70歳をすでに迎えている人もまだ先の人も、70代を若々しく、幸せに生きるためのすべを心得ておきたいものです。ここでは、「老後の不安がみるみるうちに消えていく」以降、精神科医・和田秀樹さんのアドバイス。
個人差が大きい70代
80歳の壁を破り、幸せな老後を送ることができるか否かは、70代の過ごし方にかかっているとわたしは考えています。
わたしがこれまで接してきた高齢者の多くの方に共通するのが、60代までは気にならなかったことが、70歳を過ぎるとどんどん増えてくるということです。体力は言うに及ばず、気力もそうですが、そういったことが見た目にもあらわれて、同じ70代でも個人差が顕著になってきます。
はたして、自分はどのようになっていくのでしょうか。これまでの人生を振り返れば、60歳からの10 年などあっという間のことだと思います。実年齢よりも若い70代となるのか、はたまた老け込んだ70代となるのか、これから描く70歳の地図もこれまで接してきた多くの先輩たちの姿が参考になります。
興味をもち、挑戦し続ける
70歳ともなれば、誰でも体力や集中力が以前と比べて衰えてしまい、意欲面での低下は避けることはできません。しかし、老いを自覚したとしても、からだが動くうちはやりたいことをどんどんやって、自分の生きたいように生きるべきだとわたしは常日ごろより自分に言い聞かせています。
というのも、わたしは、幼少期からADHD(注意欠陥・多動性障害)の傾向があり、一つのことに集中できずいろいろなことに興味がわいてしまい、未知のものだとしても気になったことはすべて挑戦してきました。
このような傾向は幼少期にとどまらず、大学時代は医学部にいながらフリーライターとして、雑誌を中心にさまざまな取材、執筆活動をしていました。そうした経験が、医師としてのいまの仕事や作家としての執筆、映画監督としての活動に大いに役立っているのですが、プライベートにおいても同様です。さまざまなことに対し関心は尽きません。ですから、わたしは70代になってもできるかぎり、少しでも興味のあることには挑戦し続けていくつもりです。
年齢を理由にして諦めない
70歳を過ぎたからといって、隠居して老け込むにはまだまだ早すぎます。
「もう、いい年なのだから」と、年齢を理由にいろいろなことを諦めてしまうと、80歳になったときには、できることがほとんどなくなり、やりたいという気力すら消えてしまうでしょう。70代はまだまだ頑張れば中高年とほとんど変わらないぐらいの体力、知的機能を保つことができるのです。
たとえば、アンチエイジングの治療は、80代になるとボトックスやヒアルロン酸の注入ではなかなか外見の衰えを補いきれませんが、70代であれば、かなり若々しい自分に戻ることができます。
日本ではなぜか美容医療やアンチエイジングの治療にネガティブなイメージをもつ人が多いのですが、治療を受けることで若々しさを保つことができて、気持ちまで前向きになれるのでしたら、ためらわずに試してみるべきです。
役者や歌手といった特別な人たちだけがいつまでも若々しくいられるのではなく、わたしたちも少しの意欲をもって取り組めば、70歳を過ぎてもダンディーな男性、おしゃれな女性でいられるのですから、やはり年齢に関係なく、チャレンジしていくことはいくつになっても大切なことといえます。
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