ニコラス・ブレイクの The Beast Must Die(1938年)読了(邦題『野獣死すべし』)。
最愛の息子をひき逃げ事故で失ったフィリクス・レイン。警察の捜査もむなしく犯人は見つからず、やがて自分で犯人を捜して復讐することを誓う。
彼は推理小説家である。犯人の心理を逆に辿って推論を進め、ついに犯人の居場所を突き止める。言葉巧みに犯人の家族に入り込むフィリクス。彼の復讐の首尾はいかに・・・
アイルランド出身の桂冠詩人、セシル・デイ・ルイスが別名義で発表した推理小説(因みに同じタイトルの邦画とは全く別物)。
至るところに古典からの引用があったり、このタイトルも最後の最後に出典が明らかにされるのだが、だからと言って堅苦しくなく非常に読みやすいのは、言葉選びの妙だろう。入れ子のように張り巡らされたプロットも実に巧み。決して楽しく明るい話ではないのだが、哀しいながらも美しい、そんな本。
Nicholas Blake,
The Beast Must Die
(Kindle)
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