上野の東京都美術館で開かれているボルゲーゼ美術館展に行ってきました。
ボルゲーゼ家というのはイタリアの名門貴族で、その絵画コレクションはヨーロッパでも屈指のプライベートコレクションだとか。そんなことよりも何よりも、駅のホームに貼られたポスター、ラファエロの1枚。これだけを観るためと言えば言い過ぎですが、それくらい楽しみにしていた美術展です。
東京都美術館は金曜日の夜間延長がないので、さる土曜日の朝、気合を入れて開門と同時に行ってきました。小雪がちらつく寒い朝でしたが、美術館に近づくにつれ、見えてくる長蛇の列。よく見ると、ほとんどが制服を着た女子高生です。
これは学校行事の一環でラファエロを観に来た集団かぁ・・・東京の学生さんはいいなぁ・・・などと思いつつ、開門と同時に入口の階段を下りて行きます。
すると、どうやら色々な会場で色々な展示をやっているらしく、件の女子高生の集団はそのうちのどこかの会場に入って行ってしまいました。改めて、ボルゲーゼ美術展の方へ行ってみると、何と、ほとんど人が居ません。
私はとにかく観たい絵が決まっていたので、まずは他をすっ飛ばしてその絵の前へ。
(サンドロ・ボッティチェリとその弟子たち「聖母子、洗礼者ヨハネと天使」1488年頃)
油絵具とは違う、テンペラという画材で描かれた絵ですが、その透き通るような色彩は、とてもそれが500年以上前に描かれたものとは思えません。ちょうど高階先生の著作で勉強したばかりだったので、聖母マリアが赤い上衣に青いマントを来ていること、聖ヨハネが十字の付いた杖を持っていること、等、確かにその通りになっているなぁと妙に感心。そして何よりもその鮮やかな色彩は、月並みですが本当に心を洗われるような透明感。キリスト教徒でなくとも思わず頭を下げたくなる、そんな神々しい雰囲気に包まれていました。
そして次の1枚がこちら。
(ラファエロ・サンツィオ「一角獣を抱く貴婦人」1506年頃)
堅牢な構図、精緻な描写。額の境目にある巻き髪など、ふんわりとしてとても柔らかそうです。画面の両端に大きな柱を据え、モナリザそっくりのそのポーズ。イタリア・ルネサンスの煌めきを感じます。日本に居ながらにしてこの絵に出会えたことを、とても幸せに感じます。
そして、お目当ての最後はこちら。
(カラヴァッジョ「洗礼者ヨハネ」1609-10年)
バロック絵画の巨匠、カラヴァッジョ最晩年の傑作です。物憂げでけだるそうな眼差し。画面左から差す光の劇的な効果。そして、その光に浮き上がる肌の質感と、マントの襞の鮮やかさ。ラファエロの静的な美しさとはまた異なる、深い洞察に満ちた眼差しを感じます。
開館と同時に入場し、ともかく混みだす前にこの3つの絵をじっくり観たかったので、このカラヴァッジョの前に来た時はまさに一番乗り。そして、次の人が観に来るまで、多分15分か20分ほど、この絵の前で一人で立っていました。何がそうさせたかと問われればそれに正確に答えるのは難しいのですが、そんな時間を計るのが無意味なくらい、絵そのものを呼吸していたような気がします。まさに至福の時。
何階にも分かれた展示会場を2度、3度と往復するうち、だんだんと人が増えてきて、絵を呼吸するどころではなくなってきました。早起きは三文の得と言いますが、やはり上野の美術館は(特に土日は)朝一番に行くのが良いようです。
ボルゲーゼ美術館展
東京都美術館
2010年1月16日~4月4日
ボルゲーゼ家というのはイタリアの名門貴族で、その絵画コレクションはヨーロッパでも屈指のプライベートコレクションだとか。そんなことよりも何よりも、駅のホームに貼られたポスター、ラファエロの1枚。これだけを観るためと言えば言い過ぎですが、それくらい楽しみにしていた美術展です。
東京都美術館は金曜日の夜間延長がないので、さる土曜日の朝、気合を入れて開門と同時に行ってきました。小雪がちらつく寒い朝でしたが、美術館に近づくにつれ、見えてくる長蛇の列。よく見ると、ほとんどが制服を着た女子高生です。
これは学校行事の一環でラファエロを観に来た集団かぁ・・・東京の学生さんはいいなぁ・・・などと思いつつ、開門と同時に入口の階段を下りて行きます。
すると、どうやら色々な会場で色々な展示をやっているらしく、件の女子高生の集団はそのうちのどこかの会場に入って行ってしまいました。改めて、ボルゲーゼ美術展の方へ行ってみると、何と、ほとんど人が居ません。
私はとにかく観たい絵が決まっていたので、まずは他をすっ飛ばしてその絵の前へ。
(サンドロ・ボッティチェリとその弟子たち「聖母子、洗礼者ヨハネと天使」1488年頃)
油絵具とは違う、テンペラという画材で描かれた絵ですが、その透き通るような色彩は、とてもそれが500年以上前に描かれたものとは思えません。ちょうど高階先生の著作で勉強したばかりだったので、聖母マリアが赤い上衣に青いマントを来ていること、聖ヨハネが十字の付いた杖を持っていること、等、確かにその通りになっているなぁと妙に感心。そして何よりもその鮮やかな色彩は、月並みですが本当に心を洗われるような透明感。キリスト教徒でなくとも思わず頭を下げたくなる、そんな神々しい雰囲気に包まれていました。
そして次の1枚がこちら。
(ラファエロ・サンツィオ「一角獣を抱く貴婦人」1506年頃)
堅牢な構図、精緻な描写。額の境目にある巻き髪など、ふんわりとしてとても柔らかそうです。画面の両端に大きな柱を据え、モナリザそっくりのそのポーズ。イタリア・ルネサンスの煌めきを感じます。日本に居ながらにしてこの絵に出会えたことを、とても幸せに感じます。
そして、お目当ての最後はこちら。
(カラヴァッジョ「洗礼者ヨハネ」1609-10年)
バロック絵画の巨匠、カラヴァッジョ最晩年の傑作です。物憂げでけだるそうな眼差し。画面左から差す光の劇的な効果。そして、その光に浮き上がる肌の質感と、マントの襞の鮮やかさ。ラファエロの静的な美しさとはまた異なる、深い洞察に満ちた眼差しを感じます。
開館と同時に入場し、ともかく混みだす前にこの3つの絵をじっくり観たかったので、このカラヴァッジョの前に来た時はまさに一番乗り。そして、次の人が観に来るまで、多分15分か20分ほど、この絵の前で一人で立っていました。何がそうさせたかと問われればそれに正確に答えるのは難しいのですが、そんな時間を計るのが無意味なくらい、絵そのものを呼吸していたような気がします。まさに至福の時。
何階にも分かれた展示会場を2度、3度と往復するうち、だんだんと人が増えてきて、絵を呼吸するどころではなくなってきました。早起きは三文の得と言いますが、やはり上野の美術館は(特に土日は)朝一番に行くのが良いようです。
ボルゲーゼ美術館展
東京都美術館
2010年1月16日~4月4日
昨日、3巨匠ご到着でした。
ラファエロはハ展より透明感があり
そうですネ。
スゴイです。
ボッティチェリは更に透明感がありそう
ですネ。
なんとオマケがカラヴァッジョ
楽しい気分を持続させつつ推理小説を
読むことにいたします。
文泉
ちょっとぼんやりした感じでしたよね。
こちらはモナリザを思わせる、端正で優美な女性像。
色々と修復されたりとか経緯はあったようですが、
そんなことは関係なく、圧倒的な存在感。
ボッティチェリ、カラバッジョ、言うまでもなく
凄いものが並んでいました。
どれも、ずっと観ていると心の奥を掴まれた感じ。
人も少なく、ゆったりじっくり絵と向き合うことが出来ましたし、
今でもまだ余韻に浸っている感じがします。