経営危機に陥った中国恒大集団の社債が償還されないのではないのかと 、世界経済に不安と打撃を与えています。一方で
中国恒大集団の社債をはじめ中国の不動産関連の債券を、経営難に陥った企業の債務などを買い取るディストレスファンド
が買いあさっている。デフォルト(債務不履行)リスクの高い債権を安値で買って反発の時を待つ。いずれ中国政府が、な
んらかの形で救済に動くとの読みだ。 衆議院選挙勝利による岸田文雄内閣信任のご祝儀相場も期待できる。 海外投機筋は
相場の流れを見極めてモメンタム(勢い)が上方向とみれば、果敢に買いに動く。方向が下とみれば、売りに転じる。理由
抜きで動く。ここが、裏付けがなければ納得せず動かない日本人が誤解しがちなところだ。「政局ラリー」に参加した海外
投機筋の動きを政策論から理解しようと試みても、彼らは高頻度取引を駆使してのパワープレーに徹している。その結果
理屈が通用する日本株がいつも海外投機筋の草刈り場となっているわけなのです。
以下抜粋コピー
投資家と世界経済を覆うリスクは無数にあり、膨らみ続けている。ブルームバーグ・ニュースは、先見の明があることで
知られる金融業界の巨人3人に今後5年から10年に何が最も懸念されるかを聞いた。
デフレの波
キャシー・ウッド(アーク・インベストメント・マネジメント創業者)
現時点で広がっているのは、サプライチェーンの混乱でインフレ局面に拍車がかかっているという仮説だ。だが、197
0年代のインフレを目の当たりにした自分は、当時のような状況に戻るとは全く考えられないし、そうなると想定してい
る人は恐らく見誤ることになるだろう。われわれが目にしているのは、大きなデフレ圧力の高まりだ。イノベーションの
面でわれわれはかつてなかった時期にある。人工知能(AI)でトレーニング費用は年68%ずつ低下している。これはA
Iを活用した製品が多数生まれ、より品質が良く安価で創造力に富む製品がより速く出てくることを意味する。必要な費
用と時間が大幅に短縮されたDNAシーケンスはヘルスケアを一変し、医療費用のどの部分が無駄かを気づかせてくれる
だろう。このイノベーションの問題は、従来の世界秩序にとって極めて大きな破壊力を持つだろうということだ。イノベ
ーションに十分な投資をしてこなかった企業は、今後5年-10年でますます厳しくなるだろう。S&P500種株価指数が
始まった頃は企業の平均寿命は100年だったが、今や20年をやや上回る程度にまで短くなったと考えている。今後さらに
短くなるだろう。
不平等の世界
モハメド・エラリアン(アリアンツ主任経済顧問、英ケンブリッジ大クイーンズカレッジ学長)最も大きな懸念事項は
国内、国家間の両方で見られる格差だ。金融市場は社会問題と見なし、実際には経済や金融の問題として捉えていないが
われわれは格差拡大が勢いを増すリスクを冒している。新型コロナウイルスはこれを大きく後押ししたが、現在は元に戻
るどころか、不平等が悪化する動きが生まれている。格差が極めて広がった社会は経済的に健全な社会ではない。自分が
不安に思うのは、機会の不均衡にとどまらない。自宅にWiFi接続やコンピューターがない人々がコロナ禍でどうなっ
たかは見ての通りだ。学校との接触を失った多くの生徒たちは職を得られなくなるばかりか、雇用に適さなくなるのだ。
つまり、失われた世代になる。こうした社会がどのようなものか、すでに垣間見えている。経済的な側面では、総需要の
不足が見られる。富裕層の所得や資産は増しているが、支出の比率は比較的少ない。所得や資産に対する支出の比率は貧
困層の方が高い傾向にある。従って、増加する所得や富のすべてが富裕層に向かえば、需要の問題が生じ、それは成長の
問題を伴うようになる。現在はすでに長期停滞の期間にある。十分に包摂的でない低成長の期間で、自分や同僚は新常態
(ニューノーマル)と呼んでいる。
野放しのハッカー
スコット・マイナード(グッゲンハイムインベストメンツ会長)一番のリスクは、世界的な決済システムの持続可能性だ。
これまでにハッカーやテロリストの攻撃は極めて多くあり、米コロニアル・パイプラインの事件もあった。金融市場の決
済システムへの攻撃には、米国だけでなく欧州もぜい弱な様子だ。攻撃を受ける可能性は極めて高く50%を優に上回ると
みる。このリスクを評価し、短期的には既存のシステムをいかに強化できるか、長期的には近代化する方法を見いだすた
め、国際的な協力が必要だ。