今日は菊池寛の命日です。
菊池寛は1948年(昭和23年)3月6日59歳で死去しています。
菊池寛には「弘法大師とその宗教」というよく大師と真言密教を研究した本があります。前編は「弘法大師の生涯」と題してご生涯を詳しく記述し、後編は「弘法大師の宗教」としておもに「十住心論」を中心に詳述しています。菊池は大師と同郷の香川県の生れらしく全編を通じて大師への惻惻たる畏敬の念が伝わってきます。たとえばはしがきには「清涼殿の八宗論」の場面について「・・「清涼殿の八宗論」の場面である。・・・大師の即身成仏説には、皆反対して「即身成仏せし人証は何処にありや」と、詰め寄り、天皇からも勅問があるので、弘法大師は「然らば、その実証をお見せ申さん」とて、南方に向って、結跏趺坐し、大日の智拳印を結び、口の内に密呪を唱え、暫く三摩地の観念に入り給う、と見る間に面門忽ちに開け、見る見る内に金色の大日如来のお姿となり、頂に五智の宝冠を現し座下に微妙の蓮花を湧出し、さながら浄土の光景を現したので、他の七宗の連中は面縛して下ったと云うのであるが、こうした大奇蹟などは戯曲に書けっこはないのである。活動のトリックでもむつかしいだろう。近代劇の手法は、こうした奇蹟を近代的に解釈するのが通常だが、即身成仏の場面などは解釈の仕様がない。下手に解釈すればぶっこわしである。」と書いています。
また後編では「立教開宗の要素」として「大師は『即事而眞』『当相即道』と高声し『父母所生身即証大覚位』と喝破した。その綱格は無相の大日如来を教主とし、陀羅尼、真言の秘密文字を用い、金剛界、胎蔵界の両部、三密、四曼、五智、六大、等の独自の教義を以て大日宇宙の一如的実在論を説いたものですなわち宇宙の本体は大日如来の本体、一切現象は大日如来の姿、宇宙の活動作用は大日如来の力作用であって、一切処に遍満し、一塵一埃悉く大日如来の法体に他ならぬ。『事に即して眞』なるがゆえに一切現象も眞、吾等のこの身心も眞でなければならないという。・・」ときわめてわかりやすい解説を書いています。
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