『名も無く豊かに元気で面白く』

読んだ本、ニュース、新聞、雑誌の論点整理、備忘録として始めました。浅学非才の身ながら、お役に立てれば幸いです。

チプラス首相、債務削減と新たな金融支援を条件に改革案丸呑み

2015-07-12 14:23:50 | 日記

ギリシャが再度提出した財政改革案『EU側が既に提出している改革案をほぼ丸呑み。代わりに535億ユーロ(7.2兆円)の金融支援と新たな債務再編を勝ち取る。』をおおむね評価し支持しているフランス・イタリアと不十分と反対しているドイツ・フィンランドで意見の纏まりがつかず結論が13日以降まで延期されるようです。チプラス首相は債務再編さえ勝ち取れば、国民はある程度の緊縮策を受け入れる。と判断し改革案を提出しましたが、このような国民投票の結果すら都合よく解釈し債務再編を新たに要求するチプラス首相の政治姿勢に対して不信感を強めているドイツや同調する国が飲めるのか疑問です。イタリアなど債務国は自国の債務問題もあり将来の債務再編を見据えて受け入れたいのが本音でしょう。ギリシャが返済期限を過ぎて国民投票に出たようにEU側は時間をかけ今後有利に事を進めることになるのではないでしょうか?やはり世界経済の混乱や国民生活を人質に交渉に当たるチプラス首相の手法は邪道であり内外から批判を浴び退場の憂き目に遭うのは時間の問題です。12日に行われる予定のEU首脳会談がキャンセルとなりギリシャに対するハードルはますます高くなりました。EUは国民不安を増大させ不信感の強いチプラス政権を葬り去りたいのかもしれません。

以下コピー ここ数か月のギリシャとEUの債務交渉を見ていて心底思うのは、「チプラス首相は愚かすぎる」ということです。彼の支離滅裂な一連の行動は、これまでのEUとの交渉の土台や信頼関係をぶち壊すだけでなく、ギリシャ国民をいっそう厳しい状況に追い込んでしまっています。

それは、先日辞任したバルファキス財務相についても、同様であると言えます。彼はEUとの交渉において当初から、具体的な改革案を示すことができなかったばかりか、改革案の前提となる数字すらまったく把握することができていなかったというのです。EU側からすれば、「何のために交渉に来たのか」と言いたいところでしょう。

EUの関係者のあいだでは、交渉のたびにそういったチプラス政権の愚かさが露呈することによって、「この政権とまともな交渉をするのは不可能かもしれない」という雰囲気が形づくられていったといいます。ドイツやフランスを中心に、ギリシャを見捨てても構わないという国々が増えていったのには、そのような経緯があるわけです。

それでは、仮にギリシャがユーロを離脱するとしたら、実体経済や金融市場にどの程度の影響があるのでしょうか。

まず、実体経済にはほとんど影響がないと言えるでしょう。ギリシャの経済規模は過大に見積もっても、EU全体の2%、ユーロ圏全体の3%に過ぎないからです。いくらグローバル経済の特質に波及効果があるといっても、経済規模が小さすぎるために、注視するほどの悪影響があらわれるとは考えられないのです。

その一方で、金融市場に多少の悪影響が及ぶことは避けられないでしょう。しかしそれでも私は、金融市場への影響は短期的かつ軽微なものにとどまると考えております。かつてはギリシャの債務危機がスペイン、イタリアなどに波及し、欧州全域に深刻な悪影響が広がる可能性がありましたが、現在ではECBが緊縮財政を実行している国々に対して資金を供給することを約束しているので、その心配はほとんどないと言っても良いからです。

さらには、ギリシャの債務の大部分がECBやIMFなどによって保有されているため、たとえギリシャがデフォルトに陥ったとしても、民間の金融機関で巨額の損失を抱えるというリスクは心配する必要がないと考えられるのです。ですから、仮にギリシャがユーロを離脱しても、金融市場の動揺は短期的なものに収まるのではないかというわけです。

ところが、ギリシャ国民にとってのユーロ離脱は、これまでの緊縮財政の時よりもさらに過酷な生活が待っていることを意味しています。かつての自国通貨ドラクマに戻れば、通貨の暴落は避けられず、年率20%や30%のインフレを受け入れざるをえないからです。そうなれば、国民生活が今と比較にならないほど、苦境に追い込まれることになるでしょう。

ギリシャがユーロに残留しようとも、離脱しようとも、私はチプラス政権の誕生後を見ていて、「首相が愚かであると、国は誤った方向に導かれてしまう」と痛切に感じさせられました。我が国の首相を見ていても同じような危うさを感じてしまうのは、決して私だけではないのではないでしょうか。

中原圭介

 

 

 

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