レックス・スタウトの Fer-de-Lance(1934年)読了(邦題『毒蛇』)。
ニューヨークの私立探偵ネロ・ウルフのもとを一人の女性が訪れ、行方不明の兄を探して欲しいと言う。唯一の手掛かりは新聞の切り抜きで、どうやらそれは、郊外のゴルフ場で亡くなった大学総長と関係がありそうなのだが、やがて事件は意外な展開を見せ始める・・・
体重は140キロ、1日に飲むビールの量は5リットル、お抱えの料理人を雇い、外出嫌いの美食家。来客があってもめったに椅子から立ち上がらず、助手や部下たちを四方に放ち、自らは椅子に座ったままで推理する。
このネロ・ウルフと、助手なのだが言いたいことを遠慮なく言うアーチーの掛け合いが絶妙で面白い。ウルフも毒舌だがアーチーの皮肉も決して負けておらず、言い返すのが面倒になるとウルフは決まって "Confound it."(言い方は古風だが、今どきの日本語だと「うぜー」)と吐き捨てる。
ネロ・ウルフがあまりに個性的なので好き嫌いは分かれそうだが、よく練られたプロットは言うに及ばず、法を破るスレスレを行くところや緩急自在のスピード感は、アメリカのミステリーの王道。このシリーズ、もう少し続けます。
Rex Stout,
Fer-de-Lance
(Kindle)
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