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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

アニメ「推しの子」~有馬かな、黒川あかね、覇権ヒロインが続々登場で盛り上がっている!

2023年05月20日 | コミック・アニメ・特撮
 アニメ『推しの子』、ドラマや恋愛リアリティショーの舞台裏が垣間見えて面白い。

 たとえばドラマ。
・カメラワークや照明の位置はあらかじめ決めてあって役者はそれに沿って演技をする。
 演技をする立ち位置も決まっている。
・上手い役者が下手な役者と芝居をすると、下手な役者の下手さ加減を目立ってしまうので、
 上手い役者は自分の演技の質を落とすことがある。
 別の見方をすれば、上手い役者さん同士が芝居をすれば、とんでもない相乗効果が生まれる。

 役者さんたちはこうした制約・ルールの中で、自分を表現すべく奮闘しているわけだ。

 恋愛リアリティショーの舞台裏はこうだ。
・台本はない。
・出演者がどう動くかは、基本、出演者任せ(演出家に意見を求めることはあるが)。
・求められるのはカメラがどこにあるかを把握して動くこと。
・カメラが近づいて来たら、それまでの会話を簡潔にリピートして何を話していたかを視聴者に明らかにする。
 …………………………………………………

 なかなかのリアリティだ。
 こういうことをしっかり描いているから、
 その中でもがき、悩み、奮闘するキャラクターたちにリアリティが出て来る。

 たとえば、10秒で泣ける天才子役だった有馬かな(CV潘めぐみ)。

 

 かなは、イケメンモデルばかりの顔見せプロモーションドラマで、自分の演技の質を抑え、これでいいのか、と悩んでいる。
 アクア(CV大塚剛央)はそんなかなの苦しみを知って、ドラマ制作のルールをぶち壊し、かなに本気の演技をさせる状況をつくる。

 恋愛リアリティショー「今からガチ恋始めます」では、黒川あかね(CV石見舞菜香)が悩んでいる。

 

 あかねは真面目で、なかなか爪痕を残せないのだ。
 それで所属事務所からプレッシャーをかけられている。
 ユーチューバーのMEMちょ(CV大久保瑠美)のように、自分のキャラをある程度アピールできてチャンネル登録者数が増えればいい、と割り切ることもできない。
 焦ったあかねは自分に合わない行動を取り、結果トラブルが起きてネットで炎上してしまう。

 いやあ、見事なキャラクター造形だ。
 かなの悩みは芝居の悩みで、あかねの悩みは爪痕を残せない悩みだが、
 これらは多かれ少なかれ、一般人にも通じることでもある。
 一般人も思うように自分を表現できない悩みを抱えているし、
 集団の中で存在感のない自分に悩んでいる。
 かなやあかねの悩みは自分たちの悩みでもあるわけだ。

 さて今後、有馬かなや黒川あかねはどんな物語を紡いでいくのだろう。
 ルビー(CV伊駒ゆりえ)のアイドル活動も気になる。
 有馬かなはルビーとアイドル活動することになったし、あかねもぜひグループに入ってほしい。


※関連動画
 【推しの子】ノンクレジットオープニング|YOASOBI「アイドル」(YouTube)
 ※このオープニングを見るかぎり、MEMちょはグループに入るよね。

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ぼっち・ざ・ろっく!~下北沢のライブハウスで活動する女子高生バンド! すべてが肯定されるやさしい世界

2023年03月15日 | コミック・アニメ・特撮
 アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』を一気に見た♪
 下北沢のライブハウスでバンド活動をおこなう女子高生の物語だ。
 下北沢はよく行くから、僕にとって馴染みの風景。
 下北沢のライブハウスにも行ったことがある。

 主人公は後藤ひとり(青山吉能)。
 通称ぼっちちゃん。
 陰キャでコミュ障で、人といっしょにいると緊張する。
 結果、いつもぼっち。
 人気者になるために3年間ギターを練習しまくった結果、プロ級のギター奏者になり、
「ギターヒーロー」の名で演奏動画をUPした結果、フォロワー3万人を獲得!
 ひとりはネットの世界では超人気者なのだ!
 でも現実世界ではぼっち……。
 そんなひとりが伊地知虹夏(鈴代紗弓)、山田リョウ(水野朔)と共にバンドを始めるが、
 他人との演奏経験がなく、緊張もあって本来の実力を発揮できない。
 最初のライブでは『完熟マンゴー』のダンボールを被って演奏し「ロックだ!」と言われる。笑

 実に魅力的な主人公設定だ。
 前半、視聴者は、ひとりがいつ「ギターヒーロー」の超絶テクニックを披露してくれるのか、ヤキモキする。
 ひとりが「ギターヒーロー」であることをバンド仲間は知らないので、いつバレるのかハラハラする。
 後半は、新宿のライブハウスで活躍するバンド「シク ハック」の酔っ払いベースの廣井きくり(千本木彩花)や路上ライブで知り合ったひとりのファンたちが加わってさらに盛り上がる。
 ちなみに僕は酔っ払いのきくりさん推しです!
 …………………………………………………………

 さて、主人公・後藤ひとりのぼっち具合はこんな感じだ。

・過去の恥ずかしい体験がフラッシュバックして精神崩壊する。
・深夜テンションのまま学校に行って後悔する。
・黒歴史は毎日更新される。
・学校では誰かが話しかけてくれるのを待っている。
・学校では誰も名前を覚えていなくて、「あの~」「おい」と呼ばれる。
・頼まれると断れない。
・学校でもジャージを着ている。
・常に猫背。寝ぐせ。死んだ魚の目をしている。
・上手くジャンプできない。
・ネットだけが自分の居場所。現実からの避難所。
・家族と広告以外のメールは来ない。
・写真も家族写真とクラスの集合写真のみ。
・インスタを始めたら自分は承認欲求モンスターになってしまうと思っている。
・ライブチケットのノルマ5枚を売る時、頭に浮かぶのは父と母と妹と飼い犬。
・ぼっちと一人好きは違う、とわかっている。
・さわやかで向上心のある人がまぶしい。
・明るい人は全員パリピだと思っている。
・海やキャンプなど、青春コンプレックスを刺激する歌は苦手。
・夏休みはいつも家にいる。
・江ノ島でトンビに襲われる。
・家に友達が来る時は「歓迎」の段幕をつくり飾り付けをする。
・家に友達が来る時はシミュレーションをして、ツイスターの練習などをする。
・遊びに来たひとりの友達を家族は「レンタル友達」だと思っている。
・体育祭は忌まわしいイベント。
・「クラスで一致団結」という言葉を聞くと意識が飛ぶ。
・学園祭でメイド喫茶をやることになったが『冥土喫茶』ならやれると思っている。

 以上が主人公・後藤ひとりの生態だが、どんな人でもいくつかは自分に当てはまるはず。
 人間は誰でも多かれ少なかれ「ぼっち」なのだ。
 こんなひとりがバンド仲間と心を通わせていくからドラマが生まれる。
 時折、覚醒して、カッコイイ超絶演奏をするからワクワクする。

 太宰治の『お伽草子』に「浦島さん」という短編小説がある。
 太宰治ヴァージョンの「浦島太郎」だ。
 そこで描かれる竜宮城は「すべてが肯定される世界」だ。
 浦島太郎は「批判のない世界」に幸せを感じて竜宮城に留まる。
『ぼっち・ざ・ろっく!』の世界もこれと同じだ。
 ひとりの言動はすべて肯定される。
 周囲は、ひとりの不器用さや生きにくさを理解していて、
 時に面白がったり、フォローしたり、
 逆に勇気づけられたりして、いっしょに歩んでいく。
 そこはとんでもなくやさしい世界なのだ!

 ギャグとやさしさがいっぱい詰まった『ぼっち・ざ・ろっく!』。
 現実に疲れた時は見てみるのもいいかもしれません。


※関連動画
 「ギターと孤独と蒼い惑星」LIVE at STARRY (YouTube)
 ひとりがついに覚醒する感動のシーン!
 ひとりが覚醒してドラムの虹夏が驚き、ベースのリョウとアイコンタクトを送り会う!
 動画のコメント欄にあったが、
 0:50でリョウがヴォーカルの喜多ちゃんの歌い出しの合図を出している!
 細かい所まで気を配っている、すごい作画だ。

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進撃の巨人 ファイナルシーズン前編~名せりふ、名シーンが続出! ミカサのせりふには号泣してしまう!

2023年03月05日 | コミック・アニメ・特撮
『進撃の巨人 ファイナルシーズン前編』
 名セリフ、名シーンがいっぱいだった。

「ごめん、ごめん、ごめんなさい!」
「遠くに行ったエレンを連れ戻す!」
「エレンとの対話をあきらめない!」
「エレンに何も示せなかった私の無力のせいだ」
「ようやく来たって感じだ、私の番が! 今、最高にカッコつけたい気分なんだ! 私を行かせてくれ」
「心臓を捧げよ」
「ジークは俺が仕留める。力を貸してくれ」
「エレンは俺たちに停めてほしいと思ってるんじゃないのか?」
「憎悪があの巨人を生んだ。われわれが与えた憎悪をあの巨人は返しに来た」
「エレン、あなたの罪を私も背負うから!」

 最後はミカサ(石川由依)のせりふだが、こんな言葉を聞いたら号泣してしまうだろう……!
 ……………………………………………………

 大殺戮「地鳴らし」。
 その罪を背負っていくエレン(梶裕貴)。
 壁の外の世界はアルミン(井上麻里奈)と夢見たような楽園ではなく地獄だった。
 それゆえの憎悪。
 停められない運命。
 自由への渇望(現在のエレンが自由かどうかは疑問だが)。
 憎悪で共感した始祖ユミル(藤田咲)の思い。
 それらがエレンを進撃に駆り立てている。
 罪の意識と孤独でエレンの心と体は壊れそうになっている。
 大地を踏みしめて進撃するたびにエレンの心と体は壊れていく。

 罪を背負っているのはエレンだけではない。
 アルミン、ライナー(細谷数正)、コニー(下野紘)、ハンジ(朴璐美)など、
 全員が何らかの罪を背負っている。
 それゆえ彼らはエレンを理解しているのだが、どんなに呼びかけてもエレンは彼らを拒絶する。

 ここで彼らを受け入れて許されてしまったら、自分の罪は清算されないからだ。
 エレンは殺されたがっている。
 殺されることでのみ自分の罪は清算されると考えている。

 何という孤独だろう。

 僕はすでに原作を読んでいて、ラストがどうなるか知っているが、
 あのシーンを見たら、たぶん号泣する。
 あんなに愛にあふれた瞬間はないからだ。
 あの瞬間、エレンは愛に包まれた。

 だが、これを見られるのは今年の秋らしい。
 当初、このファイナルシーズンが前・後編で1時間ずつと聞いた時、
 なんだ、30分の13本シリーズじゃないんだ、とがっかりしたが、前・後編で正解だった。
 13本のシリーズでは、こんなに凝縮したドラマにならなかった。

 さあて、今年の秋、号泣するぞ!

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チェンソーマン~悪魔が怖れるのは頭のネジがぶっ飛んでるやつだ

2023年02月10日 | コミック・アニメ・特撮
「悪魔が怖れるのは頭のネジがぶっ飛んでるやつだ」

 というわけで頭のネジがぶっ飛んでいるのは、
 チェンソーマン・デンジ(CV戸谷菊之介)と魔人パワーちゃん(CVファイルーズあい)である。

 デンジがデビルハンターとして悪魔と戦う理由は──普通の生活をしたいから。
 家があって、風呂に入れて、ジャムをぬった食パンを食べるため。
 公安対魔特異4課のデビルハンターになって衣食住が足りて来ると──おっぱいを揉むため。笑
 パワーちゃんのおっぱいを揉んで「思ってたのと違う」と思うと、
 今度は上司のマキマさん(CV楠木ともり)のおっぱいを揉むために悪魔と死闘を繰り広げる。笑

 パワーちゃんは魔人なので、面倒くさいことは考えない。
 以前の戦う理由は愛猫のニャーコをコウモリの悪魔から取り戻すためだったが、
 それがかなうと、あとは自由奔放。
 わがままで、虚言癖があって、無責任で、
 都合の悪い事態は責任転嫁して、自分より強い相手には逆らわない。笑(Wikiペディアより)
 そして、こんなことを言う。
「わしはヒマだからノーベル賞を考えておった。
 ノーベル賞を発明すれば人間はわしにひれ伏すじゃろう。
 そのあとはノーベル賞を踏み台にして総理大臣になる。
 手始めに消費税は100%じゃ!」笑

 こんなデンジとパワーに悪魔は戸惑う。

 一方、デビルハンターでありながら比較的マトモなのは、
 早川 アキ(坂田将吾)と姫野(伊瀬茉莉也)である。
 アキは復讐のために戦っている。
 姫野はハードな公安の仕事から降りたい様子。ただアキを守りたいと思っている。
 こんなふたりは頭のネジが完全にゆるんでいない。
 その証拠にふたりは戦いの際に、精神を落ち着かせるためにタバコを吸う。
 悪魔が支配するホテルに閉じ込められた時は事態打開の方法を探る。
 この時、デンジは「こんなふかふかのベッドで寝られるなんて幸せだぜ」と言って熟睡し、
 パワーちゃんは「これはわしのじゃ」と言って限られた食料を後先考えずに食べている。笑

「頭のネジがゆるんでいる者」と「あまりゆるんでいない者」
 当初、観ている僕たちはアキや姫野に共感する。
 アキや姫野をカッコイイと思う。
 だが、物語が進んでくると、視聴者はデンジやパワーちゃんが魅力的に思えて来る。
 実際、僕は、わがままで、無責任で、強い者から逃げるパワーちゃんのファンだ。
「わし」という一人称も、「~じゃ」という語尾も可愛くて、
 やることなすこと目が離せなくなる。

 これは何だろう?
 何ものにも縛られず、思いのままに生きる楽しさ。
 デンジやパワーちゃんに限りない自由や解放を感じるからだろうか?

『チェンソーマン』にはもうひとり特異なキャラがいる。
 公安対魔特異4課のリーダー・マキマさんだ。
 彼女はミステリアスではあるが、普段は組織に生きる常識人だ。
 だが、彼女が悪魔の力を使う時は…………。
 そしてマキマさんのことを知るにつれ、視聴者は彼女に魅せられていく。

・デンジ、パワーちゃん
・アキ、姫野
・マキマ
 この3つの人物造形が『チェンソーマン』を面白くしている。
 計算尽くされた物語構造だと思う。

 後半ではサムライソード、蛇の悪魔と戦うために──
・サメの魔人
・暴力の魔人
・蜘蛛の悪魔
・天使の悪魔
 公安対魔特異課の他の人外も登場!
 天使の悪魔って……!
 これまた自由だなぁ。

 脱常識の楽しさ!
 これが『チェンソーマン』だ。

※関連動画
 KICKBACK『チェンソーマン』オープニングテーマ(YouTube)
 ※やっぱ米津玄師はすごいな……。編曲はKing Gnuの常田大希。
 
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リコリス・リコイル~素晴らしいガン・ファイトシーン! 弾丸が当たれば重く、走れば軽やかに! 

2023年02月08日 | コミック・アニメ・特撮
 アニメ『リコリス・リコイル』。

 ふたりの戦闘少女のバディの話だ。
 ふたりはテロ・犯罪を未然に防ぐ治安維持組織DA(Direct Attack)から弾かれている。

 錦木千束(にしきぎ・ ちさと/CV安済知佳)は人を殺さない。
 装填する弾丸は「非殺傷弾」で、敵に苦痛を与えるが殺害しない。
 そんな千束は暗殺で問題を解決するDAには合わない。
 だから弾かれた。

 井ノ上たきな(CV若山詩音)は自分の判断や銃の腕に絶対的な自信を持っている。
 だから現場で自分が正しいと思えば、独断専行、命令違反をする。
 結果、DAから弾かれた。

 ふたりはそんなはぐれ者がいるDAの下部組織・喫茶リコリコにいる。
 依頼されるさまざまな事件を通して信頼し合い、心を通わせていく。
 千束がなぜ人を殺さないか明らかになり、ふたりは真のバディになっていく。
 ………………………………

 この作品が素晴らしいのはガン・ファイトだ。
 銃を撃った時の反動をしっかり描く。
 弾丸が当たった時の重さをどっしり描く。
 それでいて、走ったり、跳躍したり、かわしたりする時はアニメの誇張をまじえて鮮やかに描く。
 そして、あんなに動きまわっているのに、なぜかパンツが見えない……。笑
 
 裏設定を知ると、ガン・ファイトはさらに面白くなる。
 たとえば千束の非殺傷弾。
・赤く着色したプラスチックの粉末と金属粉末を混合した特殊なフランジブル弾。
 命中時に血煙のような赤い煙が巻き上がる。
 結果、撃たれた者の仲間には、普通の弾丸で仲間が撃たれたように見える。
・銃口を密着させて撃っても相手が死亡することはない。
 だが撃たれた相手は千束曰く「死んだほうがマシ」と感じるほどの痛みに襲われる。
・上記の特徴と引き換えに、非殺傷弾は弾道のブレが非常に大きく有効射程が極端に短くなっている。
 だから千束は自身の身体能力を活かして相手に接近し、確実に命中させている。
 以上、wikiペディアより。
 なるほど~、千束のガン・ファイトにはこんな設定があったのか?

 その他に、この作品には設定がいっぱいだ。
・リコリス(彼岸花)     ~DAの女系暗殺部隊
・リリベル(君影草・すずらん)~DAの男系暗殺部隊
・ホリホリック(花葵)    ~影武者部隊
・八咫烏           ~上記を統括する組織
・高性能AIウォールナット   ~クルミ(CV久野美咲)のコードネームではないらしい。
・高性能AIラジアータ     ~DAの作戦を補佐するAI
・アラン機関
・アランチルドレン

 ファーストシリーズでは、千束とたきなの関係がメインだったので、あまり触れられなかったが、
 もし続編が作られたらこれらが作品をもっと深くしてくれるだろう。

 戦闘シーンの動画はこちら。
 千束の戦闘能力がわかるシーン(YouTube)
 ※途中、千束が階段から落ちる敵を支えるシーンがあるが、打ち所が悪ければ死んでしまうから。

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コミック原作で「進撃の巨人」最終話を読む!~「憎悪」「自由」「愛」という連立方程式をどう解くか?

2022年05月21日 | コミック・アニメ・特撮
『進撃の巨人』
 原作のコミックで最終話まで読んだ。
 何しろアニメは来年(2023年)3月オンエア、それまで待っていられない。

 ネタバレになるので詳しくは書けないが、メインモチーフは「憎しみ」「怒り」だろう。
 アニメ版でオープンになっているエレン(CV梶裕貴)の思考の推移書くと──

・母親を殺された憎しみ→巨人を駆逐する
・巨人とは何かを知る→巨人を生みだした人間や国家への憎悪
・仲間・パラディ島の人間を守る→そのために島の外の人間を駆逐する

・巨人を生み出したもうひとつの存在・始祖ユミルとの共感→憎悪のユミル→ユミルとの共闘

 憎悪から世界の破壊へ。
 これは他のアニメなどでもよくあるモチーフだ。
 これに加えて『進撃の巨人』では「自由」というモチーフが入って来る。
 以下アニメ版ですでに描かれていることだけを語ると──

・自由への意思→壁の外に出たい→壁の外は楽園ではなかった→むしろ悲惨だった→失望
・自分を縛っている血・未来を知る→しかし、これらからは本質的に逃れられない
・エレンが自由になるためにはどうすればいいのか?
・始祖の支配から唯一逃れているアッカーマンという存在~ミカサ(CV石川由依)、リヴァイ(CV神谷浩史)

 そして最後。
「憎悪」「自由」に加えて「愛」というモチーフが入る。
 憎悪と愛は裏返し。
 憎悪に燃えて「地鳴らし」をするエレンの裏には「愛」がある。
 それは親子愛・仲間への愛(友情)・異性への愛(ミカサ)
 ……………………………
「憎悪」「自由」「愛」──
 これらの連立方程式を一気に解くのが『進撃の巨人』の最終回だ。
 とはいえ、これらがすべてきれいに解決する答えなんかあるわけがない。
 ボロボロと抜け落ちていくものがある。
 悲惨もある。
 それは作品の余白・行間になって、見る者、読む者にいろいろ想像させたり、考えさせたりする。
 それが作品を豊かにしている。

 その他のモチーフもある。
・生きる意味、生きるということ、ありふれた日常
・記憶
・争いはなくならない
・生物が脊椎・骨格を持つということ
・世界樹? 北欧神話?

 いろいろな角度から読み解けて実に豊かな作品だ。
 そして原作を読んで、ますますアニメ版への期待が高まった。
 原作コミックのひとコマで描かれている場面はアニメ版でどう描かれるのだろう?
 少しネタばらしすると、ミカサの封印されていた記憶のシーンは泣ける!
 彼らには別の選択肢があったのではないか、と考えてしまう。

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「その着せ替え人形は恋をする」~この作品が素晴らしい5つのポイント!

2022年04月13日 | コミック・アニメ・特撮
 アニメ『その着せ替え人形は恋をする』面白かった!

 主人公は五条新菜(CV石毛翔弥)。
 将来、ひな人形職人の頭師(かしらし)を目指していて、造形物や衣裳に人並み以上のこだわりを持っている。
 内向的で学校では目立たない存在。
 一言で言えば「ひな人形オタク」

 ヒロインは喜多川海夢(CV直田姫奈)。
 明るく軽いノリのリア充なギャル。読者モデルもやっている。
 びえん、アガる、鬼ヤバ、オケマルといったギャル語を日常的に使う子。
 スクール・カーストの頂点にいるような女の子。

 
 ※喜多川さん エピソードが進むにつれてどんどん魅力的になっていく。

 こんな水と油のようなふたりがどうして交流を持つようになったか?
 それは「コスプレ衣装」だった。
 海夢はアニメ・ゲームが大好きで、好きなキャラクターのコスプレをしたくてしょうがなかった。
 でも自分ではコスプレ衣装を上手く作れない。
 そこで白羽の矢が立てられたのが五条新菜。
 五条君はとんでもないこだわりで素晴らしいコスプレ衣装を作っていく。
 ………………………………………

 この作品、『オタクのファンタジー』なんですね。

 内向的なオタクでもスクール・カーストの頂点にいるような女の子と青春できる。

 そんなファンタジーだ。
 それは『島耕作』が『サラリーマンのファンタジー』であるのと同じ。
 島耕作もさまざまな女性と交流を持ち、仕事が充実して、いつの間にか出世している。

 五条君と喜多川さんが交流を持つきっかけになるのが『コスプレ衣装』であるのが面白い。
 オタクは「何かを介さない」と他人と話ができないんですよね。←勝手に決めつけるな!
 五条君の場合は、コスプレ衣装。
 これがなかったら、喜多川さんとの会話は5分と続かなかっただろう。

 喜多川さんがすごくいい子だったというのも面白い。
 フツー、リア充のギャルと言えば底辺やオタクを見下すような所がある。←勝手に決めつけるな!
 でも喜多川さんは違う。
 感情表現が豊かなだけで実はすごくいい子。
 楽しいことは楽しいと言い、すごいことはすごいとストレートに言う。
 で、体の露出に関しては結構オープン←結局そこかいっ!
 今までのオタクと女の子の恋愛アニメだと、女の子がオタクだったり内向的だったりするが、敢えてギャルをヒロインに持って来た所がこの作品の新しい所。
 類似の作品をあげれば「俺妹」や「冴えカノ」だろうか?

 五条君と喜多川さんの恥ずかしさのツボが違うのも面白い。
 五条君はいわゆる思春期の男の子。
 喜多川さんの胸のふくらみや下着姿にドキドキしてしまう。
 でも喜多川さんは気にしない。
 下着は見せ下着だし、採寸などで服を脱ぐ時は時は水着だから。
 そんな喜多川さんだが、カラコンをしていない時などはアタフタして顔を赤らめてしまう。
 このふたりの恥ずかしさのツボの違い!
 実に面白い!

 この作品の面白さは他にもある。
 コスプレの詳細がわかることだ。
 見ていると、コスプレ衣装がどのようなこだわりで作られているかがわかる。
 コスプレイヤーがどのような思いで、キャラを再現しているかがわかる。
 その基本はキャラへの愛だ。
 何か好きなものがあるっていいものですね。
 何かハマるものがあるって楽しいことですね。

 そして主人公の成長。
 喜多川さんとの関わりはオタクだった五条君を変えた。
 花火、お祭り、海、マンガ喫茶、いっしょにホラー映画視聴──五条君は現実の楽しさを知る。
 コス撮影のためにラブホテルに行ったりもする。
 これらの体験が五条君の作るひな人形を変えるのだ。
 人形職人の師匠である、五条君の祖父は五条君の作った人形を見て言う。
「最近、良い表情を描けるようになったな」
 創作には現実体験が必要なんですね。
 現実で見聞きしたこと、感じたこと、考えたことが作品に活きて来る。
『その着せ替え人形は恋をする』は「青春ストーリー」であると同時に「五条君の成長物語」でもあるんですよね。

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進撃の巨人 「懐古」~壮絶な戦い! それぞれの思いがぶつかり合い、悲鳴をあげる……!

2022年03月23日 | コミック・アニメ・特撮
 壮絶な戦いである。
 以下、ネタバレ。

 戦うのはかつての仲間。
「裏切り者! 俺たちは仲間じゃないのか!?」
「お前たちは仲間だよ!」
 できれば血を流したくない。
 しかし──
「誰かがやらなくてはいけないんだよ! 誰かが自分の手を血で染めないと!」

 哀しみと憎しみの中、地鳴らしを阻止しようとするアルミン(CV井上麻里奈)たちは数で圧倒的に劣勢。
 飛行船も爆破される前に確保しなければならない。
 そこへライナー(CV細谷佳正)とアニ(CV嶋村侑)が登場!
 鎧の巨人と女型の巨人の登場だ!

 これで戦況は一気に変わると思いきや、二体の巨人は苦戦する。
 飛行船の整備士、飛行船を運ぶ船を守って戦わなければならないからだ。
 整備士を守って女型の手がぶち切れる。
 鎧のうなじに雷槍が被弾する。
 装甲がほとんどない女型の代わりに鎧が雷槍を顔に受ける。

 

 女型は弱点のうなじを守って戦わなくてはならない。

 

 雷槍の集中砲火を浴びて地面に落ちる女型の頭。
 鎧の巨人もボロボロでもはや動くことができない。
 沈黙する二体の巨人。

 イェーガー派のフロック(CV小野賢章)たちも必死だ。
 地鳴らしを止められたらパラディ島の住人は世界中の憎悪を浴び、報復されて滅ぼされる。
 だからフロックは叫ぶ。
「心臓を捧げよ!」
 しかし、ここにミカサ(CV石川由依)、ジャン(CV谷山紀章)、ハンジ(CV 朴璐美)が来る。
「ためらっていたら地鳴らしは停められない!」
 かつての仲間たちの返り血を浴びてミカサたちも辛そうだ。

 

 一方、劣勢のイェーガー派にも一発逆転の勝機がある。
 汽車に乗った増援部隊が到着すれば数で圧倒できるのだ。
 しかし、その列車は突然、爆破。
 いったい、どうして?
 いったい誰が?

 顎の巨人を継承したファルコ(CV花江夏樹)もいたたまれなくて戦いに参加した。
 すぐれた戦闘能力を見せて、囲まれたミカサたちを窮地から救うが、巨人の力を継承したばかりであり、制御できない。
 結果、暴走して車力の巨人を押し倒し、食いちぎろうとする。
 そんなファルコに触発されてガビ(CV佐倉綾音)も戦いに参加。
 船に雷槍を打ち込もうとするフロックを銃で撃った。

 そして、あの人物が登場!
 元調査兵団団長。団長としての成果は兵士の死のみ。
 自分は特別な存在でないと思い知り、前線を退き、後進の育成に生きる場を移した人物。
 自らを「傍観者」と呼んだ人物。
 キース・シャーディス教官(CV最上嗣生)だ。

 

 そんな彼が傍観者でなくなった。
 増援部隊の列車を爆破したのは彼だった。
 かつての教え子たちの戦う姿を見て立ち上がったシャーディス。
 かくして彼は何かを成し遂げた。

 そして、テオ・マガト(CV斉藤次郎)。
 しんがりとして港に残り、最期にこう語る。
「あの子たちが普通に生きることができたとしたら、どんなによかったか……」
 あの子たちとはガビであり、ファルコであり、ライナー、アニであり、ジーク(CV子安武人)だ。

 
 この回想は泣ける。
 
 何と壮絶で混沌とした戦いだろう。
 さまざまな人物の思いが飛び交い、ぶつかり合い、炸裂した!
 一方でこんな言葉も思い出される。
「人から暴力を奪うことはできないんだよ。ねえ兵長?」
 戦いの果てにあるものは何なのか?

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進撃の巨人~「終末の夜」彼らは自分の罪と向き合い、遺恨を越えてエレンをとめる決意をする!

2022年03月09日 | コミック・アニメ・特撮
『進撃の巨人』第84話「終末の夜」、心ふるえるエピソードだった。
 敵対するマーレ、エルディアの兵士たちが食事をしながら語り合うのだ。
 彼らの一致している目的は「エレンの暴走」「壁の巨人の地鳴らし」「人類の滅亡」を回避すること。

 今の状況に例えると、
「プーチンの暴走」「核戦争による人類の滅亡」をロシアとウクライナの兵が阻止するという感じだろうか?

 マルコ(CV逢坂良太)は死ぬ時に言った。
「俺たちはまだ話し合っていない」

 ジャン(CV谷山紀章)は親友マルコの最期の言葉を知って、
「そうだ。俺たちはまだ話し合っていない。
 だから、どちらかが滅びるまで殺し合うことになったんじゃないのか?」

 ハンジ(CV 朴璐美)はシチューを作りながら言った。
「今からでも遅くないよ。こうして今、私たちは殺し合わずに言葉をかわしている。
 誰が想像できただろうか? 私たちが火を囲んで食事するなんて」
 …………………………………

 このエピソードのすごい所は、各自が過去に自分の犯して来た罪を認め、他者がそれに怒りも憎しみ抱かず受け入れている所だ。
 アルミン(CV井上麻里奈)、ライナー(CV細谷佳正)、アニ(CV嶋村侑)、ピーク(CV沢倉愛美)──彼らは巨人となって戦い、大きな殺戮をおこなって来た。
 ライナーとアニは自分の正体がバレるのを怖れてジャンの親友マルコを殺した。
 ミカサ(CV石川由依)、ジャン、コニー(CV下野紘)、ハンジはマーレでの戦いでたくさんの人を巻き添えにした。
 ガビ(CV佐倉綾音)もサシャ(CV小林ゆう)を殺した。
 普通なら「この野郎!」と怒りや憎しみをぶつけ合う所だが、彼らはそれをしない。
 みんな、罪を犯し、それを背負っているからだ。
 彼らは「自分が罪を犯している」という点で繋がっている。

 何という心穏やかな連帯だろう。
 ミカサ、アルミン、ライナー、アニ、ジャン、コニー、104期生がこうして集うのも圧巻だ。
 あんなに怒りと憎しみのかたまりだったガビも今は別人のよう。
 彼らに「マーレ」と「エルディア」の対立はない。

 今のこういう時だからこそ考えさせられるエピソードだった。
 彼らはエレンを止められるのか?
 考えてみると、今、この場には「超大型巨人」「鎧の巨人」「女型の巨人」「車力の巨人」「顎の巨人」がいるんだよね。
 それにミカサもリヴァイ(CV神谷浩史)もいる。
 すごい戦いになりそうだ。

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進撃の巨人~圧巻の第80話! 壁の巨人は島の外にあるすべての地表を踏み鳴らす!

2022年02月09日 | コミック・アニメ・特撮
「壁の巨人はこの島の外にあるすべての地表を踏み鳴らす。
 そこにある命をすべて踏み鳴らすまで」

 ついにエレン(CV梶裕貴)が始祖の巨人の力を手に入れて「地鳴らし」が始まった。
 ウォール・マリア、ローゼ、シーナの壁が崩れ去り出現する壁の巨人の群れ。
 それを見つめるミカサ(CV石川由依)、アルミン(井上麻里奈)たち、104期生。
 フロック(CV小野賢章)は狼狽し、マーレのレベリオ収容区のエルディアの民は呆然としている。
 ヒストリア(CV三上枝織)も複雑な表情。

 エレンが選んだ道は──
 父グリシャ(CV土田大)が企てた「エルディアの復権」でもなければ、
 兄ジーク(CV子安武人)が構想した「安楽死計画」でもなかった。
 どちらかと言えば、父グリシャに近いものだが、それよりも過激で徹底していて、エレンが望んだのは外の民の完全な駆逐。

 このエレンの考えに始祖ユミル(CV三島千幸)は共鳴したようだ。
 今までユミルはフリッツ王の奴隷で、その意に従っていた。
 道の世界で、土を捏ね巨人(壁の巨人?)を作っていた。
 そんなユミルにエレンは迫る。
「2000年前から待っていたんだろう? 俺がこの世を壊してやる。
 お前は奴隷でも神でも奴隷でもない。ただの人だ。お前が選べ」
 ユミルは世界を壊す道を選んだ。
 ジークに従わず、「不戦の契り」も破棄して、始祖の力をエレンに与えた。
 理由はユミルの中で2000年間燃えたぎっていた憎しみ。
 この世は、そして人間はあまりに愚かで残酷だからだ。
 フリッツ王は3人の娘マリア・ローゼ・シーナに母ユミルの体を喰わせた。

 
 ※憎しみの始祖ユミル。奴隷の呪縛から解き放たれ、目に瞳が

 巨人による人間の駆逐を父グリシャは迷った。
 パラディ島で幸せな家庭を持ってしまったからだ。
 そんな父親にエレンは迫る。
「お前が始めた物語だろう? 決着をつけろ!」
 兄ジークも父親の自分への懺悔を聞いて迷い始めた。消えていく父への憎しみ。
 それに、もともとジークは「安楽死計画」で、比較的穏やかな歴史の決着を試みようとした男だ。
 そんな父や兄とは違って、エレンは破壊の道を突き進む。
 ………………………………………

 圧巻の展開でしたね。
 ユミルの物語は壮絶で、グリシャの物語は憐れで哀しかった。
 始祖の力を得る資格は、王家の血ではなく、ユミルとの共鳴だった。
 というよりユミルが自分を縛っていた王家の血を否定した。

 エレンは戴冠式でヒストリアの手にキスをした瞬間、未来が見えたらしい。
 彼はどこまで未来が見えているのだろう?
 エレンが見た未来の風景はどんなものだったのだろう?

 第1話のサブタイトルは「二千年後の君へ」
 第80話のサブタイトルは「二千年前の君から」
 アニメ80話を経て、ついに第1話のタイトルの伏線が繋がった。

 壮大な構想の物語である。
 あまりに圧巻で言葉が出ない。
 さて、エレンが選んだ道の先にあるものは?

 
コメント (2)
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