「ツイッター大統領」ことトランプ大統領がアカウントの永久停止により沈黙です。その一方ドイツのメルケル首相は、短文投稿サイトの米ツイッターが自社サービスからトランプ米大統領を永久追放したことについて、表現の自由を制限するのは立法者のみであるべきだとして「問題だ」と苦言を呈し、専門家や人権団体からもフェイスブックやツイッターのような私企業が米大統領を上回るパワーを持っていることへの懸念が広がっています。暴力扇動は最悪ですが、裁判所でもない私企業幹部の判断が米国大統領をも上回るパワーを持っていることやフェイクニュース問題や個人情報タダ漏れの現状に違和感を抱くのは筆者だけではないでしょう。
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「ツイッター大統領」とも呼ばれたトランプ氏のアカウントが永久停止されたことが、支持者だけでなく、みんなを不安にさせる――専門家の間で、そんな懸念の声が上がっている。それはなぜか?
ツイッターは1月8日、トランプ大統領のアカウントを「さらなる暴力扇動のリスク」を理由として永久停止した、と公式ブログで明らかにしている。
死者5人を出したトランプ氏支持者らによる米連邦議会議事堂占拠の騒乱をめぐり、ツイッターは6日にトランプ氏のアカウントを一時的に停止。7日夜に再開した矢先の永久停止措置となった。
すでにフェイスブックも、アカウント停止の無期限延長を表明しており、少なくとも20日のバイデン新大統領就任式までは継続する、としている。
ソーシャルメディアに対しては、前回大統領選でのフェイクニュース氾濫をきっかけに、コンテンツ管理強化を要求する圧力が高まり続けていた。さらに議事堂占拠の深刻さを踏まえて、今回の措置には一定の理解が示されている。
その一方で、米大統領を上回るパワーを、ソーシャルメディアが持っていることへの懸念も広がっている。さらに、専門家や人権団体からは、このような判断の不透明さに対して危険性を指摘する声も出ている。
プラットフォームは、判断を誤ることが少なからずあるからだ。
ソーシャルメディアは国際的なインフラのように機能しながら、ある日突然、アカウントが停止されたり投稿が削除されたりしても、その判断の透明性や説明責任が果たされているかどうかは、どこまで行ってもはっきりしない――。
これまで繰り返し指摘されてきたソーシャルメディアの問題点が、トランプ氏への永久停止措置をきっかけに、改めてクローズアップされている。
歯止めのない権力の行使
数カ月の間、トランプ大統領はソーシャルメディアのプラットフォームを使って、選挙結果に対する疑いの種をまき、有権者の信頼を損ない続けてきた。今、トランプ氏のアカウントを永久停止したい気持ちは理解できる。だがそれはすべての人々に、フェイスブックやツイッターのような企業が歯止めのない権力を行使することへの懸念を抱かせることになる。数十億人の言論にとって不可欠となったプラットフォームから、自分たちも削除されるのではないかと。特に今の政治状況を考えれば、そのような判断が容易にできるようになっているのだから。
米自由人権協会(ACLU)の弁護士、ケイト・ルーエン氏は、トランプ氏のアカウント停止を受けて、そんな声明を発表している。
その影響は、トランプ氏よりも、特に社会的なマイノリティの人々に対して大きくのしかかる、とルーエン氏は指摘する。
トランプ大統領の場合、人々とコミュニケーションを取ろうと思えば、自身のプレスチームやFOXニュースを活用することもできる。しかし、黒人やヒスパニック、そしてLGBTQのアクティビストのように、ソーシャルメディア企業に監視されてきた人々には、そんな選択肢はない。ソーシャルメディア企業には、すべての人々に対して、透明性のあるルールの適用をしてほしいというのが、我々の願いだ。
ルーエン氏が指摘する懸念の発端は、ツイッターが8日午後6時21分(東部時間)に出した、トランプ氏のアカウントに対する永久停止の声明だ。
トランプ氏(@realDonaldTrump)のアカウントからの新たなツイートとそれにまつわるコンテクスト、特にそれらがツイッター上とツイッター以外でどのように受け止められ、解釈されているかについて詳細に検討した結果、さらなる暴力扇動のリスクのために、アカウントを永久停止しました。
声明は、そう述べている。
ツイッターが問題視したのは、トランプ氏が8日午前9時46分と午前10時44分に投稿した2本のツイートだ。
ツイッターの声明では、この中でトランプ氏が、20日のバイデン新大統領就任式には出席しないとしていることから、就任式が“安全な”攻撃対象と受け止められかねないとし、「米国の愛国者たち」などの表現が議事堂占拠をした支持者らの擁護と受け取られている、などと指摘。その上で、こう述べている。
将来的な武装デモの計画はすでにツイッター上やそれ以外で拡散し始めており、その中には2021年1月17日に再び連邦議会を襲撃するという企みも含まれている。
これらのことから、この2本のツイートが議事堂占拠のような暴力行為を再燃させる引き金になりかねないとし、トランプ氏のアカウントの永久停止を決めた、としている。
ツイッターの永久停止措置に対してトランプ氏は、個人アカウントとは別にある米国大統領の公式ツイッターアカウント(@POTUS)を使って、このように反論している。
ずっと言い続けてきたことだが、ツイッターは表現の自由の禁止へとどんどんと突き進んできた。そして今夜、ツイッターの社員たちは民主党や急進左派と連携して私のアカウントをプラットフォームから削除し、私を沈黙させた――さらに私に投票してくれた7,500万人の偉大な愛国者の皆さんのこともだ。ツイッターは私企業だが、通信品位法230条(プラットフォーム免責)の恩恵なしには長くは存続できないはずだ。いずれそうなる。他の様々なサイトとも交渉をしてきた。いずれ大々的な発表をすることになるだろう。近い将来、我々独自のプラットフォームをつくる可能性も検討している。我々は沈黙しない。ツイッターは表現の自由とは縁もゆかりもない。
これらのツイートも、間もなくツイッターによって削除されている。