乃木坂の国立新美術館で開催中の「ワシントン ナショナル・ギャラリー展」に行ってきました。
パンフレットにも「これを見ずに、印象派は語れない。」とありますが、まさにその言葉にふさわしい、圧巻の展示でした。
印象派を中心に、その少し前のコローやクールベ、ドービニーから展示が始まり、まずはマネの作品群で一驚。
(エドゥアール・マネ「オペラ座の仮面舞踏会」油彩/カンヴァス、1873年)
誰にも描けない、マネの黒。昨年三菱一号館美術館で開かれたマネ展でも、個人的に最も惹かれたのはこの黒でした。
その後、印象派の画家たちの作品が並ぶのですが、そこはちょっとパスして、最後の展示室でへたり込みそうになったのが6点並ぶセザンヌ。
(ポール・セザンヌ「『レヴェヌマン』紙を読む画家の父」油彩/カンヴァス、1866年)
どこをどう見ても、歪んでます。一体どこを正面として向き合えば良いのか、いくら眺めていてもさっぱり分かりません。けれど、だからと言ってここから動かしようのない、堅牢なその構図。見たままに絵を描く世界から、さらにその先へ突き抜けようとしている瞬間がここにあります。セザンヌはこの時まだ27歳。
(ポール・セザンヌ「水辺にて」油彩/カンヴァス、1890年頃)
50歳を過ぎた頃の作品です。それは写実と言うよりもむしろ、光の煌めきを画布にプロットしたような感じ。まるで水彩画のようなその筆致は、観ていて飽きることがありませんでした。
展示のラストを飾るのはゴーギャンとゴッホ。特にゴッホは、自身最後の自画像が来ていたのですが、私はそれよりもむしろその隣にあったこの絵の方が印象に残りました。
(フィンセント・ファン・ゴッホ「薔薇」油彩/カンヴァス、1890年)
少し言い方が変ですが、ゴッホにしては非常に穏やかな、何とも言えず清々しい絵です。勿論、そのうねるような筆致は顕在、けれど意外なほど透明感があって、恨みに満ちたようなところが少しも感じられません。これは全く個人的な感想ではありますが、そうとしか表現できないような平穏な空気が伝わってくるようでした。
さて、今回の個人的なベストはこちら。
(エドゥアール・マネ「道化役者」カラーリトグラフ/白の網目紙(第2版)、1874年)
今回は油彩とともに「紙の上の印象派」と銘打って、紙の上に描かれた作品がたくさん来ていたのですが、その中のこのマネのリトグラフには、文字通り度肝を抜かれました。
片方の足を軸にして、もう一方の足を軽く前に出したその軽やかさ。けれど、明らかに重力が下に向いていると感じざるを得ない、自然の安定感。その構図とバランスがあまりにも完璧で、道化役者の他のポーズが考えらないほど。しかも、100年以上も前に刷られたとは思えないほどその色彩は鮮やかです。
(クリックすると大きくなります。)
こうした作品は、作品の保護のためもあって普段はなかなかお目にかかれるものではないと思うのですが、全く下調べや予備知識なしにこの作品に出会えたことが本当に幸せでした。
展示は9月5日まで。出来ればもう1回は行きたいと思っています。
ワシントン ナショナル・ギャラリー展
国立新美術館
2011年6月8日~9月5日
私はこれから台風から逃げるように
ちょっくら高飛びしてきます
乃木坂の国立新美術館は、このところ
会期終盤に行ってひどい目に遭っていたのですが、
この日の金曜日の夜はとても空いていて、
ゆったりと存分に楽しめました。
軽井沢は私もひと頃よく通いましたが、
だんだんと人が多くなって、足が遠退いてしまいました。
セゾン美術館、機会があれば行ってみます。
面白かったです。
会期終盤になると激混み間違いなしなので、
早めにもう1回行きたいと思っています。
あとはド定番ですが
モネの日傘の女性
本物が見れたってのは人生の宝です
俺ももう一回行っちゃおうかなぁ・・・
モネの日傘の絵は、背景の雲がめちゃくちゃ明るくて驚きました。
混んでなさそうな金曜日の夜を狙って、
もう1回行きたいと思ってます。