https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E3%81%B8%E3%81%AE%E3%81%8A%E8%A9%AB%E3%81%B3%E3%81%A8%E3%81%8A%E9%A1%98%E3%81%84-%E3%81%9D%E3%82%8C%E4%BB%A5%E5%A4%96%E3%81%AB%E9%A6%96%E7%9B%B8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%97%E3%81%A6%E3%82%8B/ar-BB1ejJS7?ocid=msedgntp
青沼 陽一郎 2021/03/07 12:00 JBpress
3月5日、1都3県の緊急事態宣言の期限を2週間延長することを発表した菅義偉首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ) © JBpress 提供 3月5日、1都3県の緊急事態宣言の期限を2週間延長することを発表した菅義偉首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
菅義偉首相は自分の言葉の意味を理解できているのだろうか。
日本語の使い方がおかしいことは、以前にも書いた。それにもまして、支離滅裂とも受け取れる発言が、このところ気になって仕方ない。
2週間延長でも、結局は国民に自粛要請するだけ?
首都圏1都3県に出されている緊急事態宣言がさらに2週間、3月21日まで再延長されることになった。5日夜の政府の新型コロナウイルス対策本部で決まった。この日の首相の発言をまずは振り返ってみる。
決定前の同日午前の参議院予算委員会。菅首相は2週間延期の政府方針について、こう述べている。
「緊急事態宣言は、国民の日常生活に大きく制約するものであり、国民や事業者の皆さんのご協力にもかかわらず、今回2週間程度の延長が必要だと考えるに至ったことについては、率直に申し訳ない。このように思っております」
そう陳謝した。その上で続ける。
「再びこの宣言、リバウンドをなんとしても防ぐというそういう思いの中で、全力全霊をあげて取り組んでまいりたい」
「もう国民の皆さんに制約をお願いすることがないように、そういう思いで臨むのが私ども政府の役割だと思います」
そして、延長決定後の夜の記者会見。最初は1月に緊急事態宣言が発出されて以降、新規感染者、入院者、重症者の数が減少していることに触れ、
「これは、諸外国のような厳しい宣言を行わずとも、ひとえに皆様方の踏ん張りと、心を一つにして懸命に取り組んでいただいた結果であります。医療、介護などの関係者の皆さんの御尽力、国民の皆さんの御協力に心より感謝申し上げます」
と、した上で、
「当初お約束した3月7日までに宣言解除することができなかったことは大変申し訳ない思いであり、心よりおわびを申し上げます」
と、これまた国民に陳謝している。そして、今後の対策方針として挙げたのが、
「飲食店の時間短縮、不要不急の外出の自粛やテレワーク、こうした効果的な取組を地方自治体と連携し、徹底してまいります」
「特にリスクの高いのはマスクを外した会話が多くなる飲食であり、そこが対策の中心となることも分かってきました。春は卒業式、入学式、歓送迎会など人生の節目であるとともに、お花見など人が集まる機会も多くあります。昨年末には忘年会の影響で感染が拡大したと、こうした指摘もあります。今回、そうした機会であっても、大人数の会食はお控えいただきますよう、お願いします。そして、解除後の地域であっても、会食はできるだけ御家族、または4人以内でお願いいたします」
しかもこれを啓蒙するために、今後はテレビコマーシャルやSNSの動画による広報に力を入れていくという。
また「ワクチンが希望の光になる」とも語り、こう言及している。
「4月12日から全国の高齢者の皆さんへの接種をスタートし、4月末からは規模を大幅に拡大して、感染対策の切り札として、希望する国民の皆さんに一日も早くお届けいたしたいと思います」
そして、最後はこう結んで深々と頭を下げた。
「国民の皆様には、大変申し訳ない思いですが、皆さんの命と暮らしを守るために、そして、安心とにぎわいのある生活を取り戻すために、一層の御協力を心からお願い申し上げます」
首相は何に「全力全霊」を注いでいるのか
あらためて言質を並べてみると、首相の念頭にあるのは「感染拡大防止対策」であって、そこに「全力全霊」で取り組むということになる。
だが、その首相がやっていることは、まず陳謝することにはじまり、結局は、不要不急の外出や、もっとも感染リスクの高いとされる会食の「自粛」「制約」を求める「協力」を「お願い」するところに行き着く。詰まるところ、おわびと要請で頭を下げることに「全力全霊」を注いでいるに過ぎない。
もっとも会見では、感染を早期に発見し、クラスターの発生を防ぐために、高齢者施設などの検査実施や、市中感染を探知するための無症状者のモニタリング検査の実施と拡充も表明している。これは、同日に政府が改訂した基本的対策方針に盛り込まれたもので、他にも、感染経路や濃厚接触者を特定するための「積極的疫学調査」の再強化を保健所に呼びかける。
だが、そんなことは緊急事態宣言が発出される以前から、あるいはこの「第3波」の襲来が予測されていた時点で実施されるべきことであって、いまさら「全力全霊」で打ち込むべきことでもない。
そもそも、いまの首相は陳謝が多すぎる。総務省幹部の会食問題でも、自分の息子も絡んで陳謝を連発している。謝るのはいいが、責任の取り方を知っているのだろうか。
ワクチンへの過度の期待、専門家にたしなめられる首相
また「感染対策の切り札」と明言したワクチン。だが、ワクチンは新型コロナウイルス感染症の発症と重症化の予防に効果があるのであって、感染予防に効果があるのではない。
実際に厚生労働省のHPでは、接種がはじまったファイザー社の新型コロナワクチンについて、こう説明している。
「現時点では感染予防効果は明らかになっていません。ワクチン接種にかかわらず、適切な感染防止策を行う必要があります」
そこのところを記者会見で突っ込まれると、首相に並んで会見に臨んでいた政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長がこう取り繕い、半ばたしなめている。
「ワクチンを打ったからといって全てが無防備というわけにはいかない。最低の基本的な感染対策は続ける必要があるということは、是非国のリーダーあるいは自治体のリーダーには、副作用の云々の問題をしっかりと伝えると同時に、伝えていただければと思います」
尾見会長は、同日の参議院予算委員会でも、年内に人口の6〜7割がワクチン接種を受けると仮定しても「おそらく今年の冬までは感染が広がり、重症者も時々は出る」と発言している。
やっぱり菅首相は、他者の言葉を自分に都合よく解釈したり、自分で発する言葉の意味を理解できていないのではないか。感染防止対策に「全力全霊」で国民に協力を求める首相なんて、どう考えてもおかしい。
不正確な言葉遣いが問題の焦点をぼやけさせる
政治家にとって言葉はすべてだ。民主主義においては、議論によって国家の指針や運営が定まるのであって、そこで必要なものは言葉だけだ。武力や財力で歪められることがあってはならない。単純なことだ。だからこそ言葉が重要なのであり、蔑ろにしていいものではない。
言葉は世につれて変わっていくものだ。新しい言葉が生まれたり、意味合いが変わったりする。だが、それも俗世の中で変遷するものであって、政治の舞台で発するものとは次元が異なる。だからこそ、菅首相が繰り返し使う「スピード感」なんていうそれまでにない曖昧な表現は避けるべきだ。まして、日本の行政府の長が日本語を曲解して施策を打ち出すことがあっていいはずもない。
指導者の言葉が明瞭でも、その意味するところが曖昧だったり、よくよく吟味すると支離滅裂だったりする状態で、本当にコロナ禍の難局が乗り切れるのか。今後も不安が尽きない。
感想;
国民にお願いすること以外に、やること思いつかないのでしょうか?
海外の指導者を見習うこともされないようです。
気の毒になるほど、論理的な思考ができないようです。
権力で、左遷させたり、脅すことで自分の意に反する人を遠ざけています。
歴史で愚政治家の典型です。
少しは歴史からの学びもされていないのでしょうか?javascript:void(0)
青沼 陽一郎 2021/03/07 12:00 JBpress
3月5日、1都3県の緊急事態宣言の期限を2週間延長することを発表した菅義偉首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ) © JBpress 提供 3月5日、1都3県の緊急事態宣言の期限を2週間延長することを発表した菅義偉首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)
菅義偉首相は自分の言葉の意味を理解できているのだろうか。
日本語の使い方がおかしいことは、以前にも書いた。それにもまして、支離滅裂とも受け取れる発言が、このところ気になって仕方ない。
2週間延長でも、結局は国民に自粛要請するだけ?
首都圏1都3県に出されている緊急事態宣言がさらに2週間、3月21日まで再延長されることになった。5日夜の政府の新型コロナウイルス対策本部で決まった。この日の首相の発言をまずは振り返ってみる。
決定前の同日午前の参議院予算委員会。菅首相は2週間延期の政府方針について、こう述べている。
「緊急事態宣言は、国民の日常生活に大きく制約するものであり、国民や事業者の皆さんのご協力にもかかわらず、今回2週間程度の延長が必要だと考えるに至ったことについては、率直に申し訳ない。このように思っております」
そう陳謝した。その上で続ける。
「再びこの宣言、リバウンドをなんとしても防ぐというそういう思いの中で、全力全霊をあげて取り組んでまいりたい」
「もう国民の皆さんに制約をお願いすることがないように、そういう思いで臨むのが私ども政府の役割だと思います」
そして、延長決定後の夜の記者会見。最初は1月に緊急事態宣言が発出されて以降、新規感染者、入院者、重症者の数が減少していることに触れ、
「これは、諸外国のような厳しい宣言を行わずとも、ひとえに皆様方の踏ん張りと、心を一つにして懸命に取り組んでいただいた結果であります。医療、介護などの関係者の皆さんの御尽力、国民の皆さんの御協力に心より感謝申し上げます」
と、した上で、
「当初お約束した3月7日までに宣言解除することができなかったことは大変申し訳ない思いであり、心よりおわびを申し上げます」
と、これまた国民に陳謝している。そして、今後の対策方針として挙げたのが、
「飲食店の時間短縮、不要不急の外出の自粛やテレワーク、こうした効果的な取組を地方自治体と連携し、徹底してまいります」
「特にリスクの高いのはマスクを外した会話が多くなる飲食であり、そこが対策の中心となることも分かってきました。春は卒業式、入学式、歓送迎会など人生の節目であるとともに、お花見など人が集まる機会も多くあります。昨年末には忘年会の影響で感染が拡大したと、こうした指摘もあります。今回、そうした機会であっても、大人数の会食はお控えいただきますよう、お願いします。そして、解除後の地域であっても、会食はできるだけ御家族、または4人以内でお願いいたします」
しかもこれを啓蒙するために、今後はテレビコマーシャルやSNSの動画による広報に力を入れていくという。
また「ワクチンが希望の光になる」とも語り、こう言及している。
「4月12日から全国の高齢者の皆さんへの接種をスタートし、4月末からは規模を大幅に拡大して、感染対策の切り札として、希望する国民の皆さんに一日も早くお届けいたしたいと思います」
そして、最後はこう結んで深々と頭を下げた。
「国民の皆様には、大変申し訳ない思いですが、皆さんの命と暮らしを守るために、そして、安心とにぎわいのある生活を取り戻すために、一層の御協力を心からお願い申し上げます」
首相は何に「全力全霊」を注いでいるのか
あらためて言質を並べてみると、首相の念頭にあるのは「感染拡大防止対策」であって、そこに「全力全霊」で取り組むということになる。
だが、その首相がやっていることは、まず陳謝することにはじまり、結局は、不要不急の外出や、もっとも感染リスクの高いとされる会食の「自粛」「制約」を求める「協力」を「お願い」するところに行き着く。詰まるところ、おわびと要請で頭を下げることに「全力全霊」を注いでいるに過ぎない。
もっとも会見では、感染を早期に発見し、クラスターの発生を防ぐために、高齢者施設などの検査実施や、市中感染を探知するための無症状者のモニタリング検査の実施と拡充も表明している。これは、同日に政府が改訂した基本的対策方針に盛り込まれたもので、他にも、感染経路や濃厚接触者を特定するための「積極的疫学調査」の再強化を保健所に呼びかける。
だが、そんなことは緊急事態宣言が発出される以前から、あるいはこの「第3波」の襲来が予測されていた時点で実施されるべきことであって、いまさら「全力全霊」で打ち込むべきことでもない。
そもそも、いまの首相は陳謝が多すぎる。総務省幹部の会食問題でも、自分の息子も絡んで陳謝を連発している。謝るのはいいが、責任の取り方を知っているのだろうか。
ワクチンへの過度の期待、専門家にたしなめられる首相
また「感染対策の切り札」と明言したワクチン。だが、ワクチンは新型コロナウイルス感染症の発症と重症化の予防に効果があるのであって、感染予防に効果があるのではない。
実際に厚生労働省のHPでは、接種がはじまったファイザー社の新型コロナワクチンについて、こう説明している。
「現時点では感染予防効果は明らかになっていません。ワクチン接種にかかわらず、適切な感染防止策を行う必要があります」
そこのところを記者会見で突っ込まれると、首相に並んで会見に臨んでいた政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長がこう取り繕い、半ばたしなめている。
「ワクチンを打ったからといって全てが無防備というわけにはいかない。最低の基本的な感染対策は続ける必要があるということは、是非国のリーダーあるいは自治体のリーダーには、副作用の云々の問題をしっかりと伝えると同時に、伝えていただければと思います」
尾見会長は、同日の参議院予算委員会でも、年内に人口の6〜7割がワクチン接種を受けると仮定しても「おそらく今年の冬までは感染が広がり、重症者も時々は出る」と発言している。
やっぱり菅首相は、他者の言葉を自分に都合よく解釈したり、自分で発する言葉の意味を理解できていないのではないか。感染防止対策に「全力全霊」で国民に協力を求める首相なんて、どう考えてもおかしい。
不正確な言葉遣いが問題の焦点をぼやけさせる
政治家にとって言葉はすべてだ。民主主義においては、議論によって国家の指針や運営が定まるのであって、そこで必要なものは言葉だけだ。武力や財力で歪められることがあってはならない。単純なことだ。だからこそ言葉が重要なのであり、蔑ろにしていいものではない。
言葉は世につれて変わっていくものだ。新しい言葉が生まれたり、意味合いが変わったりする。だが、それも俗世の中で変遷するものであって、政治の舞台で発するものとは次元が異なる。だからこそ、菅首相が繰り返し使う「スピード感」なんていうそれまでにない曖昧な表現は避けるべきだ。まして、日本の行政府の長が日本語を曲解して施策を打ち出すことがあっていいはずもない。
指導者の言葉が明瞭でも、その意味するところが曖昧だったり、よくよく吟味すると支離滅裂だったりする状態で、本当にコロナ禍の難局が乗り切れるのか。今後も不安が尽きない。
感想;
国民にお願いすること以外に、やること思いつかないのでしょうか?
海外の指導者を見習うこともされないようです。
気の毒になるほど、論理的な思考ができないようです。
権力で、左遷させたり、脅すことで自分の意に反する人を遠ざけています。
歴史で愚政治家の典型です。
少しは歴史からの学びもされていないのでしょうか?javascript:void(0)