先日テレビに八千草薫さんが出ておられました。今年1月に101歳で亡くなられた詩人、柴田トヨさんの半生を描いた映画「くじけないで」のトヨさんの役を演じられました。檀れいさん(若い頃)、芦田愛菜(幼少時)さん。トヨさんに詩作を勧めた息子役は武田鉄矢さんです。皇后さまが12日に千代田区の映画館で見られました。その時、八千草薫さんが隣の席に座られました。皇后さまは「とてもいいものを見せていただいて」と話されたそうです。
トヨさんは、1911年栃木市生まれで90歳過ぎてから詩作を始めれました。産経新聞「朝の詩」への投稿が評判を呼び、98歳で出版した詩集「くじけないで」などがベストセラーとなりました。トヨさんが生きる希望を失って元気がなくなって来たので、お母さんに元気を出して欲しい思って、自分がやっていた詩作を教えられたそうです。
シャンソン歌手の久保東亜子さんが詩に曲を付けたことがきっかけでNHKラジオ「ラジオ深夜便」に出演。「多くの人たちの愛情に支えられて今の自分がある」とトヨさんが述べられました。生きる希望を失っていたトヨさんがが多くの読者に希望を与えました。
2011年9月、満100歳を迎えたことを記念して、第2詩集『百歳』が出版されました。同年10月10日、NHK総合で「“不幸の津波に負けないで”~100歳の詩人 柴田トヨ~」が放映されました。著者の綴った詩を心の支えに、東日本大震災を乗り越え強く生きようとしている被災者たちの姿を中心に描かれたそうです。2012年8月の時点で、詩集『くじけないで』が160万部を達成しました。
トヨさんご自身、90歳の時に、まさかご自身がイキイキと生活し、多くの人に生きる希望を与えるなど思いもされなかったと思います。息子さんからの勧めがきっかけでした。それを受け容れ取り組まれたのはご自身の選択肢でした。
ロゴセラピー(「夜と霧」の著者 ヴィクトル・フランクルが始めた療法)では、”人生にYesという”生き方を導きます。自分が遭遇した状況を変えることはできないが、その状況でどうするかの自由は与えられています。だめだと思って、心と身体を蝕んで行くのも選択肢、その中で何か意味を見出そうとして生きるのも選択肢です。
意味を見出そうと生きようとする意欲は潮の満ち引きに例えてみることができます。岩礁はその人が抱えいる問題だったり、トラウマと例えます。潮が引いた状態では、その岩礁が大きく見え、目立ちます。もし、潮が満ちるとその岩礁はほとんど見えなくなったり、小さく見えます。この潮が”人生にYes”という意欲と考えます。ロゴセラピーでは、この意欲を高めるかどうかは、その人の精神と考えます。心と身体が蝕まれていても、その上位にある精神が健全であれば、人はその厳しい状況でも希望を持って生きることができると教えています。
トヨさんの息子さんはまさにロゴセラピストのようなカウンセリングをされ、トヨさんは”人生にYes”との選択をされ、ご自分の道を歩まれたのだと思います。それが多くの人に希望を与えられました。