)
日本料理は、食材を生かし最良の方法をもってお皿に表現するもの。
調理技術だけではなく食べるための環境を整えるのも大事で、
掃除の行き届いた部屋、丁寧に管理されている食器やグラス類。
食事を邪魔しない匂いや音にも気を遣っているお店が好きだなぁ。
少なくとも私はそういう方針のお店が好きだし、
頻繁には行けなくても、余裕ができたらなるべくそういうお店に行きたいと思う。
弁いちと同等クラスの料金で、ネットでの評価もまぁまぁ良いかな?というお店でも
大事にしていることが違ったり、なんだか居心地がよくなかったりするので、
弁いちのようにいつ訪れても料理に対する姿勢が衰えていない、それどころか益々挑戦している姿は心地よいなぁと思います。
これから秋になって、美味しい食材がでてきます。
お店も挑戦していて、私も挑戦できるお店が見つかるとよいなぁ。
お出かけし難い環境ですが、この秋も美味しい旅ができると良いです。