一期大要秘密集・・15
九に没後追修の用心。
守護国界陀羅尼経の意、若し人、命終して當に地獄の中に堕すべきは十五の相あり。
経に云く、「一には、自の夫妻・男女・眷属において悪眼をもって瞻視す。二には、その両手を挙げて虚空を捫摹す。三には、善知識の教に相随順せず。四には、非号啼泣嗚咽して涙を流す。五には、大小便利を覚せず知ぜず。六には、目を閉じて開かず。七には、常に頭面を覆う。八には、側ち臥して飲噉す。九者身口臭穢なり。十者脚膝戰掉す。十一には鼻梁欹側す。十二には右眼瞤動す。十三には兩目變赤す。十四には仆面而臥す。十五には踡身左脇著地而臥す。以上十五の相随って一も現在前して死を取り畢らば応に一百四十四の地獄等の中に堕罪すと知るべし。既に生処を知る、精いで彼の苦を済へ。所謂佛眼、金輪、正観音、地蔵等の法、これを修行すべし。若しは絵き、若しは造って供養を致すべし。又理趣経、五十三佛名、宝筐、尊勝、光明真言、破地獄、宝楼閣、華厳経の菩薩説偈品、法華経等なり。以上の三宝は殊に地獄の衆生の苦患を済ふ。本誓悲願の功力餘に勝るなり。復人命終の時に臨んで八種の相あれば必ず焔魔羅界の餓鬼趣の中に堕す。経に云く、一には好んで其脣を舐る。二者身熱如火。三者常に飢渇を患へて好んで飲食を説く。四者口を張って合せず。五者兩目乾き枯れて鵰孔雀の如し。六者小便大便遺漏あることなし。七者右膝先ず冷ゆ。八者右手常に拳る。何を以ての故に心に慳吝を抱けばなり。以上八相の中に随って一も現前すればまさに三十六種の餓鬼界の中に堕在すと知るべし。既に生処を知る、精いで彼の苦を済へ。所謂、宝生如来、虚空蔵、地蔵、千手、壇波羅蜜、施餓鬼等の法、これを修したてまつるべし。又五十三仏名等、十甘露の呪、雨寶陀羅尼等これを念じ奉り廻向すべし。又施行を致すべし。又自恣の僧を供養すべし。以上の三宝は殊に餓鬼の苦患の忍び難きを済ふ本誓悲願の功力餘に勝るるなり。又畜生道に堕在するに五種の相あり。経に云く、一者、妻子を愛戀し貪視して捨ず。二者、手足指を踡む。三者、遍體流汗。四者、麁澁の聲を出す。五者、口中に沫を咀む。以上五種の相の中、随って一も現前せばまさに七類のい畜生に堕在すと知るべし。既に生処を知る、精ひで彼の苦を済へ。所謂、阿弥陀如来、般若波羅蜜菩薩、文殊師利菩薩、金剛灯菩薩、馬頭観音、これを修行すべし。又五十三佛名等、光明真言,理趣般若、般若心経、光讃般若経等これを念じ奉り廻向すべし。以上の三宝は殊に畜生を済ふ本誓悲願の功力餘に勝るなり。若し三悪道の相、同時に相雑り或は都べて何れの相と知らずんば、所謂、滅悪趣尊の護摩秘法、急急に之を行じ、早々に之を済へ。我れ閉眼の刻み、若し悪相を見ば、且は忠孝の心に入り、且は慈悲の門に出でて速に追修の善根を植え¥へ、疾く菩提の果実を授けよ。娑婆の病悩猶堪え難し、阿鼻の罪苦なんぞ忍び易からん。努めて遺言に違ふことなかれ。我れを済ふて道を成ぜしめば還って必ず汝らを導かん。普賢の行願を行じて同じく無上道を証せん。(一期大要秘密集、終わり)
九に没後追修の用心。
守護国界陀羅尼経の意、若し人、命終して當に地獄の中に堕すべきは十五の相あり。
経に云く、「一には、自の夫妻・男女・眷属において悪眼をもって瞻視す。二には、その両手を挙げて虚空を捫摹す。三には、善知識の教に相随順せず。四には、非号啼泣嗚咽して涙を流す。五には、大小便利を覚せず知ぜず。六には、目を閉じて開かず。七には、常に頭面を覆う。八には、側ち臥して飲噉す。九者身口臭穢なり。十者脚膝戰掉す。十一には鼻梁欹側す。十二には右眼瞤動す。十三には兩目變赤す。十四には仆面而臥す。十五には踡身左脇著地而臥す。以上十五の相随って一も現在前して死を取り畢らば応に一百四十四の地獄等の中に堕罪すと知るべし。既に生処を知る、精いで彼の苦を済へ。所謂佛眼、金輪、正観音、地蔵等の法、これを修行すべし。若しは絵き、若しは造って供養を致すべし。又理趣経、五十三佛名、宝筐、尊勝、光明真言、破地獄、宝楼閣、華厳経の菩薩説偈品、法華経等なり。以上の三宝は殊に地獄の衆生の苦患を済ふ。本誓悲願の功力餘に勝るなり。復人命終の時に臨んで八種の相あれば必ず焔魔羅界の餓鬼趣の中に堕す。経に云く、一には好んで其脣を舐る。二者身熱如火。三者常に飢渇を患へて好んで飲食を説く。四者口を張って合せず。五者兩目乾き枯れて鵰孔雀の如し。六者小便大便遺漏あることなし。七者右膝先ず冷ゆ。八者右手常に拳る。何を以ての故に心に慳吝を抱けばなり。以上八相の中に随って一も現前すればまさに三十六種の餓鬼界の中に堕在すと知るべし。既に生処を知る、精いで彼の苦を済へ。所謂、宝生如来、虚空蔵、地蔵、千手、壇波羅蜜、施餓鬼等の法、これを修したてまつるべし。又五十三仏名等、十甘露の呪、雨寶陀羅尼等これを念じ奉り廻向すべし。又施行を致すべし。又自恣の僧を供養すべし。以上の三宝は殊に餓鬼の苦患の忍び難きを済ふ本誓悲願の功力餘に勝るるなり。又畜生道に堕在するに五種の相あり。経に云く、一者、妻子を愛戀し貪視して捨ず。二者、手足指を踡む。三者、遍體流汗。四者、麁澁の聲を出す。五者、口中に沫を咀む。以上五種の相の中、随って一も現前せばまさに七類のい畜生に堕在すと知るべし。既に生処を知る、精ひで彼の苦を済へ。所謂、阿弥陀如来、般若波羅蜜菩薩、文殊師利菩薩、金剛灯菩薩、馬頭観音、これを修行すべし。又五十三佛名等、光明真言,理趣般若、般若心経、光讃般若経等これを念じ奉り廻向すべし。以上の三宝は殊に畜生を済ふ本誓悲願の功力餘に勝るなり。若し三悪道の相、同時に相雑り或は都べて何れの相と知らずんば、所謂、滅悪趣尊の護摩秘法、急急に之を行じ、早々に之を済へ。我れ閉眼の刻み、若し悪相を見ば、且は忠孝の心に入り、且は慈悲の門に出でて速に追修の善根を植え¥へ、疾く菩提の果実を授けよ。娑婆の病悩猶堪え難し、阿鼻の罪苦なんぞ忍び易からん。努めて遺言に違ふことなかれ。我れを済ふて道を成ぜしめば還って必ず汝らを導かん。普賢の行願を行じて同じく無上道を証せん。(一期大要秘密集、終わり)