おいぬとて などかわがみを せめきけむ おいずはけふに あはましものか
老いぬとて などかわが身を せみきけむ 老いずは今日に あはましものか
藤原敏行
老いてしまったといって、どうしてわが身を責めたりしたのだろうか。もし老いていなかったら、今日という素晴らしい日にめぐりあえなかったであろうに。
清涼殿の殿上の間で殿上人たちに御酒を賜り、管弦の催しがあった際に詠んだ歌との詞書がついています。素晴らしいひと時を過ごした作者が、こんな日を迎えられたのも老いたからこそと詠んだという訳ですが、わが身の老いを嘆く気持ちの裏返しというところでしょうか。
0888 あたりから続いた老いを嘆く歌、ひとまずここでおしまいです。