・テレビ報道、三つの危うさ
1)「事実の豊かさを、削ぎ落してしまう」という危うさ
2)「視聴者に感情の共有化、一体化を促してしまう」という危うさ
3)「視聴者の情緒や人々の風向きに、テレビの側が寄り添ってしまう」という危うさ
・帰国子女で小学校の数年を除いて海外の大学やインターナショナルスクールで教育を受けてきた私は、日本のことをきちんと理解できていないことがコンプレックスになっていた。
・同時通訳での対応が必要なこともわかってきたので、同時通訳者と養成する専門学校にも通い始めた。
・耳で聞いたことを正確に言葉にする訓練、リピーティングの授業があった。その訓練を繰り返していくうちに、私は苦手だと感じていた日本語が口の中で定着していくように感じ始めた。
・同時通訳者を養成する専門学校に通って良かったことが、もう一つある。みんなの前で何度も自分の語学力をさらけだす訓練は、私に度胸というものをつけさせてくれたのだ。帰国子女は英語で話すときと日本語で話すときとでは、人が変わったようになると言われることが多い。
・キャスター(ニューストゥデーの国際ニュース担当)という仕事に偶然めぐり会い、抜擢されて総合テレビに出たものの、経験と能力不足が露呈し、わずか一年で外された。
・番組を続けていくなかで、私には次第に、時代感覚を言葉にする力(コメント力)と、ゲストに向き合える力(インタビュー力、聞く力)を研ぎますことが、キャスターの仕事であることが見え始めてきた。
・キャスターの役割
1) 視聴者と取材者の橋渡し役
2) 自分の言葉で語る
3) 言葉探し
・ゲストの方との対話も、生放送の緊張のなかでのほうが良い話が聞ける。
・倉本聰
「クリスマスは何かをしてもらう日ではない。何かを人のためにする日だ。VTRレポートには、こうしてほしい、あれがほしいが描かれている、全く違う」。倉本さんはクリスマスとは本当はどういう日かを話してくれた。私は、大事なことに気づかされた思いがした。
・次第にインタビューを中心とする<クローズアップ現代>がめぐってくるたびに、私は一つのことを根ほり葉ほり尋ねるようになっていった。「しつこい」という眼差しを向けられることがあるが、相手の深い思いにたどり着くためには、このこだわりが大切だと確信するようになった。インタビューは、自分の能力と準備の深さが試されるものであり、それがさらけ出されるものだ。
・「聞く」と「聴く」
経済学者の内田義彦さんに「聞と聴」というエッセイがある「生きること 学ぶこと」。英語に置き換えると「ヒア」と「リッスン」となる。その内田さんのエッセイのなかに、「肝要なのは聞こえてくるように、聴くこと」とある。ヒアできるようにリッスンすること。また「聴に徹しながら聞こえてくるのを待つ」ともある。リッスンしながらヒアできるのを待つ、ということになる。つまり内田さんは、相手の話の細部にまで耳を傾け、注意深く丁寧に聴く、リッスンする力は大事だが、その人全体が発するメッセージを丁寧に聞く力、ヒアする力を見失ってはならないと言っているのだ。
「耳をそばだてて、あるいはチェック・ポイントをおいて聴かなければ人のいうことは聞こえてこない。がしかし、下手に聴にこだわると、聴いていても聞こえない、いや、聴けば聴くほど聞くことから遠ざかる、こちらが仕掛けたチェック・ポイントに関するかぎりのことは理解されるけれども存在としての対象は遠のいてしまう」「聴に徹しながら聞こえてくるのを待つ」
大切なことは聞こえてくるように、聴くこと、インタビューの「聞く力」には、観察力と想像力が求められているのだ。
・「曖昧な言葉で質問すると曖昧な答えしか返ってこないが、正確な質問をすると正確な答えが返ってくる。明確な定義を持つ言葉でコミュニケーションすれば、その人は自分の言葉に責任を持つようになる」
・17秒の沈黙
この沈黙の17秒は、高倉健さんにとって自分の話す言葉を探している大事な時間だったのではないだろうか。このインタビューで私は「待つ」ことの大切さを学んだ気がする。
「待つこと」も「聞くこと」につながる。
後日談になるが、番組を観てくださった高倉さんから、あの17秒の間をそのまま放送で残してくれてありがとう、といメッセージが寄せられた。こうして私は次第にインタビューでの対話を楽しめるようになっていった。
・「今日の話はここまでにしよう」と思っている人に、もう一歩踏み込んで、さらに深く話をしてもらうためには、こちらの情熱と、しつこさにかかっているのだ。
・日本のなかには、多数意見と異なるものへの反発や、多数意見への同意、あるいは同調を促す雰囲気のようなもの、いわゆる「同調圧力」と呼ばれる空気のようなものがある。
そのような状況のなかで、本来は同調圧力に抗すべきメディア、報道機関までが、その同調圧力に加担するようになってはいないだろうか。
テレビ報道の持つ三つの危うさの一つとして「感情の一体化」を進めてしまうテレビ、そしてそれが進めば進むほど、今度はその感情に寄り添おうとするテレビの持つ危うさ。こうした流れが生まれやすいことを、メディアに関わる人間はいまこそ強く意識しなくれはならないと思う。
・インタビューに対する「圧力」
人気の高い人物に対して切り込んだインタビューを行うと、視聴者の方々から想像以上の強い反発が寄せられるという事実だった。
・菅官房長官への私のインタビューは、様々なメディアで、首相官邸周辺の不評を買ったとの報道がなされた。それが事実かどうか私は知らないが、もしそうだとすれば、「しかし」という切り替えしの言葉を繰り返したことが、不評を買うことにつながったのかもしれない、まだまだ、「聞くべきことはきちんと聞く、繰り返し聞く」ということには、様々な困難が伴うのだろうか。
・インタビューで私は多くの批判も受けてきたが、23年間、<クローズアップ現代>のキャスターとしての仕事の核は、問いを出し続けることであったように思う。それはインタビューの相手だけでなく、視聴者への問いかけであり、そして絶えず自らへの問いかけでもあった。言葉による伝達だけでなく、「言葉による問いかけ」。これが、23年前に抱いた、キャスターとは何をする仕事かという疑問に対する、私なりの答えかもしれない。
・NHKは、私に何を、どういう立場での発言を期待していたのだろうか。そのことについての議論や判断がしっかりなされたのだろうか。最後まで私にはわからなかった。
・国連事務総長特別顧問だったアミール・モハメッドさん
「地球は私たち人間なしでも存続できますが、私たちは地球なしでは存続できません。先に消えるのは私たちなのです」
・一緒に番組を制作してきたプロデューサーたちは、上層部からのキャスター交代の指示に対して、夜10時からの放送になっても、番組内容のリニューアルをしても、キャスターは替えずにいきたいと最後まで主張したと、あとで耳にした。それを聞いて私は、キャスターをこれまで23年間続けてきて、本当によかったと思った。そしてその思いが2016年3月の最終回の日までの私を支えた。
・自分で考え、つながり、働く、「暗いつぶやき」から希望が生まれる。
・危険的な日本の中で生きる若者たちに八か条(柳田邦男)
1) 自分で考える習慣をつける。立ち止まって考える時間を持つ。感情に流されずに論理的に考える力をつける。
2) 政治問題、社会問題に関する情報(報道)の根底にある問題と読み解く力をつける。
3) 他者の心情や考えを理解するように努める。
4) 多様な考えがあることを知る。
5) 適切な表現を身につける。自分の考えを他者に正確に理解してもらう努力。
6) 小さなことでも自分から行動を起こし、いろいろな人と会うことが自分の内面を耕し、人生を豊かにする最善の道であることを心得、実践する。特にボランティア活動など、他者のためになることを実践する。社会の隠された底辺の現実が見えてくる。
7) 現場、現物、現人間(経験者、関係者)こそ自分の思考力を活性化する最高の教科書であることを胸に刻み、自分の足でそれらにアクセスすることを心掛ける。
8) 失敗や壁にぶつかって失望しても絶望することもなく、自分の考えを大切にして地道に行動を続ける。
・ここ二、三年、自分が理解していたニュースや報道番組で公平公正のあり方に対して今までとは異なる風が吹いてきていることを感じた。その風を受けてNHK内の空気にも変化が起きてきたように思う。例えば社会的にも大きな議論を呼んだ特定秘密保護法案については番組で取り上げることは出来なかった。また、戦後の安全保障政策の大転換と言われ、2015年の国会で最大の争点になり、国民の間でも大きな議論を呼んだ安全保障関連法案については、参議院を通過した後にわずか一度取り上げるにとどまった。
・時代に個人が翻弄されるなかで、一人ひとりが将来を考え、自分の生き方を選択していくためにも、長期的で多角的な情報を得て、自分の置かれた立場を俯瞰することが必要になっている。その必要に応えていくことが、テレビの報道番組にいま求められている。いまこそ改めて、23年前のハルバースタムの警告「テレビのエンターテインメント化」をかみしめるときではないだろうか。
感想;
国谷さんは、NHKの中で頑張って来られ、すごいなと思いました。
最初のキャスターは準備不足、それを反省していろいろな能力Upを実践され、それがクローズアップ現代のキャスター就任につながりました。
しつこく聞く。
それは相手がきちんと応えていないからではないかと思いました。
今、質問をしても、
1)質問を勝手にすり替えて答える
2)それは該当しないと門前払いをする
3)質問に応えていない答えをする
が増えてきているように思います。
そして最後は、自分の都合が悪いので、切り捨てることを選択しています。
NHKは惜しい人を切り捨てました。
とでも残念です。
まさに、NHK内の空気が変わって来た結果だったようです。
「貞観政要のリーダー学」 守屋 洋著
太宗(唐の二代目名君)が貞観六年、側近の者に語った。
あの孔子が、『国が危難に陥って滅びそうだというのに、だれも救おうとしない。これでは、なんのための重臣なのか』と語っている。
まことに臣下たる者は、君臣の義として、君主に過ちがあれば、これを正さなければならない。わたしはかつて書を繙(ひもと)いたとき、夏の桀王が直言の士、関竜逢を殺し、漢の景帝が忠臣の晁錯を誅殺したくだりまでくると、いつも読みかけの書を閉じて、しばし嘆息したものだった。どうかそちたちは、おのれの信ずるところをはばからず直言し、政治の誤りを正してほしい。わたしの意向に逆らったからといって、みだりに罰しないことを、あらためて申し渡しておく。
1)「事実の豊かさを、削ぎ落してしまう」という危うさ
2)「視聴者に感情の共有化、一体化を促してしまう」という危うさ
3)「視聴者の情緒や人々の風向きに、テレビの側が寄り添ってしまう」という危うさ
・帰国子女で小学校の数年を除いて海外の大学やインターナショナルスクールで教育を受けてきた私は、日本のことをきちんと理解できていないことがコンプレックスになっていた。
・同時通訳での対応が必要なこともわかってきたので、同時通訳者と養成する専門学校にも通い始めた。
・耳で聞いたことを正確に言葉にする訓練、リピーティングの授業があった。その訓練を繰り返していくうちに、私は苦手だと感じていた日本語が口の中で定着していくように感じ始めた。
・同時通訳者を養成する専門学校に通って良かったことが、もう一つある。みんなの前で何度も自分の語学力をさらけだす訓練は、私に度胸というものをつけさせてくれたのだ。帰国子女は英語で話すときと日本語で話すときとでは、人が変わったようになると言われることが多い。
・キャスター(ニューストゥデーの国際ニュース担当)という仕事に偶然めぐり会い、抜擢されて総合テレビに出たものの、経験と能力不足が露呈し、わずか一年で外された。
・番組を続けていくなかで、私には次第に、時代感覚を言葉にする力(コメント力)と、ゲストに向き合える力(インタビュー力、聞く力)を研ぎますことが、キャスターの仕事であることが見え始めてきた。
・キャスターの役割
1) 視聴者と取材者の橋渡し役
2) 自分の言葉で語る
3) 言葉探し
・ゲストの方との対話も、生放送の緊張のなかでのほうが良い話が聞ける。
・倉本聰
「クリスマスは何かをしてもらう日ではない。何かを人のためにする日だ。VTRレポートには、こうしてほしい、あれがほしいが描かれている、全く違う」。倉本さんはクリスマスとは本当はどういう日かを話してくれた。私は、大事なことに気づかされた思いがした。
・次第にインタビューを中心とする<クローズアップ現代>がめぐってくるたびに、私は一つのことを根ほり葉ほり尋ねるようになっていった。「しつこい」という眼差しを向けられることがあるが、相手の深い思いにたどり着くためには、このこだわりが大切だと確信するようになった。インタビューは、自分の能力と準備の深さが試されるものであり、それがさらけ出されるものだ。
・「聞く」と「聴く」
経済学者の内田義彦さんに「聞と聴」というエッセイがある「生きること 学ぶこと」。英語に置き換えると「ヒア」と「リッスン」となる。その内田さんのエッセイのなかに、「肝要なのは聞こえてくるように、聴くこと」とある。ヒアできるようにリッスンすること。また「聴に徹しながら聞こえてくるのを待つ」ともある。リッスンしながらヒアできるのを待つ、ということになる。つまり内田さんは、相手の話の細部にまで耳を傾け、注意深く丁寧に聴く、リッスンする力は大事だが、その人全体が発するメッセージを丁寧に聞く力、ヒアする力を見失ってはならないと言っているのだ。
「耳をそばだてて、あるいはチェック・ポイントをおいて聴かなければ人のいうことは聞こえてこない。がしかし、下手に聴にこだわると、聴いていても聞こえない、いや、聴けば聴くほど聞くことから遠ざかる、こちらが仕掛けたチェック・ポイントに関するかぎりのことは理解されるけれども存在としての対象は遠のいてしまう」「聴に徹しながら聞こえてくるのを待つ」
大切なことは聞こえてくるように、聴くこと、インタビューの「聞く力」には、観察力と想像力が求められているのだ。
・「曖昧な言葉で質問すると曖昧な答えしか返ってこないが、正確な質問をすると正確な答えが返ってくる。明確な定義を持つ言葉でコミュニケーションすれば、その人は自分の言葉に責任を持つようになる」
・17秒の沈黙
この沈黙の17秒は、高倉健さんにとって自分の話す言葉を探している大事な時間だったのではないだろうか。このインタビューで私は「待つ」ことの大切さを学んだ気がする。
「待つこと」も「聞くこと」につながる。
後日談になるが、番組を観てくださった高倉さんから、あの17秒の間をそのまま放送で残してくれてありがとう、といメッセージが寄せられた。こうして私は次第にインタビューでの対話を楽しめるようになっていった。
・「今日の話はここまでにしよう」と思っている人に、もう一歩踏み込んで、さらに深く話をしてもらうためには、こちらの情熱と、しつこさにかかっているのだ。
・日本のなかには、多数意見と異なるものへの反発や、多数意見への同意、あるいは同調を促す雰囲気のようなもの、いわゆる「同調圧力」と呼ばれる空気のようなものがある。
そのような状況のなかで、本来は同調圧力に抗すべきメディア、報道機関までが、その同調圧力に加担するようになってはいないだろうか。
テレビ報道の持つ三つの危うさの一つとして「感情の一体化」を進めてしまうテレビ、そしてそれが進めば進むほど、今度はその感情に寄り添おうとするテレビの持つ危うさ。こうした流れが生まれやすいことを、メディアに関わる人間はいまこそ強く意識しなくれはならないと思う。
・インタビューに対する「圧力」
人気の高い人物に対して切り込んだインタビューを行うと、視聴者の方々から想像以上の強い反発が寄せられるという事実だった。
・菅官房長官への私のインタビューは、様々なメディアで、首相官邸周辺の不評を買ったとの報道がなされた。それが事実かどうか私は知らないが、もしそうだとすれば、「しかし」という切り替えしの言葉を繰り返したことが、不評を買うことにつながったのかもしれない、まだまだ、「聞くべきことはきちんと聞く、繰り返し聞く」ということには、様々な困難が伴うのだろうか。
・インタビューで私は多くの批判も受けてきたが、23年間、<クローズアップ現代>のキャスターとしての仕事の核は、問いを出し続けることであったように思う。それはインタビューの相手だけでなく、視聴者への問いかけであり、そして絶えず自らへの問いかけでもあった。言葉による伝達だけでなく、「言葉による問いかけ」。これが、23年前に抱いた、キャスターとは何をする仕事かという疑問に対する、私なりの答えかもしれない。
・NHKは、私に何を、どういう立場での発言を期待していたのだろうか。そのことについての議論や判断がしっかりなされたのだろうか。最後まで私にはわからなかった。
・国連事務総長特別顧問だったアミール・モハメッドさん
「地球は私たち人間なしでも存続できますが、私たちは地球なしでは存続できません。先に消えるのは私たちなのです」
・一緒に番組を制作してきたプロデューサーたちは、上層部からのキャスター交代の指示に対して、夜10時からの放送になっても、番組内容のリニューアルをしても、キャスターは替えずにいきたいと最後まで主張したと、あとで耳にした。それを聞いて私は、キャスターをこれまで23年間続けてきて、本当によかったと思った。そしてその思いが2016年3月の最終回の日までの私を支えた。
・自分で考え、つながり、働く、「暗いつぶやき」から希望が生まれる。
・危険的な日本の中で生きる若者たちに八か条(柳田邦男)
1) 自分で考える習慣をつける。立ち止まって考える時間を持つ。感情に流されずに論理的に考える力をつける。
2) 政治問題、社会問題に関する情報(報道)の根底にある問題と読み解く力をつける。
3) 他者の心情や考えを理解するように努める。
4) 多様な考えがあることを知る。
5) 適切な表現を身につける。自分の考えを他者に正確に理解してもらう努力。
6) 小さなことでも自分から行動を起こし、いろいろな人と会うことが自分の内面を耕し、人生を豊かにする最善の道であることを心得、実践する。特にボランティア活動など、他者のためになることを実践する。社会の隠された底辺の現実が見えてくる。
7) 現場、現物、現人間(経験者、関係者)こそ自分の思考力を活性化する最高の教科書であることを胸に刻み、自分の足でそれらにアクセスすることを心掛ける。
8) 失敗や壁にぶつかって失望しても絶望することもなく、自分の考えを大切にして地道に行動を続ける。
・ここ二、三年、自分が理解していたニュースや報道番組で公平公正のあり方に対して今までとは異なる風が吹いてきていることを感じた。その風を受けてNHK内の空気にも変化が起きてきたように思う。例えば社会的にも大きな議論を呼んだ特定秘密保護法案については番組で取り上げることは出来なかった。また、戦後の安全保障政策の大転換と言われ、2015年の国会で最大の争点になり、国民の間でも大きな議論を呼んだ安全保障関連法案については、参議院を通過した後にわずか一度取り上げるにとどまった。
・時代に個人が翻弄されるなかで、一人ひとりが将来を考え、自分の生き方を選択していくためにも、長期的で多角的な情報を得て、自分の置かれた立場を俯瞰することが必要になっている。その必要に応えていくことが、テレビの報道番組にいま求められている。いまこそ改めて、23年前のハルバースタムの警告「テレビのエンターテインメント化」をかみしめるときではないだろうか。
感想;
国谷さんは、NHKの中で頑張って来られ、すごいなと思いました。
最初のキャスターは準備不足、それを反省していろいろな能力Upを実践され、それがクローズアップ現代のキャスター就任につながりました。
しつこく聞く。
それは相手がきちんと応えていないからではないかと思いました。
今、質問をしても、
1)質問を勝手にすり替えて答える
2)それは該当しないと門前払いをする
3)質問に応えていない答えをする
が増えてきているように思います。
そして最後は、自分の都合が悪いので、切り捨てることを選択しています。
NHKは惜しい人を切り捨てました。
とでも残念です。
まさに、NHK内の空気が変わって来た結果だったようです。
「貞観政要のリーダー学」 守屋 洋著
太宗(唐の二代目名君)が貞観六年、側近の者に語った。
あの孔子が、『国が危難に陥って滅びそうだというのに、だれも救おうとしない。これでは、なんのための重臣なのか』と語っている。
まことに臣下たる者は、君臣の義として、君主に過ちがあれば、これを正さなければならない。わたしはかつて書を繙(ひもと)いたとき、夏の桀王が直言の士、関竜逢を殺し、漢の景帝が忠臣の晁錯を誅殺したくだりまでくると、いつも読みかけの書を閉じて、しばし嘆息したものだった。どうかそちたちは、おのれの信ずるところをはばからず直言し、政治の誤りを正してほしい。わたしの意向に逆らったからといって、みだりに罰しないことを、あらためて申し渡しておく。