カズオ・イシグロの When We Were Orphans 読了 (邦題 『わたしたちが孤児だったころ』)。
20世紀初頭、上海租界(外国人居留区)での幼少時代に両親が相次いで失踪し、母国イギリスへ単身帰国した主人公。大学卒業後に探偵として名をなした彼は、日中戦争が激化するなか再び上海に戻り、両親の足取りを追う。
タイトルの "orphan" は、勿論主人公が孤児になったことも指すが、物語の最後の最後で著者は彼にこう言わせる。
... for those like us, our fate is to face the world as orphans, chasing through long years the shadows of vanished parents. There is nothing for it but to try and see through our missions to the end, as best we can, for until we do so, we will be permitted no calm.
話の途中で次々と回想が入るので、一体いつの話なのか混沌としてくるのだが、それでも読み手を迷子にすることなく、終盤は一気に収斂する。
以前読んだ The Remains of the Day とともに、本読みの楽しさを満喫できる。
Kazuo Ishiguro,
When We Were Orphans
(Vintage)
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