平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

鎌倉殿の13人 第15回「足固めの儀式」~これすべて鎌倉殿の大願成就と東国の太平のため

2022年04月18日 | 大河ドラマ・時代劇
『これから三年のうちにやるべきこと。
 明神様のために田んぼを作る。社も作る。流鏑馬を幾度もやる。
 これすべて鎌倉殿の大願成就と東国の太平のため』

 

 文字を満足に書けない上総介広常(佐藤浩市)が机ではなく、この姿勢で書くから伝わるんですね。
 これは上総介の嘘偽りのない魂の叫び。
 しかし、他人にはそれがわからない。
 外面ばかり見てしまう。

 頼朝(大泉洋)の上総介の認識は「いずれ何とかしなければならない男」。
 兵力や所領など、大きな力を持っているのだから頼朝が怖れるのは当然だ。
 いつ気が変わって歯向って来るかもしれない。
 大江広元(栗原英雄)いはく、「最も頼りになる者が最も怖ろしい」

 その前夜、上総介は頼朝にこんなことを言っていたのになあ……。
「お前は自分勝手な男だ。だが、おのれの道を行け。
 御家人が騒ぎ出したら俺が何とかしてやるよ」
 だが、頼朝の頭に残っていたのは「御家人は駒だ」ということだけだった。

 頼朝の「闇落ち」は早かった。
 権謀術数、脅威になる者は排除する。
 これが都風ということなのだろうか?
 義経(菅田将暉)も今回『淀んだ鎌倉』って言ってたなあ。
 一方、板東武者たちは無骨で素朴過ぎる。
 父・時政(坂東彌十郎)はこれを敏感に察して所領の伊豆へ。
 父上、無意識にやってるんだろうけど、なかなか賢明だ。
 梶原景時(中村獅童)は葛藤している。
 さすがに上総介殺害には抵抗があったようで、決行するか否かは、サイコロの目で決めた。

 そして義時(小栗旬)。
 彼もまた葛藤している。
 上総介が脅威になり得ること、上総介殺害は御家人たちへの見せしめになることは理解している。
 これで頼朝の板東での『足固め』は完了するかもしれない。
 しかし……。
『新撰組』の土方歳三、『真田丸』の真田幸村──
 彼らは権力を持たない人物であったから「純粋」でいられた。
 だが、北条義時は──
 権力維持のために、時には手を血で染めなくてはならないことを、今回理解したのであろう。

 上総介の死は理不尽で悲惨だった。
 上総介は最期に頼朝のことを『武衛』でなく『鎌倉殿』と呼んだ。
 あのすがるような顔は義時や頼朝の心に焼き付いたことだろう。
 それが人の心を蝕んでいく。
 頼朝は恐怖政治と所領の分配で鎌倉を経営していくのかな?
 そこには信頼や心の交流はない。
 そして義時。
 もはや『純粋』ではいられない。
 生まれた子供の存在が闇落ちを妨げるのかもしれない。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする