日本民芸館ホームページhttp://www.mingeikan.or.jp/にあるお孫さんの石井頼子氏 (棟方板画美術館学芸員)が2007年に語った「東北経鬼門譜」の解説です。日本民芸館では6月10日まで棟方志功展が開催中です。
「・・棟方の作品には、故郷青森(津軽)に題材をとったものが多く見られます。
『東北経鬼門譜』はその代表作で、棟方は「自分の生まれた東北は日本の鬼門にあたる。
豊作という言葉を聞いたことのない土地で、これは土地の宿命だ。」と言っています。
この作品は六曲一双の屏風の真ん中に鬼門仏を置き、その左右に菩薩、羅漢、行者、人間、そして人間にもなり得ない曖昧模糊とした心を持ち、生まれてくることのなかった水子達の姿を描いた構図で成っています。
鬼門仏が自分の体を二つに断ち割ってすべての不幸を包み込んでくださる・・
飢餓ばかりで救いのない宿命を背負った人々を仏の力を借りて幸いあらしめたい・・
いわば抜苦代受にすがる東北人(棟方)の必死の『祈り』の想いが作品に込められています。・・」