三菱一号館美術館で開催中の「ルドンとその周辺-夢見る世紀末」展に行ってきました。
今回の展示は、三菱一号館美術館が新たに収蔵したルドンのパステル画の大作『グラン・ブーケ(大きな花束)』のお披露目。それにあわせて、国内では屈指のコレクションを誇る岐阜県美術館からルドンの作品が来ています。
ルドンの画業はまず版画から。それも、白と黒を使った、というよりも、黒を中心に描いた、幻想的な作品の数々。
(オディロン・ルドン『ゴヤ頌-II.沼の花、哀しげな人間の顔』1885年、リトグラフ、紙)
これが好きと言う人と嫌いと言う人ははっきり分かれると思いますが、私個人としてはこの深みのある黒、圧倒的に雄弁なルドンのこの黒は、初めて観た時からずっと大好きです。
(オディロン・ルドン『神秘的な対話』1896年頃、油彩、画布)
勿論油彩もあります。時代的には印象派の後期、もしくはポスト印象派の時代。今回の展示の副題にもありますが、世紀末、象徴主義と言った新たな美意識が反映されています。
(オディロン・ルドン『青い花瓶の花々』1904年頃、パステル、紙)
以前も書いたことがあったかもしれませんが、私は花の絵ではルドンが一番好きです。例えばゴッホのように生命感に溢れていると感じではありませんが、その艶やかで脆い、パステルで描かれた消え入りそうな淡い花が、とても美しいと感じます。
そういう意味もあって、今回三菱一号館にこの作品が収蔵されたことは本当に嬉しいです。
(オディロン・ルドン『グラン・ブーケ(大きな花束)』1901年、パステル、画布、248.3×162.9cm)
この画像ではひとつ上の作品よりも大きく見えてしまっていますが、実際は展示室の壁の一面を堂々と占拠してしまうくらいの大作です。
(クリックすると大きくなります)
その小さな展示室にはこの1点だけが展示され、照明も恐らく絵の横からだけ照らしているのだと思いますが、他の展示に比べても圧倒的に明るく見えました。展示室の隅には小さなベンチが置いてあり、そこに腰かけて見上げていると、時間を忘れてしまいそうでした。
もともとはさる貴族の城館を飾っていた16点のうち、油彩の15点がオルセー美術館に収蔵された後もこのパステル画だけはずっと城館に残されたままだったとのこと。それが100年以上も経ってこの丸の内にやって来て会えるとは、何とも幸運なことです。
作品保護のためもあって、今後も展示期間が制限されるようです。会期中にもう一度くらいは行きたいと思います。
ルドンとその周辺-夢見る世紀末
三菱一号館美術館
2012年1月17日~3月4日
その次に高山や野の花、
その次は朋がハマッているバラ。
絵画の花は無縁でしたが、
グランブーケを拡大したところ、
ルドンに対する感覚と言うか評価が
変化しました。
ブーケそのものより、
ブーケがまさにグランに表現されたことに
由るものかも?
しかし、おかげさまで、視野は確実に拡大しました。
平野
・・・ちょっと主旨が違いますかね(笑)
グラン・ブーケ、そしてロートレック@M一号館。
そして勿論、セザンヌ、マネ、ピカソ、階段にマイヨール@ブリ美。
東下りへと重い腰を上げるには十分ではないですか!
お泊りは竿とリールと本とピアノの隙間、秘蔵のテキーラを飲みながら。
お待ちしておりますので、いつでもどうぞ