学生の頃、東山の麓のお寺に下宿していたことがある。
山に近く、鳥の鳴き声や疏水の音が聞こえるのは勿論、窓を開けっぱなしにしたまま出掛けて部屋に戻ると部屋中にカメムシが入り込んだりと、割と自然が豊かな環境だった。
冬の底冷えが緩んで春が近くなってきた頃、どこからともなく聞き覚えのあるフレーズをミスったような鳴き声が聞こえてくる。あれは鶯が練習しとるんや、今はまだ山の高いとこにおるけど、だんだん麓の方に下りてきよる、そしたらもっと近くに聞こえるし、その頃にはもっと上手に鳴けるようになるんやで。
・・・そう教えてくれたお寺の和尚は、蕎麦に目がなかった。正確にはお酒にはもっと目がなかったのだが、たまに蕎麦屋に連れて行ってもらうと、種物の蕎麦の具だけをつまみに(当時は「抜き」という言い方も知らなかった)よくお酒を飲んでいた。
銀座の裏通りにある「泰明庵」。ここで壁一面に貼られたお品書きを眺めていると、ここに和尚がいたら何を頼むかなぁとふと思う。
泰明庵
中央区銀座6-3-14
徳を積んでないから道程は遠そうだ。
鶯って鳴きの練習するんだ?
知らんかった。。。
そんな事に気付けるのは、さすが和尚さんだね
自分のスタイルで堂々とお酒が飲めるようになるには、
徳というか歳をとらんといかんのだろうな