福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

第二十九 問答決着章(「真言宗義章」真言宗各派聯合法務所編纂局 1916)等より・・・36

2019-02-05 | 頂いた現実の霊験

第二十九 問答決着章(真言宗各派聯合法務所編纂局 1916)等より・・・36

真言行者の三種菩提心

問。龍猛菩薩の菩提心論によるに真言行者は勝義(智慧)・行願(慈悲)・三摩地(願心)の三種の菩提心を発すべしと見られたり。(金剛頂瑜伽中発阿耨多羅三藐三菩提心論「諸佛菩薩。昔在因地。發是心已。勝義。行願。三摩地爲戒。乃至成佛。無時暫忘。唯眞言法中。即身成佛故。是故説三摩地於諸教中。闕而不言。一者行願。二者勝義。三者三摩地・・」)しかるに先に真言行者の発菩提心といふは凡聖不二の理を信じて偏に無上菩提を期するにありといへり、これ唯三摩地の菩提心のみにして他の(勝義・行願の)二心を欠く。如何?

答。凡聖不二の理を信じて偏に無上菩提を期する一念心の中に勝義・行願の二心は自らこもれるなり。何となれば先ず行願心といふは又は大悲心とも名つ゛け、一切衆生の生死に流転し種々の無量の苦患を受くるを見て深く悲愍を生じて苦を抜き楽を与へんと欲する心なり。次に勝義心といふは又は捨劣得勝の心とも名つ゛けて凡夫外道、二乗及び顕教諸大乗の法は皆劣にして極に非ざるが故に其の中に於いて発心するをば有上の菩提心と名つ゛けて未だ無上の浄菩提心と名つ゛けず。たとひ発心修行して果を得るといへども是未だ衆生の為に究竟じて苦を抜き楽を与ふること能はず。独り法身所説の真言密教のみ法性の源底を尽くして最尊最勝なるが故に、この法に中において発心するをばまさに初めて無上の菩提心と名つ゛く。一切衆生の為に究竟じて苦を抜き究竟の楽を与ふることただこの法にありと知りて偏に真言密教の中において発心修行して其の果を証せんと願ふ心なり。次に三摩地の菩提心といふは、正しく凡聖不二の理を信じて無上菩提を成ぜんと願ふ心なり。まさに知るべし、大悲心を欲するが故に勝義心を発し、勝義心を発するが故に三摩地心を発す。しかるに後は必ず前を兼ねるがゆえに凡聖不二の理を信じて無上菩提を期するに三摩地の菩提心の中には自ら前の二心を具するなり。偏に真言の妙果を求めて凡夫外道二乗の小果と顕教諸大乗の権果とを求めざる所以は、真言の妙果は法身内証の境界にして諸教の中において最尊無上なるがゆえなり。勝義心を具することを知るべし。又最尊無上の妙果を求むる所以は一切衆生を済度して究竟じて苦を抜き、究竟の楽を与へんがためなり。大悲心を具すること知るべし。この故に真言行者、道俗を論ぜず偏に法身如来の直説たる凡聖不二の理を信じて一向に無上菩提を期すべきなり。

 

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