丸の内の三菱一号館美術館で開催中のロートレック展に行ってきました。
この美術館の開館当初からそのロートレックのコレクションはまさに鳴り物入りで、いよいよ今回がそのお披露目。噂にたがわぬ素晴らしいコレクションでした。
平日の夜間開館、20時まで開いているのはとても有難いことですが、展示作品のあまりの多さに、とても1回で見きれるものではありません。それでも、36歳という短い生涯を駆け抜けたロートレックが、そこのポスターの陰からそっと微笑んでいるような、そんな感じさえする、まさに美術館全体がロートレック一色で彩られている感じでした。
(ロートレック「ジャヌ・アヴリル(ジャルダン・ド・パリ)」1893年、リトグラフ)
(ロートレック「可愛い使い走り」1893年、リトグラフ)
これは全く個人的な感想ですが、これまでロートレックは「線」と「面」の画家だと思ってきました。それは正確なデッサン力に支えられた、無駄のない線。それから、その線によって区切られる面の、何とも雄弁なこと。
そして、遠近法という伝統的な奥行き感とは全く異なる、平面的、閉鎖的な空間。それは、私たち日本人にはいくらか馴染みのある、歌舞伎の舞台や、それからこれも言い尽くされていることではありますが、浮世絵の画面構成を思い浮かべます。
ただそれだけではなく、ロートレックは実は「色彩」の画家でもあったことに、今回改めて気付かされました。
特に今回の展示は、元々がロートレックに非常に近い親友のコレクションだったことからその保存状態が非常に良く、恐らく印刷された当時の発色がよく残っているということ。加えてこのコレクションには、完成したポスターだけでなく完成品とは異なる色を使った試し刷りなども含まれていて、そこにロートレックの飽くなき探求が感じられました。
他には、描かれた対象が圧倒的に女性であるということ。時にはあまりにも正確すぎ、というか内面まで見透かされるようで、描かれた方が怒ってしまうこともあったようですが、その正確さは冷徹と言うよりもむし愛情、友情、同情のような温か味のある目線だったのだと思います。
(ロートレック「マルセル・ランデール嬢、胸像」1895年、リトグラフ)
こちらはロートレックのポスターに何度も登場した(1枚目に描かれたのもそうです)ジャヌ・アヴリルが、ロートレックに最後に注文したポスター。服のグラデーションが、何だかゾクゾクします。
(ロートレック「ジャヌ・アヴリル」1899年、リトグラフ)
会期は12月25日まで。これから会期末が近づくにつれて混み合うことは必至なので、どこかで早めにもう一度行きたいと思っています。
トゥールーズ=ロートレック展
三菱一号館美術館
2011年10月13日~12月25日
リトのみの展示?
それともオリジナルも?
オリジナルとリトとの色彩の差が
あるようでしたらお知らせ下さい。
文泉
リトグラフにばかり目が行ってしまいました。
試し刷りと最終版と並べたあったのは気付いたのですが、
リトグラフの原画があったかは・・・
あったような気がするのですがちょっと判然しません。
間違いなくもう一度行くので、今度はきちんと
観てきます。すみません。