(議事録の引用ですので長いです。最後に感想を掲載しています)
http://www.asyura2.com/12/genpatu27/msg/758.html より一部引用
2006年12月安倍首相「日本の原発で電源喪失はない」
→2012年10月安倍総裁「福島は収束せず」
衆議院の公式サイトから引用します。現在、その時の議事録は別の場所に移され見つけるのが難しい(できない?)とラジオで話をしていました。
Webサイトに一度掲載すると、それを他の方が引用するので、Webサイトから消し去ることは難しいと言われてます。当時の議事録は見ることが難しくなっていますが、既に議事録がWebサイトに引用されています。
2006年12月13日の共産党の吉井英勝参議院議員の質問
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a165256.htm
巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問主意書 提出者 吉井英一
大規模地震時の原発のバックアップ電源について
1 原発からの高圧送電鉄塔が倒壊すると、原発の負荷電力ゼロになって原子炉停止(スクラムがかかる)だけでなく、停止した原発の機器冷却系を作動させるための外部電源が得られなくなるのではないか。 そういう場合でも、外部電源が得られるようにする複数のルートが用意されている原発はあるのか。あれば実例を示されたい。
また、実際に日本で、高圧送電鉄塔が倒壊した事故が原発で発生した例があると思うが、その実例と原因を明らかにされたい。
2 落雷によっても高圧送電線事故はよく起こっていると思われるが、その結果、原子炉緊急停止になった実例を示されたい。
3 外部電源が取れなくても、内部電源、即ち自家発電機であるディーゼル発電機と無停電電源であるバッテリー(蓄電器)が働けば、機器冷却系の作動は可能になると考えられる。逆に考えると、大規模地震でスクラムがかかった原子炉の核燃料棒の崩壊熱を除去するためには、機器冷却系電源を確保できることが、原発にとって絶対に必要である。しかし、現実には、自家発電機(ディーゼル発電機)の事故で原子炉が停止するなど、バックアップ機能が働かない原発事故があったのではないか。過去においてどのような事例があるか示されたい。
4 スウェーデンのフォルクスマルク原発1号(沸騰水型原発BWRで出力一〇〇・八万kw、運転開始一九八一年七月七日)の事故例を見ると、バックアップ電源が四系列あるなかで二系列で事故があったのではないか。
5 日本の原発の約六割はバックアップ電源が二系列ではないのか。仮に、フォルクスマルク原発1号事故と同じように、二系列で事故が発生すると、機器冷却系の電源が全く取れなくなるのではないか。
6 大規模地震によって原発が停止した場合、崩壊熱除去のために機器冷却系が働かなくてはならない。津波の引き波で水位が下がるけれども一応冷却水が得られる水位は確保できたとしても、地震で送電鉄塔の倒壊や折損事故で外部電源が得られない状態が生まれ、内部電源もフォルクスマルク原発のようにディーゼル発電機もバッテリーも働かなくなった時、機器冷却系は働かないことになる。この場合、原子炉はどういうことになっていくか。原子力安全委員会では、こうした場合の安全性について、日本の総ての原発一つ一つについて検討を行ってきているか。
また原子力・安全保安院では、こうした問題について、一つ一つの原発についてどういう調査を行ってきているか。調査内容を示されたい。
7 停止した後の原発では崩壊熱を除去出来なかったら、核燃料棒は焼損(バーン・アウト)するのではないのか。その場合の原発事故がどのような規模の事故になるのかについて、どういう評価を行っているか。
(中略)
二 沸騰遷移と核燃料棒の安全性について
1 原発運転中に、膜沸騰状態に覆われて高温下での冷却不十分となると、核燃料棒の焼損(バーン・アウト)が起こる。焼損が発生した場合に、放射能汚染の規模がどのようなものになるのかをどう評価しているか。原子炉内に閉じ込めることができた場合、大気中に放出された場合、さらに原子炉破壊に至る規模の事故になった場合まで、それぞれの事故の規模ごとに、放射能汚染の規模や内容がどうなるかを示されたい。
(以下略)
で…上の質問趣意書への安倍総理(当時)の2006年12月22日の答弁
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b165256.htm
内閣衆質一六五第二五六号 平成十八年十二月二十二日 内閣総理大臣 安倍晋三
衆議院議員吉井英勝君提出巨大地震の発生に伴う安全機能の喪失など原発の危険から国民の安全を守ることに関する質問に対する答弁書
一の1について
我が国の実用発電用原子炉に係る原子炉施設(以下「原子炉施設」という。)の外部電源系は、二回線以上の送電線により電力系統に接続された設計となっている。また、重要度の特に高い安全機能を有する構築物、系統及び機器がその機能を達成するために電源を必要とする場合においては、外部電源又は非常用所内電源のいずれからも電力の供給を受けられる設計となっているため、外部電源から電力の供給を受けられなくなった場合でも、非常用所内電源からの電力により、停止した原子炉の冷却が可能である。
また、送電鉄塔が一基倒壊した場合においても外部電源から電力の供給を受けられる原子炉施設の例としては、北海道電力株式会社泊発電所一号炉等が挙げられる。
お尋ねの「高圧送電鉄塔が倒壊した事故が原発で発生した例」の意味するところが必ずしも明らかではないが、原子炉施設に接続している送電鉄塔が倒壊した事故としては、平成十七年四月一日に石川県羽咋市において、北陸電力株式会社志賀原子力発電所等に接続している能登幹線の送電鉄塔の一基が、地滑りにより倒壊した例がある。
一の2について
落雷による送電線の事故により原子炉が緊急停止した実例のうち最近のものを挙げれば、平成十五年十二月十九日に、日本原子力発電株式会社敦賀発電所一号炉の原子炉が自動停止した事例がある。
一の3について
我が国において、非常用ディーゼル発電機のトラブルにより原子炉が停止した事例はなく、また、必要な電源が確保できずに冷却機能が失われた事例はない。
一の4について
スウェーデンのフォルスマルク発電所一号炉においては、平成十八年七月二十五日十三時十九分(現地時間)ころに、保守作業中の誤操作により発電機が送電線から切り離され、電力を供給できなくなった後、他の外部電源に切り替えられなかった上、
バッテリーの保護装置が誤設定により作動したことから、当該保護装置に接続する四台の非常用ディーゼル発電機のうち二台が自動起動しなかったものと承知している。
一の5について
我が国において運転中の五十五の原子炉施設のうち、非常用ディーゼル発電機を二台有するものは三十三であるが、我が国の原子炉施設においては、外部電源に接続される回線、非常用ディーゼル発電機及び蓄電池がそれぞれ複数設けられている。
また、我が国の原子炉施設は、フォルスマルク発電所一号炉とは異なる設計となっていることなどから、同発電所一号炉の事案と同様の事態が発生するとは考えられない。
一の6について
地震、津波等の自然災害への対策を含めた原子炉の安全性については、原子炉の設置又は変更の許可の申請ごとに、「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」(平成二年八月三十日原子力安全委員会決定)等に基づき経済産業省が審査し、その審査の妥当性について原子力安全委員会が確認しているものであり、御指摘のような事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである。
一の7について
経済産業省としては、お尋ねの評価は行っておらず、原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである。
(中略)
二の1について
経済産業省としては、お尋ねの評価は行っておらず、原子炉の冷却ができない事態が生じないように安全の確保に万全を期しているところである。
(後略)
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-205.html より一部引用
自民党の議員たちは福島原発事故が民主党によって引き起こされたかのように宣伝していますが、安全対策を怠るどころか、安全装置を撤去して事故の一因を作り出したのは他ならない自民党なのです。
例えば、小泉政権時代に福島原発を始めとする原発の安全装置を撤去していた話は有名です。
☆【原口前総務相】福島第一原発の安全装置は小泉政権が撤去していた
以下は原子力安全委員会の速記録。蒸気凝縮系の機能を削除したことが書かれているのが分かります。
☆第10回
原子力安全委員会定例会議
URL http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/anzen/soki/soki2003/genan_so10.htm
引用:
それでは、2-3号に基づきまして、申請の概要につきましてご説明させていただきます。
申請者は東京電力株式会社でございます。対象となるプラントにつきましては、福島第一原子力発電所でございます。
原子炉の型式、熱出力につきましては、型式につきましては、3号がウラン・プルトニウム混合酸化物燃料、MOX燃料を使えるということで設置許可を受けてございまして、これ以外の2から6号については同じでございます。熱出力につきましては、2から5号につきまして、2380MW、6号については3300MWでございます。
申請年月日につきましては、昨年の7月5日に申請があったわけでございます。それから、変更項目につきましては2点ございます。
2号につきまして、冷却材再循環ポンプの電源装置を、従来機械式でございましたMGセットから、電子装置を用いました静止形に変更するというものが第1点でございまして、もう1点は、2から6号共通でございますが、残留熱除去系の蒸気凝縮系の機能を削除するものでございます。
この工事につきましては、一昨年、中部電力の浜岡1号で余熱除去系の蒸気凝縮系配管が破断するというトラブルがございまして、この対策工事でございます。既に浜岡1号、東海第二、女川発電所で、それぞれ許可を受けまして、工事を行っております。
:引用終了
このことについては雑誌などでも取り上げられており、当時の東電社長は勝俣恒久氏であることなどが判明しています。未だにこの件についての明確な責任追及が行われておらず、中途半端な状況となっています。
☆福島第1原発の命綱の冷却システム『蒸気凝縮系機能』は外されていた
URL http://geocities.yahoo.co.jp/gl/matiplanplan/view/20110609/1307583720
引用:
誰だって、危機的になれば命綱を付ける。しかし、平時に命綱を付けておく、というのは、煩わしく、負担の重いものである。
今回の福島第1原発事故を振り返ると、設計時に付いていた『蒸気凝縮系機能』(原子炉から出る蒸気を「熱交換器」で冷やして水に戻し、再び原子炉に注水する冷却システム)を外していたということが、『週刊文春』(6/9)の上杉隆氏と文春取材班によって明らかにされている。
「なぜあれほど簡単にメルトダウンしてしまったのか。私は福島第一原発の事故以来、ずっと不思議に思っていました」
こう語るのは佐賀大学元学長の上原春夫氏である。上原氏は福島第一原発の復水器の設計に携わった経験を持つ。事故後、政府の招きで東電本店を訪れていた上原氏は、ある重大な事実に気がついたという。
「福島原発の設計時には、『蒸気凝縮系機能』という最後の砦となる冷却システムが存在していました。それはどうなったのかと東電に聞くと、『ない』というのです]
「・・・蒸気凝縮系機能は、電源がなくても作動する。ある意味、震災などの非常時にはいちば
ん大事な役割を果たすはずだった冷却システムなのです」
(中略)
私は、5月18日のブログ「原発は地震にも、津波にも弱かった その2 非常冷却装置は壊れていた?」において、地震直後に1号機の「非常用復水器」(非常用炉心冷却装置)による炉心冷却ができなかった理由について、地震によるパイプ破損が原因ではないか、と述べた。
さらに、「2・3号機には電気を必要としない蒸気タービン駆動の非常用炉心冷却装置があり、それぞれ約3日間と1.5日間、炉心に水を注入し続けたというのであるが、それがなぜ機能しなくなり、炉心メルトダウンに至り、水素爆発を起こしたのか、その原因が明らかにされていない」ことについて疑問を述べた。
この「蒸気タービン駆動の非常用炉心冷却装置」なるものとは別に「蒸気凝縮系機能という冷却システム」が備わっていたようなのであるが、それが、福島第1原発の2~6号機では、約10億円かけて撤去されていたのである。(第10回原子力安全委員会資料 H15・2 申請者 勝俣恒久東電社長http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/genan2003/genan010/siryo6.htm)
2006年に京大原子核工学科出身の吉井英勝代議士(共産党)が津波対策や全電源喪失対策について国会で質問している(3月31日ブログ「大津波は想定内であった その3:福島第1原発が津波に弱いことを自民党政府は知っていた」)。
:ブログ「天漢日乗http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2011/03/2005-073-4f4d.html」
さらに、2009年6月には産業技術総合研究所活断層・地震研究センターの岡村行信センター長は869年の貞観津波や1500年ころの東北から関東にかけての大地震をもとに、再びM8.4の地震(東電想定のM7.9の約6倍)と大津波が来る可能性を経済産業省の専門家の会合で指摘している(3月30日ブログ「大津波は想定内であった その1:巨大津波は予測されていた」)。
感想;
ヒューマン・エラーの分類
1.能力の限界
2.能力不足・知識不足
3.Slip(錯誤)、Lapse(し忘れ)、Mistake(ミステイク)、Violation(違反・手抜き・怠慢)
今回のヒューマン・エラーはどれになるのでしょうか?
1.能力の限界とは、技術の想定外だったと言うことです。つまり、当時の技術では予測が出来ず、リスクと考えることも出来なかったとのことです。共産党の吉井代議士の質問内容を読むと、想像は出来、リスクも認識され議論されていました。
2.能力不足・知識不足の観点では、まさに当時の安倍総理、東電の勝俣恒久社長が能力不足・知識不足だったのではないかととも考えられます。
もし、能力・知識があったとすると、3.のどれかになります。MistakeかViolationが近いように思います。
当時の菅総理大臣の対応に批判がありましたが、東電が福島から引き上げを提案した時に、「引き上げは絶対できない」と判断した菅総理大臣は、ぎりぎりのところで、適切な判断をしたことになります。それができない人だったと思うと、想像するのでさえ恐ろしくなります。
今も、福島原発では汚染水の問題や除去システムのトラブルなどコントロールされている状態とは言い難い状況です。当時の首相や東電が判断した間違いを繰り返さないで欲しいと願うばかりです。そのためには私たちも関心を持ち続けることではないでしょうか。