一気に読みました。サマセット・モームの傑作です。
先日名古屋でゴーギャン展を見た際に何故かたまたまこの本のことを思い出し、中学生の頃から名前は知っていても読んだことがなかったこの本を、Amazonで注文したのが5/15。届いたのが5/16で、その後2回の土日の深夜、久々に夜なべして読んでしまいました。
ここで本のあらすじを紹介するような無粋なことはやめますが、何と言うのでしょう、複雑ですがすっきりした読後感です。画家ゴーギャンの生涯がモデルになっていますが、これは単なる伝記小説ではありません。
そこには美しいもの、純粋なものを追い求める人間の姿が描かれています。その一方で、同時に、エゴと情欲に満ちた人間心理が、鋭くシニカルな筆致で書かれています。これは私が男性だからそう感じることかも知れませんが、女性の方がこの本を読むと、モームという人は随分と偏見に満ちた、女性に対してはちょっぴり失礼な男だという印象を与えてしまうかも知れません。
例えば、主人公の画家は齢四十にして妻子を捨て、パリへ出て画家の道を歩み始めるのですが、その彼の口を借りてモームは皮肉たっぷり、こんなことを言っています。
'Love. It's always love. They think a man leaves them only because he wants others.'
その後画家はパリで知り合った友人の妻を寝取ってしまうのですが、その女性をもこんな風に切って捨てます。
'She wanted to bring me down to her level; she cared nothing for me, she only wanted me to be hers. She was willing to do everything in the world for me except the one thing I wanted: to leave me alone.'
思わずくすっと笑ってしまうのは、私がこの主人公の歳に近いオヤヂだからということもあるでしょう。これを中学生の時に読んでも、恐らく理解出来なかったに違いありません。
モームがこのように女性を皮肉るのは、後に登場するもっと純粋な、高潔なLoveを際立たせるためですが、それは実際にお読み頂いて味わって頂くことにしましょう。ともかくこの本を読み終わって印象に残ることは、美を追求した画家の壮絶な生涯よりも、やや口幅ったい言い方ながら、「人間は何を求めて生きるのか」というこの1点。
この本を、今この年齢で読んだことをある意味幸運に思います。
W. Somerset Maugham,
The Moon and Sixpence
(Penguin Classics)
それに海外ものの棚が見当たりません
アマゾンという手がありましたね…
昨日やっと都会?に出て文庫本購入しました(勿論日本語)
感想拝見し読むのが楽しみです
明日も雨模様
晴耕雨読ですね(^-^)ノ~~
晴れても耕してないけど…
あいにく置いてありませんでした。こういう名作物は人気がないのでしょうかね?
ともあれ、この本はとても面白かったです。
久しぶりに夜が明けて外が明るくなるまで読みました。
女性の方がこの話をどのようにお感じになるか、ちょっと興味あります。
良かったらまた感想を聞かせて下さい
夜になっても鳴いているホトトギスの声を聞きながら、何と書こうか考えていたのですが…
魚花さんの危惧されたように女性には分かりずらいかも、男は最高みたいな感じがしますものね
実際の晩年は13歳ぐらいの女性と一緒だったんですよね…
天才かロリコンか
しかし、ゴーギャンの絵を彷彿させる描写や登場人物の魅力で一気に読ませる文章は流石 文豪です
ちょっと 疲れたので 今は森絵都を読んでいます
私もやはりちょっと目線が男性寄りのように感じました。
ただ、純粋なもの、原始的なものに惹かれる男の欲望みたいなものはよく書けているいると思います。
私のような凡人には分からない、芸術家だから許される世界なんですかね・・・(笑)
私もちょっと疲れたので、今は土曜サスペンス的でどんどん読めるミステリーを読んでいます。