「食べない心吐く心」 小野瀬健人著より
摂食障害は意志の弱さではない。“心の傷”が摂食中枢を故障させている。
心の傷は、愛されたい願望を強く否定するもの
拒食はこれほど望んでも叶えられない愛情を拒む行為と見ることもできる。
過食は叶えられない愛情を食べることで満たそうとする行為である。
食事制限をするようになって急激に痩せて行くと、本人が食べなければ身体が持たないと気が付いても、もう自分の意志で必要な栄養を取ることが出来なくなっている。
心の傷は親から受けることが多くある。子供を摂食障害にさせてしまった母親は愛情が薄いかといえば、必ずしもそうでないところがこの病気をわかりにくくしている。
摂食障害を発症する人は、ほぼ例外なく幼児期(4歳~6歳)に心の傷を受けている。
摂食障害の人の両親は必ずしも夫婦喧嘩をするとは限らないが、夫婦仲に溝があることが多い。それも母親が父親よりも優位に立っているように思われる。
子供心に夫婦の破城を自分が食い止めようとする。
そのために良い子でいようと努める。
成績がよくないと自分が自分でなくなってしまう。
母親の評価が娘の自我の成長を阻止む。
摂食障害の治療の4本柱
心の傷の癒し
親からの愛情の受け直し
自我の再構築
親の謝罪
心の傷と愛情の枯渇が摂食障害を招く
辛い時に自分を責めるプログラムが働く
摂食障害の人は母を否定し、家族を否定し、自分自身をも否定している。
感想;
遠野なぎこさんも摂食障害だったそうです。
お母さんからの愛情を感じられなかったそうです。
お母さんはお母さん流の愛情だったとは思うのですが・・・。
愛情の伝え方も連鎖する場合もあると言われています。
http://www.hirokom.org/clinic.htm より
「本書で取り上げる対人関係療法(IPT: Interpersonal Psychotherapy)は、短期対人関係療法という特別なかたちのものです。精神療法は、一般に、焦点を絞り込めば絞り込むほど短期に効果が上がります。「対人関係に焦点を当てる」といっても、「対人関係なら何でも」というふうに焦点を拡散してしまうと、幼い頃の対人関係や、いろいろな友人との対人関係など、次から次へと話題が出てきてしまい、長期にわたってしまいます。一方、対人関係の中でもテーマを絞り込めば、短期で効果を得て治療を終了させることができるのです」
感想;
対人関係療法は、人との接し方を学ぶようです。
ロールプレイで実際の接し方を練習し、それをやってみます。
対人関係療法は摂食障害に効果があると言われています。
人との関係が一番大きなストレスになるのでしょう。
ストレスになるから、人との関係がなくてもよいと思っても、それはそれでまた寂しいのだと思います。
ハリネズミのジレンマを思い出しました。
ハリネズミは近づきすぎると針を立てているとお互いを傷つけます。
針が刺さらないように離れると触れ合いません。
適度な距離と、針を立てないことができるか。
まさに、対人関係で苦しんでいるのは、知らない内に自分の針を立てている場合があるかもしれません。あるいは針を立てている人に近づこうとしているのかもしれません。針を立てた人との距離、自分が針を立てないようにするのを、対人関係療法で学ぶのでしょう。対人関係の心の負担が減ると生きやすくなるのかもしれません。心の傷を抱えながら今、人との接し方を学び、愛情を感じることができるようになると過去の心の傷が目立たなくなるのではないでしょうか。
あたかも、
海の岩礁(過去の心の傷)が満ち潮(これからの愛情)で隠れるように。
人は人によりストレスや傷つけられることがありますが、
人は人によって癒されるのだと思います。