藤沢周平 『暗殺の年輪』(1973年) 読了。
これまでもう何度読み返したか分からない、藤沢周平初期の作品集。
所収5作のうち初めて読んだのが『ただ一撃』で、彫琢の跡を残さぬ、けれど仕上がりとして全く自然で無駄のない文体に、心底驚いたのを覚えている。
何でも漢字を使えば良いという訳ではないとか、流れを切りたいところ、ひと息で読ませたいところを考えて句読点を打つとか、読み返すたび、凄みの効いたその文章に気付かされることが多い。
いずれも決して明るい話ではないのだが、5作ともにそれぞれじんわりとした味わいがあって、しばらくするとまた頁を繰りたくなるのだろう、そんな本。
藤沢周平『暗殺の年輪』(文春文庫)
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