https://news.yahoo.co.jp/articles/1ee073958034c1d5dfcf3af2dabe5962acabd85b?page=1 10/21(水) AERA dot.
日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「緊急避妊薬」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
* * *
今月8日、政府が「緊急避妊薬の薬局での販売を検討する」方針であることが明らかとなりました。
「緊急避妊薬」とは、その名の通り、避妊に失敗したときに、緊急的に内服する避妊薬です。性交渉から3日以内、ないしは5日以内に内服しないと効果が期待できない薬であり、避妊に失敗してしまった場合や、そもそも避妊をしていなかった時に、緊急的な手段として翌朝に内服されることが多いことから、モーニングアフターピルやアフターピルとも呼ばれています。こちらの名称を耳にしたことがある方も多いかもしれません。
世界保健機関(WHO)は、「意図しない妊娠のリスクを抱えた全ての女性は、緊急避妊薬にアクセスする権利がある」として、必要とするときに手に入れることができるよう、複数の入手手段の確保を各国に勧告しています。
世界には、すでに市販化されている国や、処方箋がなくても薬剤師を通じて購入することができる国が存在する一方で、日本はというと、これから薬局での販売を検討されるという段階であり、処方箋がないと緊急避妊薬を手に入れることはできません。価格も1万円前後と高額です。これでは、WHOが勧告しているような女性にとって緊急避妊薬にアクセスしやすい環境であるとは到底言えないのではないでしょうか。
恥ずかしながら、私が薬局で緊急避妊薬を購入できるということを知ったのは、去年の秋頃でした。
ミャンマーのヤンゴンに学会で訪問した際、たまたま立ち寄ったスーパーの中にある薬局に、低用量ピルと緊急避妊薬が陳列してあるのを発見。日本以外の国でも、てっきり処方箋がないと手に入らないと思い込んでいた私にとっては、カルチャーショックでした。さらに、日本だと1万円前後くらいの値段で処方されている緊急避妊薬が、(もちろん物価の差はあるものの)100円もしなかったことへの衝撃は忘れられません。ちなみに、ピルの横にはバイアグラやコンドームも置いてありました。
薬局で購入できるとなると、いざ必要となった時に駆け込むこともできますし、常に持ち歩くことも可能です。WHOが勧告するような、意図しない妊娠のリスクを抱えた全ての女性が緊急避妊薬にアクセス可能であるミャンマーの現状を目の当たりにし、日本の現状に改めて憤りを感じざるを得ませんでした。
実は、緊急避妊薬を薬局で販売するかどうかについての検討は、初めてではありません。3年前、厚生労働省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会」で緊急避妊薬の市販化について議論されたことがありました。
緊急避妊薬についての議論は、第2回会議と第3回会議で行われたのですが、検討会の委員は男性12名、女性4名。委員に産婦人科医は含まれておらず、参考人として日本産婦人科医会の常務理事や産婦人科医である国立国際医療研究センター病院の副院長が入っているだけでした。
議事録には、「緊急避妊薬が市販化されると100%妊娠を阻止できると、一般の方が誤解されるのではないかと危惧する。また、何パーセントかの女性は知らない間に妊娠が継続していくとか、子宮外妊娠をきたすケースがあることまで薬剤師の方がしっかり説明できるとは思えない。(緊急避妊薬を内服する女性は)知識も経験もないので、妊娠に気付くのが遅れてしまう恐れがあり、そこが一番心配するところ」(国立国際医療研究センター病院副院長)、「性教育そのものがまだ日本はヨーロッパやアメリカからかなり遅れている。うちの妻は薬剤師ですが、ピルの話になると全くチンプンカンプンだ」(日本産婦人科医会 常務理事)」といった発言が残されており、これらの発言に対して、「薬そのものの安全性よりも、むしろ患者の理解や薬剤師の知識や理解の不足などといった、環境や使われ方への御懸念が多いことが気になる」という検討会の委員からの発言もありました。
この検討会の後のパブリックコメントでは、緊急避妊薬の市販化への賛成意見は320件、反対意見はわずか28件と、大多数の方が市販化を賛成したものの、緊急避妊薬の乱用や悪用の恐れ、薬剤師が十分に対応できるのかといった懸念から、緊急避妊薬の薬局での販売は「時期尚早」であるとして、緊急避妊薬の市販化は認められませんでした。
その後、緊急避妊薬の市販化については見送られたままでしたが、今回、男女共同参画に必要な女性の健康支援策の一つとして、改めて検討する課題として掲げられたようです。
緊急避妊薬の市販化されると、性感染症が増えるのではないか、といった声や、悪用・乱用されるのではないかといった意見がありますが、ワシントン大学のSecure氏らは、無料で避妊法を提供しても、性交頻度は上昇したものの、性交渉相手の数や性感染症(STI)・クラミジアと淋病の頻度上昇は認めらなかったと報告しています。
日本の性教育は不十分だから、安易な使用が広がるという指摘もありますが、男性の避妊法であるコンドームが安価で容易に手に入る一方で、女性の避妊法である緊急避妊薬はどうしてこんなにも高額で手に入りにくいのか、私には不思議で仕方ありません。
果たして、本当に緊急避妊薬の薬局での販売が許可されるのか、また、実際薬局で販売されるとしたら、手に届きやすい安価な値段となるのか、注目して見守りたいと思います。
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員
感想;
「緊急避妊薬が市販化されると100%妊娠を阻止できると、一般の方が誤解されるのではないかと危惧する。また、何パーセントかの女性は知らない間に妊娠が継続していくとか、子宮外妊娠をきたすケースがあることまで薬剤師の方がしっかり説明できるとは思えない。(緊急避妊薬を内服する女性は)知識も経験もないので、妊娠に気付くのが遅れてしまう恐れがあり、そこが一番心配するところ」(国立国際医療研究センター病院副院長)
「性教育そのものがまだ日本はヨーロッパやアメリカからかなり遅れている。うちの妻は薬剤師ですが、ピルの話になると全くチンプンカンプンだ」(日本産婦人科医会 常務理事)」
「薬そのものの安全性よりも、むしろ患者の理解や薬剤師の知識や理解の不足などといった、環境や使われ方への御懸念が多いことが気になる」という検討会の委員からの発言もありました。
薬剤師も低く見られたものです。
きちんと説明する能力がないから、薬剤師には任せられない、それは医者の仕事だということでしょう。
薬剤師協会はここまで言われて反論されないのでしょうか?
医者への反論を控えているとしたら、薬剤師もそんなレベルなのでしょう。
ユースビルが問題になった時、それを処方した医者と製薬会社が問題視されましたが、薬剤師の責任は言われませんでした。
なんのために薬剤師が存在しているのかが問われる事件でした。
「ハサミと電卓さえあれば、薬局の薬剤師の仕事はできる」と豪語されていた国立大学の薬学部の教授もいらっしゃいました。
また、妊娠の原因を作っているのは男性です。
その男性の責任をなんとかせずに、女性が泣き寝入りです。
いまだにレイプや、女性の了解を得ないセックスの強要がなくなりません。
かって「強姦するくらいの元気がないといけない」と発言した国会議員もいました。
詩織さんをドラッグで準強姦したと訴えられ、民事の一審で有罪とされた山口敬之氏のような男性がいるのが現実です。刑事では上の圧力で逮捕直前にそれが停止されました。
権力あればレイプもなかったことにできるようです。
それに国民が怒らないのは、女性を大切にしていないからです。
せめてそれを救う手段が、緊急避妊薬です。
何のために厚労省は存在しているのかと疑いたくなります。
女性の国会議員もいらっしゃいますが、なぜもっと声を上げないのでしょう?
自分が自分の娘が、詩織さんのように、他の女性のようにレイプされたら、どう思うでしょう?
女性の幹部や国会議員がもっともっと増えないと、日本はよくならないですね。
ただ、杉田水脈議員のような国会議員もいますので、人を見る目を養う必要はありますが。
日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「緊急避妊薬」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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今月8日、政府が「緊急避妊薬の薬局での販売を検討する」方針であることが明らかとなりました。
「緊急避妊薬」とは、その名の通り、避妊に失敗したときに、緊急的に内服する避妊薬です。性交渉から3日以内、ないしは5日以内に内服しないと効果が期待できない薬であり、避妊に失敗してしまった場合や、そもそも避妊をしていなかった時に、緊急的な手段として翌朝に内服されることが多いことから、モーニングアフターピルやアフターピルとも呼ばれています。こちらの名称を耳にしたことがある方も多いかもしれません。
世界保健機関(WHO)は、「意図しない妊娠のリスクを抱えた全ての女性は、緊急避妊薬にアクセスする権利がある」として、必要とするときに手に入れることができるよう、複数の入手手段の確保を各国に勧告しています。
世界には、すでに市販化されている国や、処方箋がなくても薬剤師を通じて購入することができる国が存在する一方で、日本はというと、これから薬局での販売を検討されるという段階であり、処方箋がないと緊急避妊薬を手に入れることはできません。価格も1万円前後と高額です。これでは、WHOが勧告しているような女性にとって緊急避妊薬にアクセスしやすい環境であるとは到底言えないのではないでしょうか。
恥ずかしながら、私が薬局で緊急避妊薬を購入できるということを知ったのは、去年の秋頃でした。
ミャンマーのヤンゴンに学会で訪問した際、たまたま立ち寄ったスーパーの中にある薬局に、低用量ピルと緊急避妊薬が陳列してあるのを発見。日本以外の国でも、てっきり処方箋がないと手に入らないと思い込んでいた私にとっては、カルチャーショックでした。さらに、日本だと1万円前後くらいの値段で処方されている緊急避妊薬が、(もちろん物価の差はあるものの)100円もしなかったことへの衝撃は忘れられません。ちなみに、ピルの横にはバイアグラやコンドームも置いてありました。
薬局で購入できるとなると、いざ必要となった時に駆け込むこともできますし、常に持ち歩くことも可能です。WHOが勧告するような、意図しない妊娠のリスクを抱えた全ての女性が緊急避妊薬にアクセス可能であるミャンマーの現状を目の当たりにし、日本の現状に改めて憤りを感じざるを得ませんでした。
実は、緊急避妊薬を薬局で販売するかどうかについての検討は、初めてではありません。3年前、厚生労働省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会」で緊急避妊薬の市販化について議論されたことがありました。
緊急避妊薬についての議論は、第2回会議と第3回会議で行われたのですが、検討会の委員は男性12名、女性4名。委員に産婦人科医は含まれておらず、参考人として日本産婦人科医会の常務理事や産婦人科医である国立国際医療研究センター病院の副院長が入っているだけでした。
議事録には、「緊急避妊薬が市販化されると100%妊娠を阻止できると、一般の方が誤解されるのではないかと危惧する。また、何パーセントかの女性は知らない間に妊娠が継続していくとか、子宮外妊娠をきたすケースがあることまで薬剤師の方がしっかり説明できるとは思えない。(緊急避妊薬を内服する女性は)知識も経験もないので、妊娠に気付くのが遅れてしまう恐れがあり、そこが一番心配するところ」(国立国際医療研究センター病院副院長)、「性教育そのものがまだ日本はヨーロッパやアメリカからかなり遅れている。うちの妻は薬剤師ですが、ピルの話になると全くチンプンカンプンだ」(日本産婦人科医会 常務理事)」といった発言が残されており、これらの発言に対して、「薬そのものの安全性よりも、むしろ患者の理解や薬剤師の知識や理解の不足などといった、環境や使われ方への御懸念が多いことが気になる」という検討会の委員からの発言もありました。
この検討会の後のパブリックコメントでは、緊急避妊薬の市販化への賛成意見は320件、反対意見はわずか28件と、大多数の方が市販化を賛成したものの、緊急避妊薬の乱用や悪用の恐れ、薬剤師が十分に対応できるのかといった懸念から、緊急避妊薬の薬局での販売は「時期尚早」であるとして、緊急避妊薬の市販化は認められませんでした。
その後、緊急避妊薬の市販化については見送られたままでしたが、今回、男女共同参画に必要な女性の健康支援策の一つとして、改めて検討する課題として掲げられたようです。
緊急避妊薬の市販化されると、性感染症が増えるのではないか、といった声や、悪用・乱用されるのではないかといった意見がありますが、ワシントン大学のSecure氏らは、無料で避妊法を提供しても、性交頻度は上昇したものの、性交渉相手の数や性感染症(STI)・クラミジアと淋病の頻度上昇は認めらなかったと報告しています。
日本の性教育は不十分だから、安易な使用が広がるという指摘もありますが、男性の避妊法であるコンドームが安価で容易に手に入る一方で、女性の避妊法である緊急避妊薬はどうしてこんなにも高額で手に入りにくいのか、私には不思議で仕方ありません。
果たして、本当に緊急避妊薬の薬局での販売が許可されるのか、また、実際薬局で販売されるとしたら、手に届きやすい安価な値段となるのか、注目して見守りたいと思います。
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員
感想;
「緊急避妊薬が市販化されると100%妊娠を阻止できると、一般の方が誤解されるのではないかと危惧する。また、何パーセントかの女性は知らない間に妊娠が継続していくとか、子宮外妊娠をきたすケースがあることまで薬剤師の方がしっかり説明できるとは思えない。(緊急避妊薬を内服する女性は)知識も経験もないので、妊娠に気付くのが遅れてしまう恐れがあり、そこが一番心配するところ」(国立国際医療研究センター病院副院長)
「性教育そのものがまだ日本はヨーロッパやアメリカからかなり遅れている。うちの妻は薬剤師ですが、ピルの話になると全くチンプンカンプンだ」(日本産婦人科医会 常務理事)」
「薬そのものの安全性よりも、むしろ患者の理解や薬剤師の知識や理解の不足などといった、環境や使われ方への御懸念が多いことが気になる」という検討会の委員からの発言もありました。
薬剤師も低く見られたものです。
きちんと説明する能力がないから、薬剤師には任せられない、それは医者の仕事だということでしょう。
薬剤師協会はここまで言われて反論されないのでしょうか?
医者への反論を控えているとしたら、薬剤師もそんなレベルなのでしょう。
ユースビルが問題になった時、それを処方した医者と製薬会社が問題視されましたが、薬剤師の責任は言われませんでした。
なんのために薬剤師が存在しているのかが問われる事件でした。
「ハサミと電卓さえあれば、薬局の薬剤師の仕事はできる」と豪語されていた国立大学の薬学部の教授もいらっしゃいました。
また、妊娠の原因を作っているのは男性です。
その男性の責任をなんとかせずに、女性が泣き寝入りです。
いまだにレイプや、女性の了解を得ないセックスの強要がなくなりません。
かって「強姦するくらいの元気がないといけない」と発言した国会議員もいました。
詩織さんをドラッグで準強姦したと訴えられ、民事の一審で有罪とされた山口敬之氏のような男性がいるのが現実です。刑事では上の圧力で逮捕直前にそれが停止されました。
権力あればレイプもなかったことにできるようです。
それに国民が怒らないのは、女性を大切にしていないからです。
せめてそれを救う手段が、緊急避妊薬です。
何のために厚労省は存在しているのかと疑いたくなります。
女性の国会議員もいらっしゃいますが、なぜもっと声を上げないのでしょう?
自分が自分の娘が、詩織さんのように、他の女性のようにレイプされたら、どう思うでしょう?
女性の幹部や国会議員がもっともっと増えないと、日本はよくならないですね。
ただ、杉田水脈議員のような国会議員もいますので、人を見る目を養う必要はありますが。