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毎度のことながら、いつから、そして何がきっかけで本棚にあったのか全く覚えていない1冊。
ですが、こんな書き出しは全く以って失礼千万。素晴らしい本でした。
私はいわゆる洋楽というものをほとんど知りません。洋楽という言葉を使うのも憚られるほど。それでも、パティ・スミスという名前はどこかで聞いたことがあるような、ぼんやりとした印象を持っていました。
この本は、彼女が若くしてニューヨークに出て知り合ったパートナー、ロバート・メイプルソープとの日々を綴ったものですが、二人に関する先入観が全くない状態で読み始めたので、本の端から端まで心行くまで楽しむことができました。
楽しむというのは語弊がありますね。この本はひと言でいえばエレジー。若き日の、いや人生の一時代のかけがえのないパートナーであるロバートへの永遠のラブレターであり、同時にその若すぎる死を悼む鎮魂歌です。
冒頭、パティがこのロバートの訃報を知るところから始まります。そこから回想は一気に過去へ。
ろくに当てもなくニューヨークに出て来てまもなく、住む所にも食べるものにも困っている、言わばどん底の状況で、パティはロバートに出会います。彼女の言葉を借りれば、
We used to laugh at our small selves, saying that I (Patti) was a bad girl trying to be good and that he was a good boy trying to be bad.
こんな生まれも育ちも全く違う二人が奇しくもニューヨークで出会い、それぞれをよりどころとしながら、互いに芸術の道を切り開こうとします。
それはまさに struggle という言葉がふさわしいでしょう。しかし運命とは皮肉なもので、二人は結婚することもなく、パティは別の男性と結婚し、ロバートは若くして世を去ります。
先ほどエレジーと書きましたが、哀しいだけのお話ではありません。一瞬の煌めきに過ぎないかも知れないけれど、そこで確かに光ったことは事実。それを後から振り返って一瞬だと片づけることは簡単だけれど、その前後や途中の過程も全てひっくるめて、それが二人の来し方。
パティ・スミスの文章は、非常に洗練されています。難しい言い回しはひとつもありません。端正、かつ言葉がよく選ばれていて、散文でありながらまるで詩のような文章です。
書かれてある内容はもとより、こういう文章こそ原文で読めてラッキーだったと思います。
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最後に、ここだけは是非ご紹介したい一文を。
余命短いロバートに向かって、パティはこう言います。
I told him he had always been with me, part of who I am, just as he is at this moment.
哀しい、けれど美しい。ひとつの人生の形がそこにあると思うのです。
ここを読んだ時、久しぶりに学生時代に感銘を受けた「嵐が丘」の一節を思い出しました。きっとブログのどこかに書いたとばかり思い込んでいたのですが、いま調べてみるとどこにも書いてありません。これについてはまた改めて書きたいと思っています。
Patti Smith,
Just Kids
Ecco (HarperCollins)
読書です。
読書は季節と無関係ですが、
一応、世間並みに
読書の秋と言うことで、
「古本の雑誌」本の雑誌社発行
税込み大枚1680円ですが、
気分転換にいかがでしょうか
ブックカバーはペンギン、
早川ポケミス、旺文社文庫
等で活躍中
文泉
今日は本屋に寄れそうにないので、
早速Amazonでポチッとやっときます。
最近ほとんど革を弄っていないのですが、
久しぶりにまた浅草の問屋街をブラブラしたいなぁ
と思い始めています。
実はその後のカフェ・バッハ(南千住)の方が
楽しみだったりして