以前ご紹介したペーパーバックを、ようやく読み終わりました。読むのは通勤途中で大抵は帰り道のみでしたし、途中で和竿の本に没頭していた時期もあって、少し時間が掛かってしまいましたが、何とか最後まで到達しました。
これから読まれる方がいらっしゃるといけないので内容やあらすじについては触れませんが、一言で言うと、なかなか読み応えがありました。
私が読んだのは英訳版ですが、ページにして500頁、長編です。全編が均一のレベルで面白いかと言えば、それは違います。長い割に飽きさせずに読ませる力があるのは事実ですが、時に表現や描写が冗長に感じられたり、筆の力が落ちていると感じられる部分もありました。
この手の長編はPlot(筋)が複雑に入り組み、それが最後に、まるでパズルが解けるかのように明らかになるのが醍醐味で、言い換えると、先に出てきたことを頭の片隅に置いて、それがいつか何かと繋がるのを待ちながら読み進むのが楽しみでもあります。それらのPlotが過不足なくリンクしていくその緊密さと隙の無さが、その本が上質かどうかの判断材料になると思うのですが、この本の場合、冷静に考えてみると、「一体あの時のあれは何だったのだろう?どこに繋がっていたのだろう?」と思ってしまうような箇所もいくつかありました。そういう箇所は明らかに読む気が減退して読み飛ばしてしまうのですが、それでも最後の100頁(全体の長さから言うと終わりの1/5)くらいは一気に読ませるスリルとスピード感があって、楽しめました。
褒めているのか貶しているのか分らないことを書いていますが、好きか嫌いかは人によって分かれると思いますし、また時期をみて読み返したいかと言われれば、私の答えは微妙です。それは話が面白くないからではなく、何と言うか、当面はお腹いっぱい、ちょっとの間活字から離れたいと思うからです。そう思わせる「重さ」を、この本は持っています。
それからもうひとつ。その要所要所で登場人物たちが口にする台詞は、(私が読んだのは訳書なのでどれだけ原文に忠実かという点は除いて)、その比喩表現も含め、いくつか記憶に残るだろうと思っています。例えばそれがどんなものかを言ってしまうと、物語の内容が想像されてしまうので敢えて何も言わずにおきます。お許し下さい。
因みに台詞以外で気入った表現は、前回の記事でも書きましたが、読み始めたばかりの頃に目にした「まるで本の上に置かれた氷の塊のように(本の上で)融けかかっている眠そうな人たち」という描写に尽きます。読み進むにつれて話の展開に目が行ってしまい、細かい表現に頓着しなくなった嫌いもありますが、それでもこれを凌ぐ表現には出会えませんでした。(これはあくまでも個人的な趣味の問題ですが・・・。)
以上、何だか奥歯にモノが挟まったような言いようで恐縮ですが、ともかく、当分活字は見なくても良いかな、という充足感があって、それだけ内容の濃い物語だったことは事実です。因みに、訳書は文庫本で2分冊。ご興味のある方は本屋さんで覗いてみて頂ければと思います。
これから読まれる方がいらっしゃるといけないので内容やあらすじについては触れませんが、一言で言うと、なかなか読み応えがありました。
私が読んだのは英訳版ですが、ページにして500頁、長編です。全編が均一のレベルで面白いかと言えば、それは違います。長い割に飽きさせずに読ませる力があるのは事実ですが、時に表現や描写が冗長に感じられたり、筆の力が落ちていると感じられる部分もありました。
この手の長編はPlot(筋)が複雑に入り組み、それが最後に、まるでパズルが解けるかのように明らかになるのが醍醐味で、言い換えると、先に出てきたことを頭の片隅に置いて、それがいつか何かと繋がるのを待ちながら読み進むのが楽しみでもあります。それらのPlotが過不足なくリンクしていくその緊密さと隙の無さが、その本が上質かどうかの判断材料になると思うのですが、この本の場合、冷静に考えてみると、「一体あの時のあれは何だったのだろう?どこに繋がっていたのだろう?」と思ってしまうような箇所もいくつかありました。そういう箇所は明らかに読む気が減退して読み飛ばしてしまうのですが、それでも最後の100頁(全体の長さから言うと終わりの1/5)くらいは一気に読ませるスリルとスピード感があって、楽しめました。
褒めているのか貶しているのか分らないことを書いていますが、好きか嫌いかは人によって分かれると思いますし、また時期をみて読み返したいかと言われれば、私の答えは微妙です。それは話が面白くないからではなく、何と言うか、当面はお腹いっぱい、ちょっとの間活字から離れたいと思うからです。そう思わせる「重さ」を、この本は持っています。
それからもうひとつ。その要所要所で登場人物たちが口にする台詞は、(私が読んだのは訳書なのでどれだけ原文に忠実かという点は除いて)、その比喩表現も含め、いくつか記憶に残るだろうと思っています。例えばそれがどんなものかを言ってしまうと、物語の内容が想像されてしまうので敢えて何も言わずにおきます。お許し下さい。
因みに台詞以外で気入った表現は、前回の記事でも書きましたが、読み始めたばかりの頃に目にした「まるで本の上に置かれた氷の塊のように(本の上で)融けかかっている眠そうな人たち」という描写に尽きます。読み進むにつれて話の展開に目が行ってしまい、細かい表現に頓着しなくなった嫌いもありますが、それでもこれを凌ぐ表現には出会えませんでした。(これはあくまでも個人的な趣味の問題ですが・・・。)
以上、何だか奥歯にモノが挟まったような言いようで恐縮ですが、ともかく、当分活字は見なくても良いかな、という充足感があって、それだけ内容の濃い物語だったことは事実です。因みに、訳書は文庫本で2分冊。ご興味のある方は本屋さんで覗いてみて頂ければと思います。
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