この小出刃を買ったのは2年前の夏。
それ以来、釣りに行って魚を下ろすたびに必ず使っていますが、今シーズンもカワハギが終わったところで、一度徹底的に磨くことにしました。
使い慣れてくるにつれ自分の指先のように動くようになってきましたが、やはり研ぎをおろそかにすると良くないですね。このところ刃が自由に動くというよりも、少し力を入れる感じで持たないといけなくなっていたのですが、要するに刃がナマクラになっていたのだと思います。
刃先としのぎの中間くらいのところに少し霞みが掛かったようになっていたのも、恐らく錆だったのでしょう、時間は掛かりましたが何とか落とすことが出来ました。
以下は私自身の備忘のために書くのですが、そもそもこれまで私が刃物の研ぎ方をよく分かっていなかっただけかも知れず、その場合は誠にお恥ずかしい限りです。
この小出刃を研ぐ際、私はこのところずっと仕上げ用の砥石(#3000)だけを使っていますが、今回初めて真っ黒のトクソ(私は子供の頃からこう聞いていたのでこの言葉を使うのに違和感はないのですが、要するに「研ぎ汁」のこと)がかなり大量に出ました。
砥石自体は白っぽい、乳白色のような色をしているのですが、これまでは研いでいても透明な水が少し濁って黒い微粉が混じる程度(勿論、砥石には必要最小限しか水は掛けていません)だったのですが、それでもちゃんと刃は付いていました。と同時に、やけに砥石の表面が筋状に汚れて黒くなるので、刃の面がうまく当たっていないのか、砥石の表面が凸凹なのか、一体何だろうと疑問に思っていました。
今回も途中までは相変わらず砥石の表面に黒い筋がつくなぁと思いつつ、時々力加減を誤って峰の部分が砥石に食い込んで段差が出来たり、ともかく毎度のことながら散々な状況でした。ところがある瞬間を境に、それまで色が薄かったトクソが一気に真っ黒になりました。それも、この包丁の銀色と、砥石の乳白色の、どこがどう混じったらこんなに黒くなるの!というくらい、ドロドロで真っ黒です。(小学校の工作の時間で木工をやった際、トノコを塗って磨く作業をしましたが、あのトノコを思い出しました。後で考えてみると、トノコは「砥の粉」だから、恐らく同じものですね。)
出刃をまだ5寸のもの1本しか持っていなかった頃は粗砥石1本で研いでいましたが、その時もこれほど真っ黒かつ大量のトクソが出た覚えがありません。ひょっとしたら粗砥石と仕上げ砥石では、材質や粗度・硬度の関係で、トクソの出方が違うのかも知れません。(因みにどちらの砥石も普通にホームセンターで売っている安いやつです。)
今回、残念ながら手が汚れていたので写真は撮れなかったのですが、不思議なことに逆にこの真っ黒のトクソのおかげで包丁の刃と砥石が妙に密着するような感覚に陥りました。そのままこの真っ黒のトクソにまみれて研ぎを続けましたが、終わってみると不思議なことに、あれほど黒い筋が目立っていた砥石の表面が、つるつるの乳白色に戻っています。峰が突っ込んで出来ていた段差もいつの間にかなくなっています。
(この写真ではまだ何本か黒い筋が残ってますが、研ぎ始めはもっとたくさん筋がありました。)
今回の真っ黒なトクソが、きちんと刃と砥石が当たって出た正しいトクソなのか、砥石の表面の汚れが落ちただけのものなのか、私にはよく分かりません。研ぎ上がりの刃を触ってみるといつもの通り刃は付いていますが、今までの研ぎ方が不十分で今回初めて正しく研げたのであれば、きっと切れ味の持ちが違うはず(=今までよりも持ちが良いはず)と、勝手に想像しています。
検証出来るのは次に釣りに行った後ですが、自分でもまだ何だか不思議な気分です。
それにしても、これが本当の研ぎというものなら、今まで自分がやっていたのは一体・・・?
無心になれて楽しい作業ですけど(笑)
砥石にスジが付くってことは刃こぼれとか、カケがあったのかな?
それが無くならなかったから、面が出ないのでうまく研げなかったとか?
そうそう、私が研ぐ時は真っ黒な研ぎ汁が出ますが、
これが出ないと上手く研げないと図書館で借りた『包丁と砥石』で読んだような気がします。
なかなか評判の良い本のようですよ(笑)
砥クソが沢山出ると、ピシューって研げますよね
産刃よりも刃がやや薄くなった分、めくれやすくもなりますから、裏刃に軽く角度を付けると持ちが良くなりますよ
不思議とどこも欠けたりはしていないのです。
ただ何となく、面が合っていないのかなぁという気もしているので、
この週末、面直しを買ってこようと思っています。
柴田書店の『包丁と砥石』はこれまで立ち読みでしか読んだことがないのですが、
なるほど、やはりうまく研げたから黒い研ぎ汁が出たんですかね・・・
もうちょっと研究してみます。
私も、無心になれるから、包丁を研ぐのは大好きです
真っ黒のトクソが出た時は、何というか砥石との密着感があって、確かに勝手に包丁が滑る感じでした。
これまでは怖くてあまり裏押しはしていなかったのですが、
参考にさせて頂きます。アドバイスありがとうございました