ハードボイルド小説の古典とも言うべき、ダシール・ハメットの『マルタの鷹』を読みました。
実はここのところ何冊か続けて現代ものでハズレを引いて、やはり長い年月を経て評価の定まったものを読む方が安全かと思い、手に取った1冊です。こういう本を探すのに、学生時代あまり読まないまま捨てずに持っている文学史の本は役に立ちますね。
さてこの『マルタの鷹』ですが、探偵小説、推理物としての完成度はいまいちです。プロットも単純ですし、ひっくり返るような大団円もありません。いや、正確には大団円はあるのですが、力が弱いというか途中で想像がついてしまうというか、ともかく江戸川乱歩が酷評したというのは分かるような気がします。
しかし、その英語は非常に明快で、チャンドラーほど削ぎ落とした文体ではありませんが、シケ単や熟語集には決して出てこないような洒落た言い回しが交じりつつ、丁寧に編み込まれたその文章は、英語を読むというストレスを全く感じません。難しい単語も出てきませんし、仮に出てきたとしても一度辞書を確認すればその単語は何度も出てきますから、結果あまり辞書に頼らずともどんどん読み進むことが出来ます。
先ほどプロット(筋)が単純だと書きましたが、いきなり出だしの数ページで人が2人も死ぬなど、本の方が読み手をグイグイ引っ張ってくれますから、全く飽きることなくページを繰ることが出来ます。こういう本を読むと、「本を読んだ」、「英語を読んだ」という実感が湧いてきますね。
英語を勉強していて、今度は本格的なペーパーバックに挑戦してみようという人などにはうってつけの1冊です。読後感があまり心地よかったので、早速また丸善に寄って、同じハメットの違う作品を1冊買ってきました。また新しい楽しみを見つけた感じです。
Dashiell Hammett
The Maltese Falcon
(Vintage Books)
私は「チーズスイートホーム」を読んでます
趣味が合いますなぁ~
え?俺のは違うって?(爆)
どうも仕事が忙しい時に限って、それから
逃避したいのか、本が読みたくなるんですよね。
学生時代の試験前と同じ心境?(笑)