『名も無く豊かに元気で面白く』

読んだ本、ニュース、新聞、雑誌の論点整理、備忘録として始めました。浅学非才の身ながら、お役に立てれば幸いです。

習近平が中国をどんどん縮小させていく…不動産バブル崩壊の後遺症

2024-11-19 09:21:30 | 日記
不動産業者の救済などで中国の銀行の収益性の低下が鮮明化している。
これまで、中国政府は不動産市況の悪化を食い止めるため、市中銀行に対し資金供給を増やすよう要請を強めてきた。具体的に、不動産デベロッパーに対する融資や、地方政府がマンション在庫を買い取り、リノベーションを実施する資金提供を政策的に促進した。
中国の不動産市場では、6,000万戸ものマンション在庫が存在するとの見方もある。国際通貨基金(IMF)は、今後4年間で未完成物件の工事完了など不動産問題の解決に、少なくとも約7兆元(約140兆円)の財政資金投入が必要と試算した。需要を上回るマンション供給で、今のところ不動産価格下げ止まりの兆候は見られない。
中国の金融緩和(利下げ、資金供給の増加など)は国債流通利回りの低下につながり、結果的に銀行の貸し出し金利を下押しする。財政支出の増加(国債の増発や地方政府の債務上限の引き上げなど)は、過剰な生産能力、鉄道や道路などの過剰投資に使われ、社会インフラでもある銀行の収益性を下押しているとみられる。
これまでのところ、規制緩和などによる需要創出策が進む兆しは見られない。
需要の不足が長引けば、景気回復の期待は高まらず、消費者、投資家、企業経営者のリスク許容度は低下する。不動産業界、地方政府と傘下の地方融資平台などの不良債権残高は増え、商業銀行の金融仲介機能は低下するだろう。来年1月20日以降、トランプ政権の中国締め付け策が本格化する可能性も高い。
これまでの成長プロセスが限界を迎えた
9月下旬以降、中国政府は総合的な経済対策を拡充した。
10月、政府は国債の増発を発表。中央銀行である中国人民銀行は、期間1年の新たな資金供給オペも設定した。11月4日から8日の全国人民代表大会の常務委員会は、地方政府に債券の発行増加を容認した。地方債の発行で調達した資金は、インフラ投資や地方融資平台の資金繰り確保、マンション在庫の買入などに使われるようだ。
また、9月下旬の利下げや財政出動により、一時的に北京や上海などの大都市で一部の不動産価格が反発する兆しは出たようだった。それでも価格が本格的に持ち直す状況になっていないし、さらに下がり出した。
10月、ドル建ての輸入は前年同月比2.3%減少した。自動車の部品や化粧品が減少し、個人消費にかつての勢いはない。価格の影響もあったが、原油、鉄鉱石などの輸入も減少している。
不動産投資で高成長を実現する中国の経済成長のプロセスは限界を迎え、消費などの需要の不足は深刻だ。過去、不動産投資の過熱によって大規模なバブルが発生し、マンション建設(投資)や基礎資材の生産も増えた。
それに伴い、土地需要も増え、地方政府はデベロッパーに土地利用権を譲渡して歳入を確保し、産業補助金やインフラ投資に再配分した。
こうした熱狂は商業銀行などの利ザヤの厚さを支えた。
2019年1~3月期、大手商業銀行の純金利マージンは2.12%だった。(純金利マージンとは、資金調達の金利と、貸し出しなどによる資金運用の利回りの差をいう。)2021年まで中国商業銀行は純金利マージン2%台を維持していた。
しかし、2020年8月の不動産融資規制の実施で、中国の不動産バブルは崩壊した。
芳しくない銀行の収益性
家計の貯蓄の7割程度が不動産投資に向かったとみられるが、住宅など資産価格下落は鮮明化。不動産市況の悪化から住宅の価値は下落し、雇用・所得環境の先行き不安も高まった。個人や企業は先行きのリスクに備え、債務返済を優先せざるを得ない状況だ。
土地利用権の需要減少で地方政府の財政も悪化した。地方政府の隠れ債務である地方融資平台の債務問題も深刻だ。鉄鋼、太陽光パネル、リチウムイオンバッテリー、エアコン、電気自動車(EV)、建機などの過剰生産能力の膨張にも歯止めがかからない。
その結果、経済全体で資金需要は伸び悩み、商業銀行の純金利マージンは低下した。
2022年1~3月期、純金利マージンは1.97%まで低下した。2023年1~3月期は1.74%に低下し、健全な銀行経営の維持に必要とされる、利ザヤ水準(1.8%)を下回った。さらに2023年10~12月期の純金利マージンは1.69%に低下した。
そして2024年7~9月期、四大国有銀行の一つである中国銀行の純金利マージンは1.41%、前期から0.03ポイントの低下だ。
10月、中国政府は地方政府による住宅在庫の買い取り資金規模を4兆元(80兆円)規模に拡充し、不動産市況の悪化を食い止めようとした。政府は、銀行に買い取り資金の融資を増やすよう指示した。これも銀行の利ザヤ圧縮の要因だろう。すう勢として中国商業銀行セクターの収益性は低下傾向だ。
中国不動産バブル崩壊のツケは今後世界経済も一部巻き込み更に拡大していくだろう。
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中国・不動産不況「本当の中国経済苦境」が日本企業の厳しい決算からわかった…

2024-11-19 04:51:49 | 日記
ホンダが11月6日に発表した2025年3月期第2四半期の決算を見れば、日本や米国がそれなりには堅調なのに対し、中国はこの第2四半期累計で前年62.4%、純粋に第2四半期のみを見れば前年比57.1%と落ち込んでいる。トヨタも日産も同じようなもので、我が国自動車大手は昨年あたりから言われているように中国市場で苦戦している。
もちろん、その背景には、中国におけるEV化の進展(特に新車販売における)があるが、それだけではない想定を超えた落ち込み、景気そのものの一段の冷え込み、が起きているのではないか、と思わせるものが、やりとりに滲んでいる。
中国の公式的な発表では、2024年7月~9月期の実質GDPの成長率は前年同期比で+4.6%、4月~6月期のそれは+4.7%になっている。これはこれまでの成長に比べれば大きな減速を感じさせる数字ではあるし、政府目標にも達していない数字だ。しかし、他国比較からすれば、十分な成長と言える数字になる。
だが、本当にそれは信頼に足る数字なのだろうか。
中国人の消費低迷で資生堂は大幅減益
EV化などの理由が見当たらない別の業界における中国事業の現在を観察することが必要だろう。中国当局の関与や操作ができないという意味で、日本の中国進出企業の決算報告から中国事業の現状を追い、そこから中国経済の現状を推察することには意味がある。何故なら、そこには当局が糊塗しきれなかった生々しい実態が横たわっている筈だからだ。
その意味で注目すべきは、11月7日に発表された資生堂の2024年12月期第3四半期の決算発表になるだろう。そこで資生堂は中国事業と中国人の旅行者を主たる顧客とするトラベルリテール部門(空港などでの免税店でのリテール)の低迷から通期の連結営業利益予想を当初220億円から60億円に72.7%下方修正した(前期比では72.4%の減益)。また、3Qの累計で言えば、営業利益は21憶83百万円で、これは前年同期比で-91.5%の水準という落ち込みになっている。率直にかなり激しい落ち込みだ。決算説明会の資料の、2024年12月期第3四半期決算のポイントを説明したスライドで、トラベルリテール・中国には、「3Qは想定以上の中国人の消費低下により減収幅拡大」の記載がある。資生堂のフォロワーであれば、中国市場が、日本市場と同じ規模を持つ重要な市場であることは自明のことだろう。その柱である中国の不振は、そのまま資生堂の業績に大きな影響を与える。
業態問わず「さらなる減速」に襲われている
想定以上の落ち込み、という表現で言えば、楽器のヤマハは11月1日に2025年3月期第2四半期の決算を発表したが、同日に通期予想を修正、営業利益で言えば、当初445億円予想を270億円にと引き下げた。その理由の大きなものとして「ピアノをはじめとした中国市場のさらなる減速の織り込み」を挙げている。
ヤマハの決算説明会資料で、地域別販売状況によると、4つの地域に分けられたデータで、日本が2023年3月期対比2025年3月期予想が98%、北米が95%、その他が103%とほぼ横ばいを見込んでいるのに対して、中国のそれは64%と落ち込んでいる。しかも対前期82%と持ちこたえていた2024年3月期の実績値から一気に18ポイントも落ち込んでいる。まさに「さらなる減速」という表現そのままだ。
このような減速に直面しているのは、ヤマハだけではない。
例えば他にも住設機器、ウォシュレットのTOTOも10月28日、2025年3月期第2四半期決算の発表と共に、中国大陸事業の不振から通期業績について売上高を7,500億円から7,300億円に、当期利益を375億円から360億円に修正している。
TOTOの2025年3月期第2四半期決算説明資料から海外住設事業の地域別の業績が示されたスライドになるが、米州、アジア、欧州が計画比、米州105%、アジア103%、欧州104%と計画を上回ったのに対し、中国は92%と計画を下回っている。
他にも文具・家具のコクヨなども中国市場での苦戦を決算発表で伝えている。
トランプ次期政権が与えうる「深刻なダメージ」
自動車、化粧品、ピアノ、住設機器、このうち住設機器は不動産市況の低迷に直接的な影響を受けているのだろうが、ピアノや化粧品(特に化粧品)は中国の消費者が節約に本格的に入っていることを強く物語る。また、資本財についても、国策の影響でなお需要の強い半導体製造装置などを除けば、過剰投資の反動や補助金の打ち切りや縮小などの影響を受けて、中国市場で苦しむ日本企業が多いことは、様々な経済記事が伝える通りだ。
様々な業態の日本企業の決算が伝える中国経済や中国の現状には操作できない真実が宿っている。(3選はできないので)2025年1月からトランプ氏の最後の4年が始まろうとしている。何が起こるのか、何をするのか、それは或る意味市場が動くという意味で楽しみでもあるが、例えば氏が掲げてみせた中国製品に対する関税60%への引き上げなどが現実のものとなった場合、その政策が中国経済に与える影響は深刻なものになる。逆にそれは国民の意識を悲願の台湾統一という行動に向け扇動する要素になるかもしれないので、そうしたシナリオもまた現実のものとして経営者や投資家は(いや、我々は)考える必要もあるだろうが、その意味でも、これから先、中国にどう対峙するのか、判断を迫られるときがまもなく来る。

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