衆議院選挙で自民党は、改選前から15議席減らしたが、単独過半数を維持し、自公連立政権は継続することとなった。
一方、第一党野党の立憲民主党の枝野幸男代表は敗北した衆院選の責任を取り辞任する意向を表明した。立民は衆院選で
公示前議席110から96に後退。福山哲郎幹事長(59)も引責辞任する方向だ。 そもそも政権としてやったことは
衆院の解散総選挙だけなので、批判にさらされることのない選挙だったのが、一番の自民党の勝因だろう。 逆に言うと立
民は批判しかしていない。「野党共闘」は共闘の効果はほとんどなく、改選前より議席を減らすという失敗に終わった。
今回の選挙でわかったことは自民党の底力、そして日本維新の会の可能性だ。日本維新の会副代表の吉村洋文氏(大阪府
知事)は29日JR高槻駅前で衆院選(31日投開票)の応援演説を行った。❝大阪10区では、27日に山崎拓元自民
党副総裁が、立憲民主党・辻元清美氏の応援演説に立ち「小選挙区は絶対に辻元。必ず当選させてほしい」と呼び掛け
自民大阪府連が本部に除名を上申。「高槻の選挙、どうなってるんですか。びっくりしますよ、本当に。相手の候補、強
い女性。名前は言いませんが辻元さん。奇々怪々な状況、世にも奇妙な物語みたいになってます」と前ふりし、「立憲民
主党の象徴である辻元さんの強いこの選挙区で、どういうわけか自民党の超・重鎮の山崎拓さん、重鎮中の重鎮がやって
きて、2人並んで演説をして『選挙区は辻元に、比例は自民に』って言ってるんですよ。意味わかります?わかりません。
こんな選挙区は日本にありません」と疑問を呈した。そして「相手の辻元さん、滑舌も良くて国会なんかでやられます
が、結局、全部茶番劇です。だって自民党の重鎮呼んで、応援来てもらってるんでしょ。皆さんの前では、テレビでは
『総理!総理!』って言ってますけど、結局持ちつ持たれつの関係じゃないですか」と語った。❞吉村氏は「自民党はも
うちょっと本気で改革をやってもらいたいと思います。何でか?これからの日本、茶番劇やってる余裕があるんですか」
と呼びかけ、少子化が進んで税収が減少して経済が縮小していくと話を展開。「特定の業界団体、既得権、国会議員がお
いしい思いをしている政治じゃあ日本がもたない。これを変えていきたい」と声を張り上げた。野党勢力で議席を増やし
たのは日本維新の会が11議席から41議席と圧倒的で、国民民主党は8議席から11議席、れいわ新選組が1議席から
3議席にそれぞれ伸ばしただけに終わった。この選挙による新たな勢力分布は、与党が294議席と全体の6割強、野
党が171議席と3割強となる。それを見ていると、この国は「55年体制」の時代から与党と野党の勢力分布が変わっ
ていないことに気が付く。「55年体制」は政権交代しないことに特徴があった。野党が権力奪取を狙わなかったからで
ある。つまり野党第一党の社会党は過半数を超える候補者を選挙に擁立せず、代わりに憲法改正を発議させない3分の1
を超える議席の獲得を狙った。自民党政権が最も腐心したのは野党からの攻撃ではなく、米国からの軍事的要求にどう応
えるかだった。吉田茂が敷いた「軽武装、経済重視」路線とは、国民に護憲思想を広め、米国に軍事的要求をエスカレー
トさせないことである。そのため自民党は、野党に護憲運動をやらせて憲法改正を発議させない3分の1の議席を与える。
しかし、「持ちつ持たれつ政権交代しない55年体制」は終わり、米国の軍事的要求は遠慮すること
なくエスカレートし始め、日本はその要求をかわすことができない。政権交代を狙わない野党の存在
も必要なくなったということです。