http://digital.asahi.com/articles/ASHDV038HHDTUTIL06R.html?rm=536市川美亜子、池尻和生 2016年1月23日
安倍政権の目玉政策「1億総活躍社会」の実現に向け、政策を話し合う「1億総活躍国民会議」のメンバーに起用されたタレント、菊池桃子さんが「排除される人をつくらない社会」を提案し、注目を集めている。発言の裏にあったのは、障がいのある長女を育てながら感じた社会への疑問だった。
「1億総活躍という言葉についてですが」。昨年10月の国民会議の初会合。「民間議員」として参加した菊池さんは安倍晋三首相らを前に「意味がわかりづらい、という声をよく耳にします」と切り出した。その意味を補う言葉として提案したのが「ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)」という言葉だ。
欧州では「社会から排除するものをつくらない」理念として、労働や福祉、教育などの分野で幅広く使われるが、日本では聞き慣れない。だが、菊池さんは、乳児期に脳梗塞(こうそく)を患って左手足にまひが残る長女と生きる中で、この言葉を幾度もかみ締めてきた。
「小学校を探していた時は、近くの特別支援学校に『教科書相当の知識が身につくか約束できない』『家庭教師をつけては』と言われた。将来に夢を抱く子どもたちに義務教育も担保できないのか。それで本当に義務教育と呼べるのかと、疑問がわきました」。取材に対し、こう振り返った。
ログイン前の続きようやく長女の進学先が決まった時には、リハビリ仲間のママ友に「桃子さんのおうちは、うちの分も幸せになってね」と言われた。障がいの重さや経済的な理由で、希望に沿った進学を諦めた仲間は多い。
「家庭教師と言われても、経済的な理由で諦めるしかない人もいる。心の中でどれくらい涙を流しているのか」。我が家の悩みから社会構造への疑問が膨らみ、大学院での雇用政策研究へとつながっていった。
昨年11月、国民会議の2回目の会合では、学校の受験や企業の採用資格に記載される「心身ともに健全な者」の一文に言及。「人々の前向きな意欲をそぐ慣例」「この表現のために、受験や採用試験を諦める方が多い現実がある」として見直しを提案し、政府の緊急政策にも盛り込まれた。
緊急政策にはほかにも、「ソーシャル・インクルージョン」を意識した「包摂と多様性」という文言や、出産・育児後に女性が職場復帰するための「学び直し」の場など、菊池さんの提案が採用された。
「1億総活躍」が「排除する人をつくらない社会」に近づくには、何が必要なのだろうか。菊池さんは「多様性への理解でしょうか。欧州では幼い頃から移民や難民に接し、それが障がい者や性的少数者への理解にもつながっている。歴史的背景は違っても、日本社会も『仲間はずれ』をなくしてから『総活躍』の議論をするべきだ」と語る。
一方、国民会議は政権の参院選向けの対策との見方もあり、「選挙が終われば1億総活躍の政策議論も終わり」(官邸幹部)との指摘も出ている。菊池さんは「短期的な取り組みになるなら怒りを感じずにいられません。人口問題に向き合うための会議なのだから、長期的に解決に向かうまで続けてほしい」と話す。
菊池さん自身の参院選出馬を望む声があることについては、「自分の思いは芸能活動をしているからこそ伝えられると思う」と話し、立候補を否定した。(市川美亜子、池尻和生)
感想;
実際の体験により知ることが多いのだと思います。
何故、障碍を持って生まれるか、それはきっと意味があるのだと思います。
何かを知らせるための神様からの使命を障碍児を貰って生まれて来たのだと思います。
ロゴセラピーでは、人生から私に問いかけてくると考え、それにイエスと言ってその状況で前を向いて歩いて行くときっと価値を創りだすのだと思います。
◇
きくち・ももこ 1968年生まれ。84年芸能界デビュー。出産を経て、2009年に法政大学大学院に入学、12年に修士課程修了。その後、戸板女子短期大学の客員教授になり、キャリア教育の講義を担当。昨年12月、手記「午後には陽のあたる場所」(扶桑社)を出版した。
安倍政権の目玉政策「1億総活躍社会」の実現に向け、政策を話し合う「1億総活躍国民会議」のメンバーに起用されたタレント、菊池桃子さんが「排除される人をつくらない社会」を提案し、注目を集めている。発言の裏にあったのは、障がいのある長女を育てながら感じた社会への疑問だった。
「1億総活躍という言葉についてですが」。昨年10月の国民会議の初会合。「民間議員」として参加した菊池さんは安倍晋三首相らを前に「意味がわかりづらい、という声をよく耳にします」と切り出した。その意味を補う言葉として提案したのが「ソーシャル・インクルージョン(社会的包摂)」という言葉だ。
欧州では「社会から排除するものをつくらない」理念として、労働や福祉、教育などの分野で幅広く使われるが、日本では聞き慣れない。だが、菊池さんは、乳児期に脳梗塞(こうそく)を患って左手足にまひが残る長女と生きる中で、この言葉を幾度もかみ締めてきた。
「小学校を探していた時は、近くの特別支援学校に『教科書相当の知識が身につくか約束できない』『家庭教師をつけては』と言われた。将来に夢を抱く子どもたちに義務教育も担保できないのか。それで本当に義務教育と呼べるのかと、疑問がわきました」。取材に対し、こう振り返った。
ログイン前の続きようやく長女の進学先が決まった時には、リハビリ仲間のママ友に「桃子さんのおうちは、うちの分も幸せになってね」と言われた。障がいの重さや経済的な理由で、希望に沿った進学を諦めた仲間は多い。
「家庭教師と言われても、経済的な理由で諦めるしかない人もいる。心の中でどれくらい涙を流しているのか」。我が家の悩みから社会構造への疑問が膨らみ、大学院での雇用政策研究へとつながっていった。
昨年11月、国民会議の2回目の会合では、学校の受験や企業の採用資格に記載される「心身ともに健全な者」の一文に言及。「人々の前向きな意欲をそぐ慣例」「この表現のために、受験や採用試験を諦める方が多い現実がある」として見直しを提案し、政府の緊急政策にも盛り込まれた。
緊急政策にはほかにも、「ソーシャル・インクルージョン」を意識した「包摂と多様性」という文言や、出産・育児後に女性が職場復帰するための「学び直し」の場など、菊池さんの提案が採用された。
「1億総活躍」が「排除する人をつくらない社会」に近づくには、何が必要なのだろうか。菊池さんは「多様性への理解でしょうか。欧州では幼い頃から移民や難民に接し、それが障がい者や性的少数者への理解にもつながっている。歴史的背景は違っても、日本社会も『仲間はずれ』をなくしてから『総活躍』の議論をするべきだ」と語る。
一方、国民会議は政権の参院選向けの対策との見方もあり、「選挙が終われば1億総活躍の政策議論も終わり」(官邸幹部)との指摘も出ている。菊池さんは「短期的な取り組みになるなら怒りを感じずにいられません。人口問題に向き合うための会議なのだから、長期的に解決に向かうまで続けてほしい」と話す。
菊池さん自身の参院選出馬を望む声があることについては、「自分の思いは芸能活動をしているからこそ伝えられると思う」と話し、立候補を否定した。(市川美亜子、池尻和生)
感想;
実際の体験により知ることが多いのだと思います。
何故、障碍を持って生まれるか、それはきっと意味があるのだと思います。
何かを知らせるための神様からの使命を障碍児を貰って生まれて来たのだと思います。
ロゴセラピーでは、人生から私に問いかけてくると考え、それにイエスと言ってその状況で前を向いて歩いて行くときっと価値を創りだすのだと思います。
◇
きくち・ももこ 1968年生まれ。84年芸能界デビュー。出産を経て、2009年に法政大学大学院に入学、12年に修士課程修了。その後、戸板女子短期大学の客員教授になり、キャリア教育の講義を担当。昨年12月、手記「午後には陽のあたる場所」(扶桑社)を出版した。