サマセット・モームの短編集 The Trembling of a Leaf(1921年)読了。
副題に "Little Stories of the South Sea Islands" とあるように、いずれもサモア諸島やハワイが舞台。現地に渡った英米人の目線で描かれるそのストーリーは、シニカルで悲哀に満ちている。
6つある短編のうち、白眉はラストの『雨』。狂信的で道徳心に燃える宣教師が、身持ちの悪い女性の罪を許すまじと糾弾し、同時に神に祈りを捧げるのだが、さてその結末は・・・
タイトルの "trembling" "a leaf" は、その『雨』の最後の最後、しかも1箇所だけ登場する。終始雨が降り続く、何とも気怠く重苦しい空気のなかで、最後まで強気を貫いたその宣教師の妻の、正直な心の震えのように。
W. Somerset Maugham,
The Trembling of a Leaf
(Kindle)
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