幸せに生きる(笑顔のレシピ) & ロゴセラピー 

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「辞めてもらいます」突きつけられた通知書 ある日突然、身に覚えのない理由で解雇になった ”絶対サインしない&録音する、法律を知っておく”

2023-06-20 13:50:05 | 社会

 解雇を言い渡された女性は「私と同じように悔しい思いをしている人は、他にもいるはず」と話した
 身に覚えのない理由で不当に解雇を言い渡される働き手が、後を絶たない。労働契約法は不適切な雇用契約の打ち切りを禁じているが、会社側は一方的に社員の問題点を指摘したり、必要な手続きを省いたりして退職に追い込む。

 沈黙が15分ほど続いた。昨年7月、九州にある事業所の会議室。社員の30代女性は、関東の本社から訪れた取締役と社会保険労務士に解雇通知書を突き付けられた。署名を求められ、拒むと会話は途切れた。
  やがて、脅しに近い声が飛んだ。「今、署名しないと終われないから」「書かないと部屋から出られませんよ」。詳しい説明はなく、言い分も聞いてもらえない。怒りと諦めが湧いた。 
 「もういいかな、こんな会社」。名前を書き、その日のうちに荷物をまとめて職場を出た。数日後、正式に退職となった。

「気にすることはない」はずが…

 女性は事務職として十数年、勤務してきた。トラブルの発端は昨年5月、同じ事務職の新人が入ってから。仕事を教えていると約2週間で出社しなくなった。
  「指導が厳しい」「できない量の仕事をさせられる」。新人は上司にパワハラ被害を訴えたという。きつく接したつもりはなく、教えた業務も会社が指示した内容の一部だけ。戸惑った。事務職はもともと2人態勢で、退職が相次いだため女性が長く1人で担っていた。待ちわびた仲間を排除するはずがない。
  6月、本社から訪れた部長と社労士に事情を聴かれた。女性はパワハラを否定しつつ、「相手の受け止め方もあるだろうから、かみ合わなかったのなら、申し訳なく思います」とわびた。翌日も謝罪し、部長から「気にすることはない」と言ってもらえた。解雇通知書に署名を促されたのは、その1カ月後だ。
  一般的に解雇の有効性を巡る訴訟では、本人に弁明の機会があったかが重視される。女性にはその場も与えられなかった。
  思い当たる節はある。女性は1人で事務をする間、朝から日付が変わるまで働いても仕事が終わらず、泣きながら作業をしていた。何度か直属の上司に助けを求めたという。社内の他の事業所は事務職が辞めると補充があるのに、「なぜここはないんですか」-。
  女性の残業時間が多いことを本社が問題視し、少なく申告するよう言ってきたこともある。その際も同じ上司に「出先から現実を報告しないと、どれだけ大変か分かってもらえないですよ」と意見をぶつけた。 
 「そういうのが生意気で気に入らなくて、パワハラで切ろうとしたんでしょうね。長年、頑張って貢献してきたのに恩をあだで返された感じ。悔しいです」

「あなたの仕事はなくなる」
 九州の食品加工工場で働いていた40代男性も職を失う危機に立たされた。5年ほど前、上司に「工場を畳むから、あなたの仕事はなくなる。整理解雇でお願いします」と告げられた。
  整理解雇は、企業が業績悪化で社員を減らす際に取る手続き。判例で確立された四つの要件を満たすかどうかで有効性が判断される。会社は解雇を避けるため、配置転換や希望退職者を募集するといった努力をしたか-などがそうだ。
  当時、希望退職者は募っておらず、転勤の相談もなかった。同じ工場で働く正社員の同僚は別の職場に移ったのに、なぜ自分だけ解雇されるのか説明もない。会社が正しい手続きを踏んでいないのは明らかで、納得できなかった。
  会社と交渉して解雇は取り下げられたが、本州に転勤に。応じたものの、九州に残してきた認知症の母を思うとつらい。母が暮らす施設の近くにも会社の事業所があり、そこで働きたかった。
  「会社がきちんとルールを守っていれば、こうはならなかったんじゃないかな」。釈然としない思いがなお、胸に残る。  (編集委員・河野賢治)

感想
 会社が社員のことを考えてくれているとの錯覚が、裏切られたとかの思いにつながるのではないでしょうか。
 多くの会社は会社の存続を第一に考えています。
存続するためにはどうするか?
1)顧客満足を考える
2)社員満足を考える
会社が経営不振になると、1)と2)は後回しになります。
1)は売り上げに影響するので、手っ取り早く2)を後回しにします。
リストラが始まるのです。
 このケースみたいに、脅して辞めるサインを得たらそれで目的達成です。
逮捕して自供させて取り調べ調書にサインさせたら”勝ち”なのです。
一度サインすると裁判で覆すのは至難の業です。
警察官が「裁判で言えば変わるから」を信じたらバカをみます。

 脅すなら録音することです。
また部屋を出てはいけないは人権違反です。
逆に会社側に違反行為を多くさせるのもよいでしょう。
そしてそれを労働基準局に訴えたり、裁判を起こしたりすればよいのです。
企業は訴えられたとなると”企業イメージダウン”を恐れ、妥協してくる場合もあります。

 先ずは知ることです。
いつ自分がそのような状況に追い込まれるかわかりません。
会社に問題がある。おかしいと言っても解決しません。
こちらも知識で武装しておく必要があります。
 自分が恐れているということは、会社も恐れているのです。
また、今はSNSで発信できます。
会社とのやり取りを、ブログで発信すること(ただし事実を淡々と記載)で、その企業のイメージダウンにつながります。
 きっと「ブログでは発信を止めて欲しい」、あるいは「内部情報漏洩で訴える」と言われても恐れることはありません。事実を書いて、そしてそのときの自分の感情を書くことです。
 決して相手側を中傷したり脅すような言葉は一切書かないことです。
 自分で冷静に判断できない場合は、信頼できる人に見てもらうのも選択肢です。

ロシア、ダム決壊被災地への支援なお妨害 国連 ”自らロシアがダムを破壊したと言っているような行動”

2023-06-19 11:18:28 | 社会

【AFP=時事】国連(UN)は18日、カホウカ(Kakhovka)水力発電所のダムの決壊で洪水が発生したウクライナ南部ヘルソン(Kherson)州で、ロシアが支配地域への人道支援物資の搬入を今なお妨害しているとして非難した。 
  今月6日にダムが爆発により決壊したのを受け、ヘルソン州は広範囲にわたって冠水し、数千人が避難を強いられた上、エコサイド(大規模環境破壊)への懸念が高まっている。
  国連でウクライナ担当の人道調整官を務めるデニス・ブラウン(Denise Brown)氏は、「ロシア政府はこれまで、軍事的な支配地域入りの要請を拒否してきた」と主張。 「国連は、ダム決壊の影響を受けている人々を含め、救命援助を緊急に必要としているすべての人々に対し、今後もあらゆる手を尽くして支援を行っていく。そうした人々がどこにいるかは関係ない」「ロシア当局に対しては、国際人道法に基づく義務に従って行動するよう強く求める」と呼び掛けた。【翻訳編集】 AFPBB News

感想
 まさに、ロシアはウクライナ国民のことよりも自国のことを考えて行動しているからです。それが、ロシアに対して信頼できないのです。ロシアに降伏したら、さらに自分たちの身の安全が脅かされてしまう。命をかけてでも戦うとの気持ちになっているのです。
 ウクライナの小麦を当時のソ連に強制的に没収され、約600万人の犠牲者がウクライナで発生しましたが、ソ連での飢餓者はいませんでした。
 鈴木宗男氏はウクライナも悪いと言っていますが、このような歴史を学べば少しは変わるのでしょうか?
 誰かが鈴木宗男氏に危害を与えたら、あるいは家族が殺害されたら、「自分たちも悪かった」と思われるのでしょうか?
 気の毒になるくらい、ロシアに洗脳されているのかなと思ってしまいます。
正しく判断する知識を持ち、発言を見て行かないと、騙されてしまいます。
それがまさにオウム真理教であり、統一教会ではないでしょうか?


「『奨学金の返済苦』が自殺の動機」2022年に10人の報道で「奨学金なんてまやかし」「学生ローンに名前を変えろ」の大合唱 ”確かに、奨学金とは言えない”

2023-06-18 19:24:00 | 社会

少子化対策を訴える岸田政権だが、奨学金返済が負担になり、出産を控えることで少子化につながる悪循環が起きているとの指摘もある
 6月18日、朝日新聞が報じた記事が反響を呼んでいる。
 朝日新聞はこの日『自殺の動機「奨学金の返済苦」、22年は10人 統計見直しで判明』と題した記事を報道。2022年の自殺者のうち、理由のひとつとして、奨学金の返還を苦にしたと考えられる人が10人いたことが、警察庁などのまとめでわかったという。 
 10人の内訳は、20~30代の男性6人と、10~20代と40代の女性4人。
  警察庁や厚生労働省によると、原因や動機は、各都道府県警が自殺と判断した事案で、遺書や遺族への聞き取りでわかったものを、「親子関係の不和」「仕事の失敗」といった選択肢のなかから選んで分類するという。
  2022年からは自殺者の統計が見直され、この選択肢を細分化して新たな項目を作り、52から75に増やして、選べる数を最大3つから4つにした。新たな項目として「奨学金の返済苦」が作られたことで、初めて明らかになったという。
  日本学生支援機構(JASSO)で、2021年度に奨学金を利用した学生は148万人。うち、貸与型はおよそ8割。一般的に、卒業後の返還期間は12~20年に及ぶという。  自殺の動機のひとつとして、奨学金の返還を苦にしたと考えられる人が10人いたことで、SNSでは、貸与型奨学金の名称を「学生ローンに変更しろ」という声が飛び交った。 
《奨学金って呼び方やめて学生ローンにしたら?》 
《利息のある奨学金は名称を変えるべき。学生ローン、借金です》 
《これが自称先進国の実態。「貸与型奨学金」というまやかしの言葉はやめよう。実態は「学生ローン」》
  3月28日の参院予算委員会では、共産党の田村智子参院議員が貸与型奨学金の問題を取り上げた。  田村氏は、労働者福祉中央協議会がおこなった奨学金返済の生活設計への影響調査で、結婚への影響が37.5%、出産と子育てへの影響が3割超となっていることを指摘。日本学生支援機構の貸与型奨学金の総貸付残高が、2021年度末で9.5兆円にのぼることを明らかにしたうえで、こう岸田首相に迫った。
 「学生を含めてだが、おもに20代、30代の若者が総額9.5兆円もの借金を、この日本では負っている。これは2006年度末と比べると、2倍の規模になっている」 「そのうちの7割は、利子までついた借金。これは異常じゃないか、支援策が必要ではないか」  さらに田村氏は、米国でバイデン大統領が2022年、連邦政府の学生ローン返済をひとり最大1万ドル(約130万円)まで免除すると発表したことを指摘したうえで、岸田文雄首相に、「日本でも、全員に一気に返済総額の半額を免除するぐらいの対策をするべきではないか」と迫った。
  対して、岸田首相はこう答えた。 「単純に比較できるものではないと考えている。日本では、年間の平均授業料が国立で54万円、私立で93万円。米国では、州立で300万円、私立で500万円。そして日本では、低所得世帯に無利子で貸与をおこなっている。有利子でも0.37%。米国は原則すべて有利子で、4.99%。結果として、日本はひとりあたり平均154万円だが、米国はひとり当たり平均521万円となっている。日本として、負担軽減に向けて独自の政策を進めていくことが重要であると考えている」  だが、貸与型奨学金には延滞リスクもある。延滞すると延滞金が上乗せされるうえ、3カ月を超えると債権が債権回収会社に移り、個人信用情報機関に登録されるため、住宅ローンが組めなくなるなどのリスクが生じる。延滞を解消しても、完済後5年まで記録が残るのは、まさにカードローンと同じ扱いだ。
 日本学生支援機構によると、2017年度に給付型奨学金制度が創設されて以降、2021年度まで5年間の支給実績は、累計で2900億円。貸与型奨学金の残高9.5兆円に比べると、あまりに少ない。
  政府が6月13日に閣議決定した「こども未来戦略方針」には、大学に進んだ場合の高等教育について、以下の項目が加えられた。 
・授業料減免の対象を年収600万円までの多子世帯などに拡大する 
・子育て期の家庭の経済的負担に配慮した貸与型奨学金の返済負担の緩和 
・授業料後払い制度の抜本拡充などにも取り組む 
 朝日新聞は、自殺の動機のひとつとして、奨学金の返還を苦にしたと考えられる人が10人いたことを「氷山の一角」とも報じている。岸田政権は、貸与型奨学金の返済負担を緩和することができるだろうか。

感想
 奨学金は学生を支援するものです。ところが支援ではなく、学生の人生に重荷を背をわせているようです。また奨学金の名前で、ローンで利益を上げているのかもしれません。
 支援することは未来への投資です。防衛費よりももっと強い守りになります。
2021年度まで5年間の支給実績は、累計で2900億円」
480億円/年
なんとアベノマスクの税金無駄遣い540億円より少ないのです。
アベノマスクよりも学生に支給しない政治家、自公は何を考えているのかと思ってしまいます。

10代でヤクザの性奴隷、20代で指名手配…二度服役の元レディス総長がビジネスホテルを"一棟買い"した訳 ”やり直しのできる社会であって欲しい” ”

2023-06-15 20:42:55 | 社会

日本における再犯率は48.6%と高い。そんな中、注目されているのが出所者の社会復帰サポートを目的に雇用を行う「協力雇用主」だ。栃木県の建設請負会社・大伸ワークサポート代表取締役の廣瀬伸恵さんはそのひとり。自身も中学時代以降に荒れた生活で二度服役した。
 その波乱万丈の半生と人物像を『人生上等! 未来なら変えられる』(集英社インターナショナル)で描いたノンフィクション作家の北尾トロさんが廣瀬さんの最新事情をリポートする――。

二度服役し獄中出産した元レディス総長の社長の生き様
2007年に発刊された『裁判官の爆笑お言葉集』(長嶺超輝 幻冬舎新書)が再び脚光を浴びている。裁判官が法廷で被告人に語りかけた発言を集めたものだが、そのひとつにこんなものがある。
「私があなたに判決するのは3回目です」
覚せい剤常習者への、うんざりした気持ちが込められているようで笑ってしまうが、裁判官が自嘲気味に言った言葉でもあると思う。裁判の目的は、悪いことをした人に罰を与えるだけでなく、再び悪事に手を染めないよう反省し、立ち直ってもらうことなのに、過去の裁判で裁判官がかけた言葉は効き目がなかった。その無力感が、この発言を味のあるものにしている。

法務省の「再犯防止推進白書」令和4年度版によると、2021年の再犯者率は48.6%。およそ2人に1人が再び犯罪をおかして捕まるのは尋常とは言えないだろう。

しかし、再犯者率の高さには本人のせいとばかり言えない事情もある。更生を誓って少年院や刑務所から出所しても、住む家や仕事、お金、サポートしてくれる人など、人生をやり直すために必要なものがなかったらどうすればいいのか。ただでさえ、世間の見る目は厳しいというのに。

住む場所や生活費を得るためにまず欲しいのは仕事だろう。仕事を得て生活が安定すれば、小銭稼ぎの犯罪に手を染めたり、ヤケになって悪事に走ったりするケースを減らすことができる。そこで期待されるのが、社会復帰に協力することを目的として雇用を行う“協力雇用主”だ。

長年、裁判傍聴をしてきた僕は、実刑判決を受け、うなだれて法廷を去っていく被告人を見ているうちに、彼らの出所後が気になってきた。“協力雇用主”に話を聞けば、実態の一部がわかるのではないだろうか。元犯罪者を積極的に雇い入れようとする企業のトップは、社会のために尽くしたいという崇高な理念を持っているに違いない。そう考え、つてを頼って会いに行ったのが、栃木県にある大伸ワークサポート代表取締役の廣瀬伸恵だった。

ところが、会うなり彼女は、崇高な理想を掲げるだけでは、“協力雇用主”はできないと言い切った。そんなキレイごとじゃないと。

出所者の過去は十人十色。犯罪歴も詐欺や窃盗から覚せい剤、暴力がらみなど幅広い。本気で更生を誓っても、きっかけひとつで崩れることも多い。社内でのいざこざ、脱走、警察沙汰も頻発する。彼らを束ねて仕事を回していくには、雇用する側もタフでなければ務まらないのだ。

「私もさんざん悪いことをして、刑務所に二度服役しましたし、獄中出産も経験しています。私自身が再犯者。まっとうに生きようと思っても、悪評が知れ渡っている地元では仕事を得ることさえ難しかった人間なんです」

建設業に活路を見出し、やがて起業しても、ハローワークは誰も紹介してくれなかったそうだ。

「だから、最初は苦し紛れに少年院や刑務所にいる知人が出所したら雇うことを始めたんです。でも、“協力雇用主”の制度を知って思ったの。これって、出所者の悩みや苦しみがわかる自分にぴったりの役割じゃないかって」

予想外の答えを聞いた僕は、その場で廣瀬に「あなたの本を書きたい」と申し込んだ。彼女の半生は出所者のリアルなレポートであり、再犯者率を下げるためにどうしたらいいかを考えるきっかけにもなると考えたからだ。
壮絶な過去とガチンコの日常
取材を進める中でわかってきたのは、廣瀬の嘘のない生き方だ。過去を隠さず、すべてオープン。問題が起きると人任せにせず自分で対処するし、社員の不満は直接聞く。当然、ケンカにもなるが、それでも逃げない。覚せい剤を使う社員を発見すれば、薬物依存症からの回復施設であるダルクに引っ張っていくだけでなく、クスリを売りつけたヤクザの事務所に自ら乗り込んで「うちの社員に手を出すな」と交渉したりもするのだ。

中学入学と同時にヤンキーに目覚めた廣瀬の人生はとにかく波乱万丈。ケンカやカツアゲ、シンナーを皮切りに、家出、覚せい剤デビュー、温泉街でのコンパニオン、ヤクザの性奴隷などを中学生で経験し、18歳でレディス暴走族『魔痢唖』を結成。初代総長となって栃木全域を傘下に収め、覚せい剤の売人として稼ぎまくる。

暴力とSEX、ドラッグ、非合法な金儲けがすべての凄まじい日々。その結果、指名手配までされて、20代の大半を刑務所で過ごす羽目になった。

その廣瀬が、二度と悪の道に戻らないと心に誓い、建設請負会社を立ち上げて、元犯罪者たちの“母親役”を買って出たのだ。中途半端が大嫌いな性格は、いい方向に転べば武器になる。問題だらけの過去も、培ってきたネットワークが社員を守る際には役に立つ。

廣瀬は現場仕事のある日は必ず、夕食を希望する社員のために食事を作っている。そのために自宅の1階を開放し、出入り自由にしているほどだ。ただでさえ過去のある面々である。こちらが心を開かなければ信用されない。

食事が終わると飲み会に発展することもしばしばで、夜が更けるまで社員たちと時間を共にする。また、本音でぶつかり合う場は、社内の人間関係や、個々の精神状態を観察する機会でもある。銀行口座を作れない社員が多いから給料は手渡し。廣瀬は現場に出ないが、そうすることで最低でも月に一度は会話ができる。

「私が非行に走った大きな理由は、寂しさだったんです。そういう子はここにも多い。だから、私は社員たちの“母ちゃん”でいたい。他人の集まりだとしても、ここにいる間は家族同然に付き合うのが私のやり方です」

その思いが、必ずしも伝わるとはかぎらない。実際、社員はどんどん変わる。生活の基盤を築いて巣立って行く者もいるが、再犯をして捕まる者、ある日突然消える者もいる。

僕は2年半の取材期間に廣瀬宅を20数回訪れたが、社員の入れ替わりやトラブルがそのたびに起きていた。それでも廣瀬がめげないのは、自分を必要とする者がいるという実感があるからだ。見事に立ち直り、会社の幹部になった出所者について話すときの彼女は本当にうれしそうなのである。

「いまでは少しずつ周囲の見方も変わってきて、どこでも手を焼く出所者を『あなたのところで引き受けてほしい』と頼まれることも増えてきました。厄介だとは思わない。逆に、やってやろうと燃えるよね」

自立を支援する活動をライフワークに
極悪非道だった自分がやり直すことができたのは、見捨てずにいてくれる仲間がいたからだと廣瀬は思っている。だったら自分もそうしよう。誰も見捨てず、寄り添おう。

全国の少年院や刑務所から入社希望の思いが綴られた履歴書が届くと、廣瀬は1週間程度の面会ツアーを組んで足を運び、直接会う。雇い入れが決まれば、出所日には迎えにも行く。はたから見れば身を削るような毎日だが、ストレスは少ない。なぜなら、やりたくてしていることだからだ。

「社員たちが働いてくれて、会社もそれなりに成長できました。これまで雇い入れた出所者は約80人。少しは更生の役にも立てるようになったかな。でも、私には新しい夢ができたの」

取材も終わりに近づいた頃、これまで夢など語ったことのない廣瀬が言い出した。それは何か。会社とは別に、自立支援ホームを作ることだという。出所者が一定期間過ごし、仕事探しなどをするための施設だ。

「うちは建設関連で現場仕事なので、誰でも雇えるわけじゃない。でも、高齢者や障害を持っている出所者など、本当に困っている人っているんだよね。その人たちのサポートをライフワークにしたいんです」

そのうちに、の話かと思ったのだが、僕は廣瀬の行動力を見くびっていたようだ。しばらくすると電話がかかってきたのである。

「近くに出物があったので、ビジネスホテルを買いました。自立支援ホームはハードルの高い事業なので、前科者の私でも認可が下りる事業を見つけて必ずやりたい」

過去は変えられなくても、未来なら変えられる、はず。でも現実には一度でもしくじった者を徹底して叩く、失敗を許さない風潮がはびこっている。みんなの気持ちに余裕がなくなれば、ますます失敗を恐れる気持ちが強くなり、冒険心やチャレンジ心にブレーキをかけてしまいそうだ。

北尾トロ『人生上等! 未来なら変えられる』(集英社インターナショナル)
廣瀬の半生を書いた拙著『人生上等! 未来なら変えられる』(集英社インターナショナル)が今冬に出てネットニュースになったときも、コメント欄には辛辣な意見があふれた。元犯罪者に何ができる、引っ込んでろ、ロクなもんじゃない……。それを伝えると、彼女は「あはは」と笑った。

「叩かれるのは慣れてるんで気にしません。“協力雇用主”に関心を抱いたり、再犯者率について考えてくれたりする人が少しでも増えたらいいんです。私は、圧倒的にサポートが足りない現状を世の中に理解してもらう足掛かりになりたい。そのためにできることは何でもするつもりです」

目標はあくまでそこなのだ。やることを決めたら、迷うことなくまっすぐに進む。何をしでかすか予想がつかない廣瀬の元へ通う日々は、当分続きそうだ。
[ノンフィクション作家 北尾 トロ]

感想
「反省させると犯罪者になります」 岡本茂樹著 "人は自分がされたことを、人にして返すものです"

模範囚ほど、再犯を繰り返すそうです。
刑務所でどんな反省文を書けば良いかを学びます。
しかし、社会に出て、どう暮らしていくかを刑務所では学びません。

まるで刑務所は自分たちの仕事がなくならないように、再犯するように刑務所で教育しているのではないかと勘繰りたくなりました。


BS放送失敗の法則「雪印 2つの事件」 ”八雲食中毒事件をなぜ取り上げなかったのだろう?”

2023-06-14 01:11:33 | 社会
「失敗」への道のりを丹念にたどることで、「失敗から学ぶ」特集番組の第2弾。今回は、かつての乳製品のトップメーカー・雪印を取り上げる。2000年と2002年、わずか2年足らずのうちに立て続けに起きた2つの不祥事で事実上の解体に追い込まれた雪印グループ。なぜ事件は起きてしまったのか? 企業にとって、組織にとって、大切なこととは何か? 2つの事件、そして信頼回復と再生にかけた20年の取り組みを追う。

感想
 雪印乳業は八雲食中毒事件を起こしましたが、その時は社長が陣頭指揮で対応しました。なぜその時出来て、二度目では出来なかったのかが取りあげられていませんでした。雪印乳業の食中毒事件を考えるなら、八雲食中毒事件抜きには考えられません。
 コメンテーターが「よく雪印メグミルクがこの取材を受けた」と感心されていました。この放送は雪印メグミルクさんにとったらプラスのイメージUpです。
 でもなぜ「八雲食中毒事件も取り上げて欲しい」と要望出さなかったのでしょう?
それは多くの人が「八雲食中毒事件」のことを知らないので、知られたくなかったのかと思いました。それを取り上げると寝た子を起こし、又イメージダウンを恐れたのかもしれません。
 雪印メグミルクさんのHPではきちんと紹介されています。
 過去の失敗を生かしていなかったのです。当時本社の品質管理室長が空席で、品質管理の重要性が忘れ去られていました。この点も紹介されていませんでした。

 それと事件の一番の原因が紹介されていませんでした。
実は大樹工場で停電が起き、微生物が増え規格不適になりました。
工場の品質管理は、「微生物は殺菌すれば死ぬ」とのことで殺菌して、規格適合になり出荷しました。
 しかし、微生物には毒素を出す菌がいます。その知識がなかったのです。その知識があれば、菌の同定をすれば黄色ブドウ球菌とすぐにわかりました。黄色ブドウ球菌は毒素を出すことはネットでもすぐにわかります。毒素があるかも知れないと思って、外注で試験すれば該当ロットの廃棄だけで終わりました。
 工場長が新聞社のインタビューに正直に答えておられました。
「微生物が毒素を出すことは知らなかった」
食品工場は微生物管理です。それを知らない人が工場長に昇格させる経営の問題もあります。また本人が微生物について学ぼうとしなかった問題もあります。しかし、微生物試験を行う組織の責任者と試験者に微生物の基礎的な知識がなかったのです。SOPに従って試験するだけで精一杯だったのです。同じレベルの問題が健康被害を出した福井県の小林化工でも起きています。試験とGMPの基礎知識があれば1ロットの廃棄だけで終わっていました。
 つまり品質保証するためにベースの力がなかった。その力を持つ責任者でなかった。また教育もしていなかったことが問題でした。

 番組で牛乳の生産者の思い、消費者の思いが雪印乳業側に欠落していた云々が重要視されていましたが、その前に物造りの品質保証の欠落があったのです。それ抜きに生産者の思いや消費者の思いを議論しても意味がありません。