遺伝子学者 村上和雄さんの講演を聞いたことがあります。その中から一部紹介します(記憶に頼っていますので、部分的に不確かな箇所があるかもしれません)。
ある米国の先生が、医学の学生に糖尿病患者かどうかは尿を確認すればわかる。ところが昔は測定装置がなかった。その時はどうしたか。皆さんならどうするか考えて欲しい。ここに糖尿病患者さんの新鮮な尿を持ってきた。まだ温かい。蟻に確認してもらうなどもあるがはっきりしない。いずれ医者となる皆さんには、患者さんのために勇気を出してこのようにチャレンジすることも覚えて欲しいと言って、その尿に指を入れて、そして指を舐めました。甘い。さあ、皆さんもチャレンジしてみて欲しい。学生は躊躇しますが、一人がチャレンジしました。そこで、先生はその学生の勇気を誉めました。そして、医者として勇気だけではだめである。注意深い観察力も必要である。私は人差し指を尿に入れた。舐めたのは中指であると。
実際は尿でなく砂糖水でしたが。このような授業をして、医者に患者さんのために勇気と観察力が重要だと説明された講義も楽しかったかと。
大腸菌は砂糖を好むそうで、砂糖と果糖があると大腸菌は砂糖だけを食べる(分解して取り込む)そうです。そこで、果糖だけにすると大腸菌はしばらく食べずに我慢しているそうです。生きるために仕方がなく、大腸菌は果糖を分解する酵素作成遺伝子Onにして、果糖を食べるそうです。
糖尿病患者さんに、一日目は大学の先生に糖尿病について説明して貰います。そしてお昼のお弁当を食べて貰います。話を聞く前とお弁当を食べた後の血液中のインシュリンを測定します。二日目はB&Bの漫才を聞いて貰い、その後同じお弁当を食べて貰います。同様に前後の血液中のインシュリンを測定します。漫才を聞いて貰った時は、食後のインシュリン増加を薬と同じくらい抑えたそうです。笑いが人間の遺伝子に働いて、インシュリンが食後に増えるのを押さえる働きをしていると。
人はたくさんの遺伝子を持っていますが、実際に活用しているのは一部だそうです。その遺伝子をどううまく活用するかが重要だと話されていました。
また、使っていない遺伝子も含めると多くの遺伝子を持っていると。人が何故こんなにたくさんの遺伝子を持っているのかまだわからない。何か大きな力があるのではないかと思われたそうです。それを、”Something Great"と呼ばれているそうです。そのサムシング グレート(何か偉大なもの)を感じて生活する、行動することが大切だと話されていました。
心身一如と言います。心と身体は密接に関係しています。心の持ち方でうつ病にも効果があることは、認知療法がうつ病に効果を示していることからも明らかになっています。村上和雄先生は心の持ち方で遺伝子のOn-Offが働き、関係するタンパクを合成し、それが身体に影響を及ぼすと話されていました。良い遺伝子をOnしましょうと。
幸せになりたいのに、不幸せな考えをして、不幸せにしているケースがあるのではないかと思います。不幸せな考えが遺伝子にも影響して、身体にもマイナスに働いているのかもしれません。幸せな考え方をすれば、幸せになったり、人間関係をよくしたりします。身体も幸せにしているのかもしれません。