Year In, Year Out ~ 魚花日記

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美の饗宴-東西の巨匠たち (ブリヂストン美術館)

2010年02月02日 | 美術・芸術

ブリヂストン美術館の展示が入れ替わりました。

今回の企画展は「美の饗宴-東西の巨匠たち」。ブリヂストン美術館と石橋美術館(久留米市)のコレクションから、明治以降の日本の洋画が西欧から受けた影響、また逆に浮世絵等の日本美術から西欧絵画が受けた影響を、双方の作品を並べることで浮かび上がらせようというもの。いつもなら企画展と常設展で分かれている展示室が、今回はひとつの大きな流れに沿って観ることが出来るようになっています。

展示されていた作品は全部で100点あまり。とても贅沢な話ではありますが、大半の絵はいつも常設展で観ているものばかり。しかし、改めてこうして並べられると、遠く離れた日本と西欧で、互いがどう影響し合ってきたのかがよく分かります。例えば同じ展示室の中に、ドービニーと浅井忠が並んでいたり、モネと藤島武二が一緒に展示されているといった具合なのですが、それが不思議と違和感(というか段差)なく、繋がって見えるから不思議です。

今回特に、普段はあまり展示されていない日本の洋画がたくさん展示されているのですが、なかでも改めて凄いなと思ったのが、冒頭の作品、藤島武二の「東海旭光」(1932年)。明治の日本洋画界を語る上で外すことの出来ない黒田清輝が、東京美術学校(現在の東京藝術大学)に西洋画科を作る際、その右腕として招いたのが藤島武二です。彼が渡欧するのは1905(明治38)年、38歳の時ですが、今回はその渡欧中前後の作品と、帰国した後の晩年の作品が、同時に展示されています。冒頭の作品はその晩年、彼の風景画がその円熟味の増した頃の代表作です。

一方、西欧の絵画が浮世絵等の日本美術から受けた影響という点では、今回特に版画(木版やリトグラフ)で面白いものが目に付きました。絵葉書が売っていたものから2点。


(フェリックス・ヴァロットン「街頭デモ」(『レスタンプ・オリジナル』1893年第1号)所収)

画面上の方に寄った構図。白と黒の大胆な塗り分けが見事です。

もう1点はロートレック。


(アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック「エグランティーヌ嬢一座」1896年)

という訳で、あまり派手な展示ではありませんが、しかしじっくり観れば実は改めて勉強になる、私など素人にとってはとても有難い企画展です。年間パスもありますし、会期中また何回か通うことになりそうです。

美の饗宴-東西の巨匠たち
ブリヂストン美術館
2010年1月26日~4月11日

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