幸せに生きる(笑顔のレシピ) & ロゴセラピー 

幸せに生きるには幸せな考え方をすること 笑顔のレシピは自分が創ることだと思います。笑顔が周りを幸せにし自分も幸せに!

野宿しながら子ども2人を出産、58歳で雇い止め…シングルマザーの壮絶人生 ”日本は子どもを産み育てることが困難な国に、共産主義より悪い国家になり下がっている”

2022-07-30 15:18:00 | 社会
https://news.livedoor.com/article/detail/22590650/?__from=ln_am 2022年7月30日 8時15分2022年7月30日 8時15分 プレジデントオンライン by ライブドアニュース編集部

ざっくり言うと
4月の補選で練馬区議会議員に当選した「シングルマザー」の渡辺照子氏
大学生のときに男性と出奔し、野宿生活をしながら子どもを2人出産した
過労やうつ病も経験した上、58歳で派遣先から雇い止め通告を受けたという
「野宿しながら子ども2人を出産」正社員以上に働いた派遣シングルマザーが58歳で言い渡された雇い止めの非情

世界でいちばん働いているのに、先進国で一番貧乏なのが、日本のシングルマザーだ。貧困にあえぎながら、なんとか長い子育ての時期を過ごしても、その後が安泰なわけではない。自分が老人なのに親の介護。年金はまったく当てにならない。ハード・アフター・ハード。自らもシングルマザーであるノンフィクション作家の黒川祥子さんが、働く女性を嫌う日本社会の実態から生じる女性の貧困の真実を取材した――。
※本稿は、黒川祥子『シングルマザー、その後』(集英社新書)の一部を再編集したものです。

■世代間で貧困の連鎖が起きている「貧困の総合商社」
渡辺照子さん(60歳・当時)へのインタビューが実現したのは2020年1月末だった。“れいわカラー”のピンクを差し色にしたシンプルな服装、飾らない笑顔があたたかい。

2019年夏、れいわ新選組から参議院議員選に出馬。国政に殴り込みをかけた(2022年4月、立憲民主党から練馬区議会議員補選に出馬して当選)。(写真=時事通信フォト)
照子さんは現在、90歳になる認知症の母親と、新宿区にある実家で暮らしている。

「賃貸なら、とても住めないような場所ですが持ち家なので、何とか。ただ、バブル期から地主に立ち退きを迫られています。でも土地を旧借地権で借りているので、法務局に地代を供託すれば、追い出されることはないんです。ただし、上物が壊れると借地権が消失するから、ひやひやです。古い家ですから」

39歳の息子と36歳の娘は、それぞれ埼玉県で暮らしている。息子は単身の派遣労働者、娘は介護職の正規社員と結婚し、自身は銀行の契約社員として働いている。二人が埼玉に住んでいるのは、都内より家賃が安いためだ。

娘夫婦は、子どもを持たないという選択をした。共働きでギリギリの生活のため、子どもを養育する費用が捻出できないからだった。

「娘から、『お母さん、ごめんね。孫の顔を見せてあげることができない』と言われています。養育できる見通しが立たないからと。息子に至っては、結婚できないですね。できる感じがしないです。だから、私が“貧困の総合商社”と言うのは、自分だけでなく、貧困の世代間連鎖が、こうして起きているのだという意味合いでもあるのです」

息子は大学に通っていたが、アルバイトのし過ぎで留年し、中退した。正社員雇用を望んでも派遣労働しかなく、結婚さえ望めない。娘は夫婦二人で働いているのに、子どもを持つことすらできない。いくら夫が正規雇用とはいえ、介護職は過酷で低賃金な職業だからだ。

なぜ、今、こんな社会になっているのか。なぜ働いているのに、これまで「普通」とされてきた生活を手にすることができないのか。照子さんを政治の世界へ突き進めたものは、自分のみならず、子の世代までをも飲み込む貧困の理不尽さにあった。

■新生児を抱えて野宿の日々
「私の場合は、ちょっと特殊で」と照子さんは言うが、ちょっとどころか、照子さんのような状況で出産した女性を私は他に知らない。

大学生のときに男性と出奔、大阪・西成のドヤ街などで、野宿生活をする中での妊娠だった。

子どもの父親は日雇い労働をたまにする程度で、普段は働かないため、「ドヤ」と呼ばれる簡易宿泊所にすら泊まれないし、産婦人科にかかる金もない。

「お腹が大きくてふらふらしていたら、親切な方が自宅に泊めてくれた。そしたら翌朝、赤ちゃんがバーッと出てきたんです。産んだというより、勝手に飛び出したって感じ」

まさに、奇跡の出産だ。その家には迷惑をかけられないと、産後3日目から新生児を抱えての野宿生活。季節は冬だ。この時点でも病院には行っていないし、子どもの出生届も出していない。

「赤ちゃんを抱っこして、体育座りをして寝るという、半端なホームレスです。他の皆さんは段ボールを調達して、布団をかけて寝ているでしょう? その調達もできないんです。若かったから、できたんでしょうね」

なぜ、子どもの父親は新生児と産婦に屋根のある暮らしを保障しなかったのか。働けばいいだけの話なのに。それでも照子さんは、その男と一緒にいた。

2年後にまた、妊娠した。奇跡はそうそう起こらない。この日だと思ったときに、なけなしの金で1泊5000円のホテルに宿泊、布団の上にビニールシートを敷いて、そこで産んだ。

「そもそも、お医者さんに診てもらっていないので、妊娠何週なのかもわからない。自分の身体で、何となくこの日かなと思って。だから、自力出産というやつです」

手元に残ったのは500円のみ、新生児を抱えての野宿の日々が始まった。上の子の服を幾重にも重ねておくるみにして、寒さ対策とした。

「『赤ちゃん、どうだろう?』って、すごく心配でした。母子3人で、凍え死ぬってこともあり得るなって。子どもが何とか、死なないでいてくれた感じです」

ホームレス生活5年目を迎えた頃、男とはぐれてしまい、照子さんは実家に戻る。子どもを育てるには、それしかなかったからだ。

■母子家庭を非難するのは身近な家族や親族
実家に戻った照子さんは、母子家庭を非難し叩くのは身近な家族や親族、友人なのだという現実を知った。

「結婚に失敗して、どこの馬の骨とも知れない男の子どもを二人も産んで……」
「うちにとって、迷惑。そんな状態の人間を背負うなんて」

理解ある家族や友人だと思っていたが、自分を見る目は明らかに豹変(ひょうへん)した。

「家にいても、親や妹から『あんたは家政婦』と言われ、落ち度を追及される。両親が子どもを可愛がってくれなかったのが、一番辛かったですね。孫に、罪はないわけですから」

バッシングに耐えることができたのは、高校時代に学んだフェミニズム思想のおかげだった。「個人的なことは社会的なこと」という言葉で自分を支えた。これは決して、自分一人の問題ではないのだと言い聞かせた。

あるとき突然、子どもの父親がやってきた。両親は男をアパートに住まわせ、見つけてきた会社で働かせた。しかし、何の前触れもなく、男はいなくなった。以降、男の消息はわからない。こうして照子さんは、シングルマザーとなった。

「母子家庭にもランクがあって、一番上は死別母子家庭、次に慰謝料や養育費を取り決めた、離別母子家庭。私は失踪による母子家庭ですから、最低ランクです」

男の失踪で、家族からの非難はさらに激しいものとなった。

「あんなしょうもない男の子どもを産んだんだから、おまえは子どもを連れて家から出て行け! おまえも、死ね!」
「死にません。誰が子どもを育てるのですか! だから、死にません!」

子どもを守るのに必死だった。

「誰も信用できない状況で、すごく傷ついていたんですけど、結構、闘っていましたね」

■給食調理の仕事で壮絶ないじめを受ける
働くためには、子どもを保育園に預けるしかない。ここで子どもの戸籍を作ることとなった。戸籍がないと、福祉のサービスは受けられないからだ。

「法務局で、自分が産んだ子どもだと証明しろと言われても、証明するものは何もない。居直って子どもを連れて行って、『私が産んだ子だ』と言ったら、『はい、わかりました。あなたのお子さんですね。これで戸籍を作ります』となぜか、一発OKで作れました」

スーパーでパートをしながら、職を探した。運よく、公立保育園の給食調理という正規職員の仕事を得た。

「公務員なのですが、一般的な公務員ではなく、現業職という、賃金は最低ランクのものです。25歳から5年間働きましたが、壮絶ないじめを受けました」

給食調理は、女性だけの密室の職場だ。初出勤時、挨拶をしたらこう返ってきた。

「あんた、男に捨てられた女だろう」

言葉の暴力だけでなく、給食の調理器具で殴られて、痣だらけになる日々。園長に訴えても、「あなたが毅然(きぜん)としていないからだ」と、いじめられる側に非があると言われるだけ。

「今でいうハラスメントですが、下の子どもが保育園を卒園するまでと思い、5年間、我慢しました。日曜の夜になると、お腹が痛くなるんです。人的環境もひどいし、待遇だけはまあ、よかったですが」

子どもの小学校入学と同時にさっさと辞め、次に就いたのが生命保険の営業だった。

「人と会って話すことのほうが、給食調理より、私には向いていると思いました。きめ細やかな心配りとか、感情労働を求められる部分もあるので、私には合ってるなと。ただ不安定雇用ですし、ノルマもあり、稼げるものではありませんでした」

■トリプルワークの過労から重度のうつに
そこで照子さんは、トリプルワークを行う。輸入酒の委託販売と、広告代理店から依頼されて販売促進ツールを作る仕事。三つの仕事はすべて、時間に融通がきき、隙間でやれるものだった。

「全部、面白かった。直接、いろんな人と交流があって、社会的に開かれていて、私には合っていると思いました。面白かったのですが、働き過ぎて過労で倒れちゃったんです」

35歳のときだった。朝、起き上がろうとしたら、背中に鉄板が入っているようで動けない。息もできない。救急車で運ばれて緊急入院、そのまま病名もわからないまま1カ月入院した。過労が原因だった。

退院後は、典型的なうつ症状に見舞われた。いきなり泣き出したり、無気力になり、起き上がることも歩くこともできない。トイレにも、ムカデのように這って行く。この状態が1年続いた。

「仕事は辞めざるを得ないし、ここでこれまで教育費にと貯めていたお金を全部、使ってしまいました。失業保険もないですし。このときは児童扶養手当を受けていなかったので、医療費もかかる。あの頃は手当を受けなくても、自分の力で育てられると思っていたのですが、そんなものは何年も続かないわけです」

これほど重度のうつを患ったのは、これまでを見れば当然のことだった。ホームレス生活を強いられたこと自体、ある意味、暴力=DVだ。なぜ男は母子を冬空の下、凍えさせておいたのか。さっさと働き、屋根のある暮らしを保障すべきなのに。実家での激しいバッシングに加え、給食調理室でのいじめ、そして3つの仕事をかけ持ちするという、無茶な働き方。これで、自身が壊れないわけがない。

うつから生還し行き着いたのが、派遣の仕事だった。

「ずっと安定した職を追い求めて、気がついたら40歳になっていました。そのときにたまたま、派遣の仕事にありついたのです」

■派遣労働が最も長い仕事になった
企業に勤めている知人から、助けて欲しいと連絡があった。2001年のことだった。

「派遣の女性が急に辞めてしまい、急ぎの報告書があるから、うちの仕事に変わる気はない? 手伝って欲しいんだ」

願いに応じて、仕事先を変えた。それだけのことだった。本来なら、その企業に直接雇用されるべきなのに、派遣女性の代わりなので、便宜的にその女性の派遣元企業に登録して、知人の企業=派遣先企業に勤めにいくという形となった。

「給料は派遣元企業から振り込まれるわけですから、いくら派遣先企業の人からの声かけで勤めたにしても、他の派遣の人と一緒。こうして、ずっと派遣労働者人生を送るわけです」

派遣とはいえ、照子さんは同じ企業に16年8カ月勤務することとなった。

「本来、派遣って短期仕事だから、長続きする性質のものではない。でも皮肉にも、私の場合はその派遣こそが一番、長続きできた安定雇用だったんです」

就いたのは、事務職。初めての仕事だったが、事務とは何てラクなのかと思った。営業のようにノルマもなければ、移ろいやすい人の心を相手にするものでもない。

「女性が就きやすい仕事といえば、介護とか保育とかの接遇サービスですが、これらはみんな感情労働です。人を相手にして、しかも自分の感情を抑えて、いかに相手をもてなすかが求められる、大変な仕事です。女性の仕事の中で、感情労働が少ないのが事務、だから女性は、事務の仕事をしたがるんです」

派遣労働者の給与は、派遣元企業に3割ほど取られる仕組みになっている。加入が義務化されている社会保険は労使で折半、40歳以上だと介護保険が引かれ、さらに雇用保険や「諸経費」という実体のわからないものも引かれ、手取りは20万円程度。派遣に交通費はない。ちなみに、2020年4月の法改正で交通費や賞与などは支給しなければならなくなった。

「勤務体系は、正社員と一緒。それなのに毎月、正社員がもらえている住宅手当、扶養家族手当などの諸手当、夏冬のボーナスはない。私のように約17年も勤めたのに、退職金もなかった。派遣とは、そういうことなのです」

■「あなたの自己管理ができていないから……」
どうしても正社員になりたかった。だから照子さんは、正社員以上に働いた。残業が月に100時間ほどとなり、本来は正社員がする海外からの客の世話も任された。正社員が休日出勤は嫌だと言えば、代わって出勤した。

家に帰るのが24時を回り、お風呂に入って寝れば、また朝が来る。子どもたちが中高生となり、手がかからなくなっていたことも大きかったし、同居している実母もいる。

「今でも娘は、『お母さんが育ててくれたとは思わない。自分で育った』と言いますよ。娘は私より料理が手早くて、上手です」

子どもが一人で育ったと言い切るほど、働いてきた。パワハラもセクハラもあったが、正社員になりたい一心で、会社を休むことは絶対になかった。

あるとき、シュレッダーの前で身体が動かなくなった。意識を失って倒れ、救急車で運ばれた。原因は長時間労働による過労、明らかに労災だ。労災の申請は、雇用主である派遣元企業が行う。返ってきたのは、「あなたの自己管理ができてないから、そういうことになる」の一言。いくら食い下がっても、労災は申請できなかった。照子さんはこう見る。

「派遣先企業は、派遣労働者という道具を借りてくるだけなので、自分の手で修理することはしません。派遣元企業も壊れた道具を修理して、また使えるようにしようとは思わないんですよ。修理なんて面倒だから、放っておこう。これが、派遣の構図なんです」

■17年間働いたのに「法改正」のためにクビになる
2015年9月30日、労働者派遣法が改正された。派遣労働者からしてみれば、3年ごとに派遣先を変えなければならないという「改悪」だった。

同年8月、照子さんは派遣労働者当事者として、参議院厚生労働委員会に登壇、改悪阻止を訴えた。

「有給をバンバン使って、国会でロビー活動をしたり、厚労省の官僚が参加する学習会などで派遣労働の実態や、法制度の矛盾、問題点などを自分の経験を通して訴えてきたので、その活動が認められての登壇でした」

「改悪」派遣法は施行され、皮肉にも照子さん自身、2017年12月での雇い止め通告を受けるのだ。58歳での雇い止めだ。何と残酷なことだろう。

「私は約17年勤務しましたが、同時期に24年間、派遣で勤めていた人も雇い止めを受けました。物を捨てるように、長年勤続の派遣を切っていく、会社のやり口をまざまざと見た思いです」

自分の意思とは関係なく、退職金もなく裸で社会に放り出される。毎月、雇用保険を払っていたのに失業後、ハローワークで、「あなたのような仕事には使えない」と言われた。雇い止めとはそういうことだ。しかも50歳を過ぎれば、派遣元は新たな派遣先を紹介しないということも、派遣の世界での常識だった。58歳という年齢ゆえ、照子さんがいくら粘っても、次の派遣先の紹介はなされなかった。

■「元派遣労働者・シングルマザー」で国政に殴り込み
照子さんは派遣ユニオンに加入、矛盾だらけの状況と闘うことを決意する。「れいわ新選組」に合流する流れが、ここにくっきりと見えてくる。

照子さんは女性労働問題研究会の会員として、派遣労働や女性が低賃金に置かれている構造についての論考を発表するなど、研究活動も行っている。

黒川祥子『シングルマザー、その後』(集英社新書)
そして、「元派遣労働者・シングルマザー」という当事者として、国政に殴り込みをかけた2019年夏、「庶民による庶民のための政治」を訴えた(2022年2月、れいわ新選組から立憲民主党に移籍。4月の補選で練馬区議会議員に当選した)。

照子さんは決して、「元シングルマザー」とは名乗らない。確かに、子育ては終わった。しかし……。

「まだ息子の教育ローンを返し切れていないこともありますが、貧困の世代間連鎖が現に起きているわけです。子どもがいてくれて頼りになる部分と、そういうプラスマイナス含めて、私にはシングルマザーという当事者性が拭えないものとして色濃くある。だから、シングルマザー当事者として闘っていきます」

目指すのは自己責任論で弱者をバッシングするのではなく、誰もが生きやすい社会だ。この照子さんの活動は既存にはない、新たな取り組みとなるだろう。それは、私たちシングルマザーにとって間違いなく、一つの確かな希望だ。

----------
黒川 祥子(くろかわ・しょうこ)
ノンフィクション作家
福島県生まれ。ノンフィクション作家。東京女子大卒。2013年、『誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち』(集英社)で、第11 回開高健ノンフィクション賞を受賞。このほか『8050問題 中高年ひきこもり、7つの家族の再生物語』(集英社)、『県立!再チャレンジ高校』(講談社現代新書)、『シングルマザー、その後』(集英社新書)などがある。
----------
(ノンフィクション作家 黒川 祥子)

感想
真面目に働いても、結婚して、子どもを産めない社会。
政治がおかしいのです。

過去20年で韓国は年収が約3倍。
一方日本は5%減。

「世界史の極意」佐藤優著 ”今の世界を理解する!”
・労働力の賃金
1)労働者が次の一か月働けるだけの体力を維持するに足るお金
2)労働者階級を再生産するお金。つまり家族を持ち、子どもを育てて労働者として働けるようにするためのお金が賃金に入っていいないといけません。
3)資本主義社会の科学技術はどんどん進歩していきますから、それにあわせて自分を教育していかなければいけない。そのためのお金。
 この考え方はマルクスの最大の貢献でした。

日本は共産主義よりも、子どもを産み育てることができない国になっています。
「子ども庁⇒子ども家庭庁」を作ることが目的になっていますが、子どもを産み育てることができる社会にして欲しいものです。

世界的精神科医が「これほど抗うつ効果が高いものは思いつかない」という"ある行動" ”身心一如 無理してでも散歩するとうつの改善の一歩に”

2022-07-30 13:28:44 | 社会
https://news.line.me/detail/oa-president/ka8ohf6ul0m0?mediadetail=1&utm_source=line&utm_medium=share&utm_campaign=none 2022年7月30日 12:00PRESIDENTPRESIDENT Online
うつの予防、治療には何が有効なのか。スウェーデンの精神科医、アンデシュ・ハンセンさんは「多くのうつの患者を診察する中で、運動をしている人はうつが治りやすいのではないかと気付いた。さまざまな研究をみると、運動には抗うつ効果があることがわかってきている」という――。
※本稿は、アンデシュ・ハンセン『ストレス脳』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

患者を診ていて気付いた「運動の抗うつ効果」
私たち医療従事者は患者と接しているうちにパターンが存在することに気づく。この人は治りそうだが、あの人はあまり上手くいかないだろう、といったことを感じるようになるのだ。しかし、その直感に頼りすぎるのもいけない。たまたまかもしれないし、自分が常々思っていることを裏づけるケースほど記憶に残りやすいものだ。

しかし2010年頃に気づいたのが、うつの患者で運動をしている人たちは病院に戻ってこないことだった。何度か受診しただけで、そのあとはもう見かけないことが多かった。そのせいで、運動には抗うつ効果があるのではないかと思い始めた。

研究を調べてみると、驚いたことにまさにそのとおりなのだ。ここ10年、運動によってうつを治療する研究が多数行われてきた。私が一番驚き、かつ最も重要だと思うのは、うつの予防、つまり運動でうつになるリスクを下げられるという研究結果だ。

自転車テストとうつの関係
6分間全力で自転車を漕いでから、力の限り握力測定器を握る。その結果から今後7年間にあなたがうつになるかどうかがわかると思うだろうか。

10年前の私は、握力やエアロバイクの結果と自分が今後うつになるかどうかに関連があるなんて到底信じられなかった。別のリスク要因──例えば仕事を失うとか、パートナーに別れを告げられるとか、家族が病気になるとか、といったことならわかる。だけど握力測定器のハンドルをどのくらい強く握れるかで? そんなことが関係あるわけない! そう思ったものだ。しかし今では考えが変わった。

イギリスで15万人の被験者がエアロバイクによる有酸素運動と握力測定の簡単なテストを受け、うつや不安の症状に関する質問にも答えてもらった。7年後にまた調査をしたところ、状態が良くなっていた人もいれば、悪くなっていた人もいた。うつの基準を満たすほど悪くなっていた人もいた。

興味深いのは、精神状態の変化と7年前のエアロバイクのテスト結果に関連性があったことだ。うつになるリスクは身体のコンディションの良い人のほうが低かった。

別の言い方をすると、身体のコンディションの良い人はうつになるリスクが半分ほどに減り、不安に襲われるリスクも低かった。同じことが握力についても言え、数値の高い人のほうがうつや不安障害のリスクが低かった。しかしコンディションの良し悪しほど、はっきりした違いはなかった。

つまり、うつになるリスクは身体のコンディションの良い人のほうが低いわけだ。

さまざまな条件で行われた研究
ここで底意地の悪い言いがかりをつけてみよう。コンディションの良い人は元々健康で、飲酒量も少なく、口に入れる食べ物にも気を遣っているはずだ。だからライフスタイル要因がうつのリスクを低めていてもおかしくない。

そこで研究者たちはデータから年齢や喫煙の有無、学歴、収入といった項目の偏りを調整した。それでも同じ傾向が見られた。研究者たちはさらに、研究開始時にすでにうつや不安障害を抱えていた被験者は除いた。それでも、やはり結果は同じだった。

先述のとおり、どこまでが正常な範囲内の気分の落ち込みで、どこからがうつなのかには、はっきりした線引きがない。ということは、その研究結果もどこで線引きをしたかによって変わってくるのでは? 研究者たちはそこで、どこからがうつかという線引きを色々と変えてみた。それでもやはり同じ傾向が見られた。

あれこれやってみても、身体のコンディションの良い人はうつになるリスクが低かった。それに運動がうつのリスクを下げるという研究は他にも多数あり、これはその1つにすぎない。

ところで、現在わかっていることの全体像をつかみたければ、個別の研究だけに着目していてはいけない。たとえそれが15万人規模の研究であったとしてもだ。研究界のルールでは「1件など0件に等しい」のだから、いくつもの研究をまとめた分析、いわゆるメタ分析をしなくてはいけない。

運動でいかにうつを改善できるかという研究は、2020年には複数の研究をまとめた研究をさらにまとめた研究まで発表されるほどの規模になった。つまりメタ・メタ分析だ。その結果は──運動はうつの症状を軽減させる。確認された効果については研究の手法によって異なり、結果として高いものから低いものまであった。

若者の精神的不調に警鐘を鳴らす報告の数々を考えると、同じことが子供や若者にも言えるのかどうかが気になる。それがそのとおりなのだ。2020年に発表されたメタ・メタ分析では、運動が子供や若者のうつのリスクを下げることが示され、包括的な効果は中程度だった。それでは高齢者はどうだろうか。それもやはり同じ結果だった。

なぜ運動が効果をもたらすのか
運動がなぜそこまで私たちの精神状態に影響を与えるのかを見てみよう。

先述のとおり、長期的なストレスはうつのリスク要因だ。私たちの身体の中で最も中心的なストレスシステムはHPA系と呼ばれ、その存在は生物の歴史を何千万年も遡ることができる。HPA系を備えているという点では、人間も背骨をもつあらゆる動物──サル、イヌ、ネコ、ネズミ、トカゲ、そしてなんと魚まで──と同じなのだ。

アクセルにもブレーキにもなるコルチゾール
HPA系というのはたった1つの器官でできているのではなく、身体と脳にある3つの部分が互いにコミュニケーションを取っているシステムだ。

まず視床下部(H=hypothalamus)が脳の下部にある分泌器、下垂体(P=pituitary gland)へとシグナルを送り、さらに下垂体から副腎(A=adrenal glands)にシグナルが送られる。すると副腎がコルチゾールというホルモンを放出する。コルチゾールの役割はエネルギーを動員することだ。例えば朝はコルチゾールのレベルが上がるのだが、それはベッドから起き上がるためにエネルギーが必要だからだ。

しかしコルチゾールはストレスを感じている時にもレベルが上がる。ストレスを受けるとHからPそしてAへシグナルが送られ、コルチゾールのレベルが上がるのだ。と言うと単純に聞こえるかもしれないが、実際のHPA系は非常に複雑だ。フィードバックのループがいくつもあり、自分で自分にブレーキをかけることもできる。というのも、コルチゾールのレベルが上がると視床下部と下垂体の活動が抑えられる。

コルチゾールはつまり自分自身にブレーキをかけ、ストレスホルモンとしても抗ストレスホルモンとしても機能する。これが車であれば、同じペダルがアクセルとブレーキ両方の役割を果たすようなものだ。アクセルを踏みすぎると今度はブレーキがかかるというわけだ。

運動の後、コルチゾールが下がる
精神医学の研究において重要な発見の1つに、このHPA系の活動がうつになるとたいてい変化するというものがある。その理由を考えてみる価値はあるだろう。ひょっとするとこの重要な発見は、身体と脳の両方──HPA系は両方にまたがっているから──で起きている現象なのかもしれないのだから。

一般的には、うつになるとHPA系の活動が活発になりすぎる、つまりコルチゾールのレベルが高くなりすぎる。実際、ほとんどの抗うつ治療は薬も含めてHPA系の活動を平常化するものだ(ただし、薬によってHPA系のどこに作用するかは変わる)。

しかしHPA系を平常化するのは薬だけではない。運動もそうだ。アクティブに身体を動かすことで過剰に活動しているHPA系を落ち着かせることができるのだが、それは長期的に運動すればの話だ。

短期的には、ましてや自分に鞭打って激しいトレーニングをすると、HPA系の活動がむしろ活発になってしまう。身体にしてみれば運動そのものがストレスだからだ。つまり外に出て走り出すと血中のコルチゾールのレベルは上がるが、走り終えたあとは下がり、走る前よりも低くなる。コルチゾールはその後1時間から数時間ほど低いレベルにとどまる。よく運動のあとに感じる心の落ち着きはそのせいなのだ。

運動がストレスのブレーキを強化する
数週間定期的に運動するうちに、HPA系の活動はゆっくりと落ち着いていく。そうすると運動のあとだけでなく、もっと長くその状態が続くようになる。HPA系にいくつもブレーキがあるせいかもしれない。中でもとりわけ重要な2つのブレーキが、記憶の中枢として知られる海馬と、額の内側にあり抽象概念や分析的思考を司る前頭葉だ。

海馬と前頭葉はどちらも運動によって強化される。海馬は運動によって物理的にも大きくなるし、前頭葉には細かい血管ができ、酸素の供給や老廃物の除去の能率が上がる。つまり運動によって脳に内蔵されたストレスのブレーキが強化され、それだけでなくHPA系が自分自身にブレーキをかける能力も向上するのだ。HPA系が自分の活動に対してより敏感になるということだ。それによってアクセルとブレーキを兼ねるペダルのブレーキ機能も強化される。

運動の炎症抑制効果
うつというのは様々な神経生物学的プロセスによって引き起こされる多様な状態の総称だ。HPA系の活動が過剰になる以外に、すでに書いたように体内の炎症も関係してくる。また、神経伝達物質であるドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンのレベルが低いこと、そして脳の「肥料」であるBDNF(脳由来神経栄養因子)のレベルが低いこととも関連づけられる。おまけに島皮質(側頭葉に接していて、感情に重要な役割を果たす)の活動が変化し、扁桃体が活発になる。

そういったメカニズムは複数起動する可能性があり、多かれ少なかれうつ患者に大きな影響を与えている。だから、その患者はドーパミンが少なすぎるとか、扁桃体が活発すぎるとか、炎症を起こしすぎているからだとか断定することはできない。しかし運動に関して言うとそれは問題にはならない。どの要因であっても運動にはたいてい真逆の機能があるからだ。

運動はドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンのレベルを上げ、BDNFのレベルも上げる。長期的には炎症を抑える効果もある。なぜかと言うと、運動することによってエネルギーが消費され、そのエネルギーの一部は免疫系から奪われてくるので免疫系の活動が抑えられる。

それは良くないように思うかもしれないが、慢性的な炎症というのはたいてい免疫系が過剰に活動しているせいなのでそれで良いのだ。活動が活発すぎるのを運動が落ち着かせてくれるのだから。

運動ほど抗うつ効果があるものはない
運動はまた、海馬に新しい脳細胞ができるスピードを上げ、HPA系を平常化させる。他にもまだまだあるが、言いたいことはもうわかってもらえたと思う。生物学的見地から言うと、うつに対して運動ほど真逆に働きかけるものは思いつかない。

もう1つ、運動の抗うつ効果を理解するためには感情がどのようにつくられるかを考えてみるのもいい。先に説明したとおり、感情とは島皮質が知覚刺激と体内で起きている状態をまとめたものだ。つまり、あなたの感情の状態は身体の外と内からのシグナルを材料にしてつくられる。

一方、運動をすると身体の各器官や組織が強化される。血圧、血糖値、コレステロールが安定し、肺の酸素供給能力も向上し、心臓や肝臓が強化される。そのおかげで脳には今までよりも良いシグナルが届いた上で感情をつくることになる。そうすると不快な感情よりも、心地良い感情がつくられる可能性が高くなる。

実際、運動はうつを予防するためにできる最も重要なことの1つなのだ。
[精神科医 アンデシュ・ハンセン]

感想
ウォーキングでうつ病を予防 1日35分で効果 認知症や脳の老化も防げる

認知症予防に効果的な指体操のやり方

昔、老人介護施設にボランティアでしばらく通っていました。
主に麻雀をしていました。
私が行くと、ちょうど4人になりました。
私が点棒を数えてあげました。
3時のおやつタイムが来ても皆さん麻雀に一生懸命で、おやつ要らないと。
2時間たっぷりやりました。
おしゃべりしながら楽しそうでした。

麻雀は指や手、腕を使います。
またどんな役にするか?
他の人がリーチかけたらふりまないようにすると考えます。
まさに楽しみながら、うつ病対策、認知症予防になっていたのでしょう。

重症のうつ病の人は、起きることも辛い、ましてや散歩に行くのは論外と言われます。
そしてうつ病の辛さに耐え苦しさと闘っています。
その状況でもトイレには行けるのです。
だったら、ちょっと無理して歩いてみる。
指先を動かすなど、することが、うつ病から回復する大きな手段のようです。

もう一つは気持ちの持ち方でしょう。
「うつヌケ」田中圭一著 ”漫画でうつからの脱出例の紹介”
著者の田中さんが参考にした宮治先生の本
「精神科医が教える『うつ』を自分で治す本 薬を使わずに心をラクにする習慣と生き方」宮島賢也著 ”薬は対処療法”

うつ病は誰でもなるリスクがあります。
そのリスクを今少しでも減らす習慣を身につけていると良いようです。
コロナでリモートが増えました。
感染リスクを減らすためです。
1か月ほとんど外にでずに少し歩いたら、足腰が痛くなりました。
それまでは平均8,000歩/日歩いていました。
それが健康維持に大きく貢献していたのです。
また免疫力にも影響していたと思います。
コロナを恐れて家にずーっといるのは、コロナと違うリスクを生む可能性が大きいということです。

”身心一如”とはよく言ったものです。
身体は心に、心は身体に、相互に影響を与えているようです。
リモートを活用して、できるだけ直接話す機会を減らすけれども、出かけて身体を動かすことをする。
新しい状況に合った生活が問われているのかもしれません。
今までの延長線上で物事を考えずに、今の状況で良いことを選択する。
リモートもやり方わかりませんでしたが、やってみると簡単。
大変だと思う心が大変にしているのでしょう。

コロナ感染3カ月後の後遺症、脱毛など62種類を特定 英研究 ”感染研はほとんど何もしない”

2022-07-30 11:14:28 | 新型コロナウイルス
https://news.line.me/detail/oa-forbesjapan/7ge2wlilf2ev?mediadetail=1&utm_source=line&utm_medium=share&utm_campaign=none 2022年7月29日 08:30Forbes JAPAN
新型コロナウイルスに感染した人の多くが「後遺症」とされるさまざまな症状に悩まされていることは、すでに広く知られているとおりだ。その「ロング・コビット(Long Covid)」とも呼ばれる症状が、実際にはこれまで考えられていた以上に多岐にわたるとみられることが、新たに発表された研究結果で明らかになった。

医学誌ネイチャー・メディシンに掲載された査読済みの論文によると、英国のおよそ240万人の医療記録を分析した結果、感染した約50万人(入院の必要はなかった)が感染から12週間以上が経過した時点で訴えていた症状のうち、62種類が感染の影響によるものと判断されたという。

分析では、対象としたすべての人を感染した人とそれ以外に分け、年齢や喫煙の有無をはじめ、健康状態に影響を及ぼし得る要因を考慮した上で、感染によるものとみられる症状を特定した。

この研究により、すでに報告されていた「倦怠感、嗅覚障害、息切れ」といったさまざまな後遺症の症状のリストに、新たに「脱毛、射精障害や性欲減退を含む性機能障害」などが付け加えられることになった。

新型コロナウイルス感染の影響は、これまで考えられていた以上に幅広い器官系に及んでいるとみられる。それらはおおまかに、次の3種類に分類することができる。

・呼吸器症状─咳や息切れなど、
・認知障害/メンタルヘルスの問題─不安、うつ、ブレインフォグ(脳にモヤがかかったような状態)など、
・その他─痛み、倦怠感、発疹など、より幅広く報告されているさまざまな症状


そのほか研究チームは、分析の結果、「女性、黒人、少数民族、喫煙者(元喫煙者を含む)、社会経済的地位が低い人、過体重または肥満の人たちに、後遺症を経験する人が多い傾向が示された」と説明している。

また、感染する前から片頭痛がある人、セリアック病(グルテン過敏性腸症)、多発性硬化症、線維筋痛症、不安症、うつ病と診断されている人は、後遺症の症状が長引く可能性が高いという。

症状を引き起こすのは免疫反応?

後遺症が残る原因は、まだ明らかにされていない。そのため治療法も確立されていない。また、これまでに収集されたデータによれば、ワクチンに後遺症の発症を予防する効果はほとんどないとみられている。

後遺症が長く続く理由として考えられているのは、血栓ができることやウイルスが長く体内に残ること、一部の免疫反応などだ。

論文の筆頭著者である英バーミンガム大学応用衛生研究所の研究員、アヌラダ・スブラマニアンは、今回の研究で得られた結果は、原因を探る研究者らが注意を向けるべきポイントを絞り込むことに役立つとだろうと述べている。

また、後遺症に免疫系の働きが関与しているとみられることを考えると、男性よりも自己免疫疾患の患者が多い女性の方が後遺症のリスクが高いとみられることは、特に興味深い点だと指摘している。

「ロング・コビット」は後遺症と考えられる症状全般を指す言葉であり、その医学的な定義はいまだ明確ではない。だが、これまでの研究によって、新型コロナウイルスが人体のほぼすべてのシステムに影響を与えるものであることは明らかになっている。

米国では約1800万人に後遺症

一方、米疾病対策センター(CDC)によると、米国で感染後に回復した5人に1人が、後遺症に悩まされているとみられている。すでに9000万人以上が感染していることから(2回以上感染した人も含まれるが)、後遺症に苦しんでいる人はおよそ1800万人にのぼると推測できる。また、感染による死者は、100万人を超えている。

感想
日本の感染研は、感心するほど何もしないですね。
データは出さない。
抱え込んでいるだけ。
他の研究者にも提供しない。
コロナに関する論文も書かない。
データを他の研究者に出すと、他の研究者が論文書くので、そうすると感染研のレベルの低さが分かってしまうので、それを妨害している。

超過死亡率が日本が高いことを海外の論文が書いているのに、それさえも考察しない。

感染研だけでなく、医系技官も問題です。
その象徴が尾身会長ですが。
科学者でないですね。

元足利市長の私が体験した「旧統一教会」の選挙妨害とその全手口 ”洗脳されると命も捨てて行動、命を惜しむヤクザより怖い”

2022-07-30 11:01:33 | 旧統一教会
https://news.yahoo.co.jp/articles/a8f12910fc40974dae0cc85908c92d12b67fce51 7/30(土) 8:02 現代ビジネス

安倍晋三元首相が凶弾に倒れ、保守政治家と旧統一教会(旧名称は世界基督教統一神霊協会、現・世界平和統一家庭連合。以後、統一教会と呼ぶ)の関係が再び注目を集めている。支援を受けた国会議員の名前が次々に明らかとなっているが、地方政治でも統一教会は幅広く浸食を試みているという。2009年に足利市長に当選した大豆生田実(おおまみうだ・みのる)氏は、保守政治家の一人だが統一教会の問題を長らく調査してきた人物だ。大豆生田氏に地方政治と統一教会の現実と選挙妨害の実態について寄稿してもらった。
----------

【写真】なぜ信じるのか。脱会信者が赤裸々に明かす「統一教会」の手口

敵に回すと恐ろしい存在
 衝撃的な事件から早、3週間余りが経過しようとしています。

 凶弾に倒れた安倍晋三元首相に対して哀悼の誠を捧げつつ、私は栃木県足利市の元市長として、この問題について語らないわけにはいかない。そういう思いで今回、筆をとりました。

 今、国会議員と統一教会の関係がにわかに注目を集めています。

 とりわけ反共産主義、保守政治家を自認する国会議員の多くが統一教会やその関係団体の支援を受けていたことが、赤裸々に報道されるようになっています。しかし、国会議員ばかりではありません。地方政治もまた統一教会の選挙活動に翻弄されてきたのです。

 統一教会のマインドコントロールによって、多くの若者が霊感商法をはじめとした収奪的な布教活動をさせられてきましたが、報道を見ても遠い世界の話のように感じられている人も多いかもしれません。

 しかし、統一教会はこれまで様々な批判をかいくぐり、大都市のみならず地方にも根を張り、一貫して活動の幅を広げてきたのです。

 例えば、私が住む足利市にも統一教会の関係施設とみられる施設が少なくとも2ヵ所は存在しており、それは全国の地方都市でも同様に広がっているはずです。統一教会による信者獲得攻勢や政治への浸透は、決して他人事ではありません。

 それを踏まえ、私の問題意識の一端をここに述べさせていただきます。

恐るべき選挙妨害
 私は学生時代から統一教会に反対する活動をしていました。

 当時、身近な者が一時的に統一教会に惑わされることがあり、以来、統一教会に注意を払うようになったのです。

 私が統一教会の本当の恐ろしさを実感したのは、いまから21年前のこと。2001年に足利市長選挙に立候補した時でした。

 当時はオウム真理教の地下鉄サリン事件(1995年)の記憶が社会に鮮明に残っていました。また、統一教会による合同結婚式や収奪的な霊感商法などが社会問題化し、新興宗教全般に逆風が吹いていました。

 当時、足利市議だった私は、現職市長の急逝後の市長選に立候補しましたが、選挙戦は怪文書が全戸に配布されるほど荒れたものとなりました。

 そんな激しい選挙でしたが、統一教会にとって「反・統一教会」を公言する私が市長に当選することを阻止したかったのでしょう。

 選挙戦の最中、統一教会の関係者によって、私は「統一教会信者」というレッテルを貼られてしまったのです。

 選挙で最も大事な終盤になって統一教会系の「真の家庭運動推進栃木協議会 両毛支部」という団体の支部長が、私を名指しした上で「15年前頃に(大学生時代)統一教会の会員として活発な活動をされておられました」とネット上に書き込み、それが有権者に広がりました。

 当時、統一教会への不信感は社会に根強く、「統一教会の会員」と名指しされた私は、この選挙で完敗しました。

 ところが、私が落選すると一転、その支部長が私に謝罪の意を示し、次のような謝罪広告を自発的に新聞各紙に掲載したのです。

 〈私は、大豆生田実氏に対して左記のとおり謝罪します〉

 〈私は、平成十三年五月十二日にインターネット上において、大豆生田氏が統一教会の会員として活動したことがあった旨を、統一教会関係者の当事者として摘示しました。
 しかし、その後に慎重に調査した結果、かかる事実は全く無いことが判明しましたので、ここに正式に訂正いたします〉


 〈この度のことにより、大豆生田氏の政治的信用が傷つかないことを願います〉

 統一教会は選挙となれば手段を択ばない―。

 敵対する候補のダメージとなるならば、自虐的なニセ情報を流すこともいとわないのか、当時、私はそう感じました。

 候補者として支援者からの支持を失うダメージはもとより、政治家にとって統一教会を敵に回すことが、如何に恐ろしいことなのか、お分かりいただけることでしょう。

 しかし、選挙戦における情報戦だけが恐ろしいのではありません。

 昨今、報道で指摘されているように保守系国会議員の秘書として多くの信者を送り込んでおり、最盛期には3ケタの数を超えていたとの情報もあるほどです。


 私が懇意にしている大臣経験者の事務所を訪れた際には、その書棚に統一教会の聖書とも言うべき「原理講論」が堂々と置かれているのには驚かされました。

 「なぜ、こんな本があるのか」と問いただす私に、大臣経験者は「かつて秘書をしていた者が置いていったんだよ。よくできる秘書だった」と悪びれる様子もなく語っていました。

マインドコントロールを解くのは難しい
 ことほど左様に統一教会は日本の保守政治家に浸透しているのです。

 さかのぼれば1968年、韓国生まれの統一教会は反共産主義を掲げる政治活動団体「国際勝共連合」を設立しました。その際に安倍元首相の祖父であり、日韓国交交渉を進めた岸信介元首相と親交を深めたことはよく知られています。

 保守主義を掲げる政治家からすれば、反共産主義を掲げるだけで、統一教会による無償の支援が受けられます。

 一方で、選挙の支援欲しさに、統一教会の「韓国は神の国であり、日本は悪(サタン)の国である」との教えや「霊感商法などで集めた日本のお金を韓国に送るのは善である」という異様な思想に、彼らは目を向けようとはしませんでした。

 2006年6月には安倍晋三官房長官(当時)が統一教会系団体の集会に祝電を送っていたことを知り、私は自身のブログで懸念を表明したこともありました。危機感を抱く信者の家族や弁護士たちも同様に声を上げましたが、結局、国家の中枢には届きませんでした。


 私は反統一教会を掲げるキリスト教の牧師や霊感商法被害者弁護団の脱会活動に触れる機会もありました。

 そこでわかったことは、一旦はまってしまったマインドコントロールを解くことは非常に難しいということです。

 安倍氏を銃撃した山上徹也容疑者の母は、事件後に安倍氏やその家族に対して謝罪するのではなく、「統一教会に申し訳ない」と語っているということ自体がその難しさを雄弁に物語っています。

 それ故に、統一教会の信者を説得し完全な脱会に導ける人は極めて少ないというのが実情です。


 そして今も日本のどこかで、純粋で真面目な若者が、人生に思い悩んだ心のスキを狙われて統一教会にマインドコントロールされ収奪的な献金をさせられているかと思うと、大いなる義憤を感じずにはいられません。

 保守改革派を自認している私から言わせていただくならば、保守の核心は愛国心(patriotism)だと思います。
だからこそ、統一教会の支援欲しさにその違法性に目を向けない保守政治家たちに問いたいのです。

 北朝鮮による拉致の解決に向けて国を挙げて全力で取り組むことは国家として当然ですが、それと同じレベルで統一教会が行ってきた「マインドコントロールによるもうひとつの拉致」の問題にも全力で向き合い、政治家としての矜持を示すべきではないでしょうか、と。

 結びに、統一教会に大いなる問題意識を持っている者として、いくつかの提言をしておきたいと思います。

宗教法人法の改正を
 最近、立憲民主党が霊感商法や消費者被害への対策を主眼として調査・検証を目的に対策本部を設けると言っています。しかし、消費者問題にとどめるのではなく、統一教会が大手を振って活動できる土壌を整えてしまっている日本の政治環境や法制度の問題に切り込むべきです。

 もちろん憲法20条の「信教の自由と政教分離」に異論をはさむ余地はありません。しかしながらその解釈として、信教の自由には、信じる自由だけでなく、信仰を変える自由や信じ込まされない自由もあると捉えるべきです。

 統一教会のやり口は、信仰を変える自由や信じ込まされない自由を侵しているのであり、こうした視点は憲法改正に向けても十分な論点となり得ます。

 また霊感商法に代表される統一教会の違法な経済活動に対しては、民間企業と同レベルの課税をするなど、宗教法人法の改正を視野に入れるべきでしょう。

 さらに、仮に加害者が末端の信者であっても組織的に不法行為を繰り返す統一教会に対しては、その認証を取り消すことができる反セクト法の制定も検討に入れるべきだと思います。

なぜ統一教会による被害がなくならないのか
 古くは親泣かせの原理運動として社会問題化し、さらには合同結婚式や霊感商法など、統一教会による被害はたびたび取りざたされてきました。

 しかしながら、その被害がいまだになくならないのは、なぜでしょうか。

 ひとつは政治の不作為といえるでしょうが、地域コミュニティの崩壊も要因の一つにあると思います。中心商店街が衰退し、小学校は統廃合され、それを軸として成立していた地域コミュニティが希薄になり、「隣は何をする人ぞ」のような状況があちらこちらに広がってしまっています。

 哲学者カントは「人は人によりて人となる」と語ったそうですが、その「人」が間違った道に進まないようにするためには、まずは家族の存在が何より大きいし、それと合わせて地域の役割が見直されていいのではないでしょうか。

 自助、共助と公助が機能するかつてあった地域のコミュニケーション力を高める努力を政治家は怠ってはならないと思います。

 そして、脱会した元信者を受け入れる包容力もまた地域には必要です。なぜなら、世間に対する加害者的な部分の反省も含めて、普通でない経験をしてきた彼らには人一倍の人間力が培われており、将来必ずや日本の力になると私は確信しているからです。

 ただすべきは、彼らを利用し、搾取し続けている統一教会の指導者たちなのですから。


----------
なお、週刊現代編集部が統一教会に、過去に統一教会系の「真の家庭運動推進栃木協議会 両毛支部」という団体の支部長がネットに大豆生田実氏が統一教会信者であることを書き込んだ事実と、国会議員の秘書に信者を送り込んでいることについて問い合わせたところ、「宗教法人としての家庭連合が特定の政党や候補者を応援することはないというスタンスです」と世界平和統一家庭連合広報担当者が回答した。
----------

感想
旧統一教会は、目的を達成するためには何でもやるようです。

その手先になる人が多いのでしょう。
それをやる人も、やらないとサタンの国に行くなどと脅されているのかもしれません。
もしサタンの国があるなら、真っ先にサタンの国に行くのは旧統一教会の幹部だと客観的に言えるのですが。
幹部はサタンの国がないことを知っているので、自分たちはサタンの国に行くことはないと安心しているのです。

人を不幸にすることに手を染めている、そのことに心が痛まないほど、心が荒んでいるのかもしれません。
視点を変えると、犠牲者でもあるのですが。

政治がそれを咎めない国がおかしいのかもしれません。
毎年600億円が日本から搾取され、韓国に行っていること自体、それを容認していること自体売国行為になります。
それの一端に加担していた安倍元首相の国葬、いったい何なのでしょう。
他にもモリカケ問題、詩織さん準強姦犯山口敬之氏の逮捕停止/刑事起訴なし。
怒らない国民がダメにしているのでしょう。
もし、自分の家族にそれが起きても黙っていないのでしょうか?